ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:廊下ー

仕合の時間が近づくなか関林ジュンが廊下を歩いていると前から超日本プロレスと書かれたシャツを着た春男が何かを手にもってドスドスっと地面を踏み鳴らしながら近づいてくる。

春男「師匠ッ!言われた物を買ってきました!」

大きな手に下げていたのは化粧品のマークが入っている小袋だ。

関林「おう。ありがとうよ。」

春男「だけど……こんな物、何に使うんですか?」

それを聞いてギロッと春男を睨んだ。

関林「春男。お前、プロレスを見たことねぇのか?」

春男「あ、いや……実は一度もないんです。すみません…」

関林「ったく。しょうがねえ奴だな。男ならプロレスぐらいチェックしとけよ。」

春男「は、はあ…」

袋の中の物を取りだして笑いながら言った。

関林「……まあいいや。よく見とけよ春男。俺が「プロレス」ってやつを教えてやるよ。」


闘技場では既に凍夜が入場が済んでいた。そのいで立ちは頭からすっぽりと黒いローブをかぶっている。鞘香がマイクに叫んだ。

鞘香『さあ!続きましては第四仕合!!!!先に姿を現したのは【自在遊戯】結城・クリストファー・凍夜。漆黒のローブを纏いその表情を窺うことはできません。おっと。関林選手も準備OKのようです。ジェリーさんこの仕合の見所はどこになるでしょうか?』

ジェリー『Ok!解説してやりマース!プロレス的にFIGHTは関林の強みであると同時にWEAKPOINTでもありマース。いかにトウヤをプロレス的展開に連れ込むかそれがWINorDIEの境目デース!』

そう解説していると関林ジュンが腕を突き上げながら入場してきた。

鞘香『現れたアアアアッ!!【獄天使】関林ジュンの入場です!!!って、こっっこれは!!?』

関林「ウーーッ!!」

雄叫びを上げている関林ジュンなのだがその顔はドーランで真っ白に塗られており、目の周りと唇は紫に染められ左右の頬に「獄」と「天」の字が書かれている。

鞘香『せ、関林選手、奇ッ怪なメイクで入場だアーッッ!!』

医務室のモニターで関林の登場を氷川たちがあきれた様子で見ていた。

氷川「おいおいおい。何してんだこのオッサン。」

大久保「ハロウィン先取りしすぎやろ。まだ7月やっちゅーねん。」

末吉「…………!!マ…………「マーヴェラス・セキ」伝説の「デスマッチスタイル」の復活だ…ッ!」

【地獄天】マーヴェラス・セキ

【獄天使】関林ジュンが「魔界から召喚した」極悪非道のデスマッチレスラーです。

活動期間は一年と短かったもののインパクトは絶大。次々に過激なデスマッチを実行し、超日リングを恐怖のどん底に叩き落としました。

二年前……今でも語り草になっている【プロレスの神様】蔵地駆吾との「蛍光灯一万本デスマッチ」を最後に魔界へ帰還したはずでしたが……まさか絶命トーナメントに現れるなんて……!

氷川「ほ~…そういう設定なのか。」

大久保「もやしっ子特有のプロレス愛やな。」

末吉「うるせぇな……とにかく、セキのファイトスタイルは関林と別物ってことです。」
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