ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】
ー絶命闘技会ドーム:小鳥遊製薬選手控室ー
小鳥遊製薬代表の小鳥遊柏が長椅子を二つ並べてシーツをかけた簡易のベッドに横たわる金剛を見降ろしながら声をかけた。
柏「本当に医務室に行かなくていいのか?」
金剛「ああ……極力情報を漏らしたくないもんで。」
そう口にするものの顔の右半分が削れ抉れており専属医のマリアンが自前の治療器具やら消毒液を準備しつつ傷の具合を見る。
マリアン「顔の傷は、ストックの培養皮膚があるわ。中一日では完全に定着とはいかないだろうけど、気休めにはなるでしょ。」
金剛「問題は右足だ。足首の状態が思った以上に悪い。さっきの仕合で痛めちまったみたいだ。」
顔の治療よりも足首を優先したため既にアイシングと包帯で固定は済ませてあるものの、後に響くことを物語っていた。
柏「反動か」
金剛「ああ……というか、それ以前に【極撃】を他の闘技者に見られちまった。もう「奥の手」としては使えねぇ。」
岩美重工控室ではソファーに腰かけた【自在遊戯】の凍夜が顎に手を添えて今見た仕合の内容を振り返っていた。
手ごわいねぇ。「あの突き」をもらえばタダじゃすまない。ユリウスでさえあのダーメジだ。最悪一撃で倒される可能性が高い。
とはいえ、「あの突き」ばかりを警戒すれば、ユリウスの二の舞だ。
戦法は至ってシンプル、それ故に攻略が難しい。その上、金剛(かれ)の怪力はアフリカゾウ並みときてる。さて、どうしたもんか……。
凍夜「まあいい。金剛君と闘うのは二日後。まずは目先の仕合を終わらせないとね。……あれ、湯梨浜さん、とまりさんは?」
ソファーから立ちあがって確認すると自分の秘書の詠子ととまりの秘書、湯梨浜は居るが社長である東郷とまりの姿がなかった。
人通りが少ない廊下で岩美重工の東郷とまりとガンダイ会長の鹿野玄が顔を突き合わせていた。
とまり「ど~も妙な流れになってきたぜ。」
鹿野「ああ。闘技会序列第二位の東洋電力が二回戦で消えた。この敗退は、速水にとっては痛恨だ。早くも百人会脱退を表明する企業も出始めている。東洋電力の求心力低下は必須だろう。」
とまり「あのヒゲ野郎がどうなろうが知ったことじゃねえ。私がいってんのは「勝った」方だよ。小鳥遊製薬は、優勝した場合、兜馬の野郎を会長に指名するって公言してるんだぜ!?」
鹿野「彼らは堂々と別会社として「小鳥遊」の名前で参加はしているも言うなれば同胞だからな。当然といえば当然だろう。」
とまり「何呑気なこと言ってやがる!!このままじゃあ兜馬の影響力はどんどん強くなってくぞ!!!速水のジジイが落ちぶれても「代わり」が出てきたんじゃ何の意味もねぇッ!!!」
鹿野「……わからんな。君は一体、何が言いたいんだ?」
それを聞いて東郷はニイィッと牙が鋭く尖る歯を見せて笑った。
とまり「鹿野。私の下につけ。テメェは闘技会の糞共の中ではマシな方の糞だ。テメェなら私を担がせてやらんこともないぜ。」
鹿野「フッ……光栄だね。確かに、我々が派閥を作れば闘技会の勢力図は大きく変わる。……だが、私が君の下?思い上がりが過ぎるのではないか?」
とまり「ケッ!そう来ると思ったぜ。……じゃあ決まりだな。次の仕合の勝社が派閥の頭だ。」
小鳥遊製薬代表の小鳥遊柏が長椅子を二つ並べてシーツをかけた簡易のベッドに横たわる金剛を見降ろしながら声をかけた。
柏「本当に医務室に行かなくていいのか?」
金剛「ああ……極力情報を漏らしたくないもんで。」
そう口にするものの顔の右半分が削れ抉れており専属医のマリアンが自前の治療器具やら消毒液を準備しつつ傷の具合を見る。
マリアン「顔の傷は、ストックの培養皮膚があるわ。中一日では完全に定着とはいかないだろうけど、気休めにはなるでしょ。」
金剛「問題は右足だ。足首の状態が思った以上に悪い。さっきの仕合で痛めちまったみたいだ。」
顔の治療よりも足首を優先したため既にアイシングと包帯で固定は済ませてあるものの、後に響くことを物語っていた。
柏「反動か」
金剛「ああ……というか、それ以前に【極撃】を他の闘技者に見られちまった。もう「奥の手」としては使えねぇ。」
岩美重工控室ではソファーに腰かけた【自在遊戯】の凍夜が顎に手を添えて今見た仕合の内容を振り返っていた。
手ごわいねぇ。「あの突き」をもらえばタダじゃすまない。ユリウスでさえあのダーメジだ。最悪一撃で倒される可能性が高い。
とはいえ、「あの突き」ばかりを警戒すれば、ユリウスの二の舞だ。
戦法は至ってシンプル、それ故に攻略が難しい。その上、金剛(かれ)の怪力はアフリカゾウ並みときてる。さて、どうしたもんか……。
凍夜「まあいい。金剛君と闘うのは二日後。まずは目先の仕合を終わらせないとね。……あれ、湯梨浜さん、とまりさんは?」
ソファーから立ちあがって確認すると自分の秘書の詠子ととまりの秘書、湯梨浜は居るが社長である東郷とまりの姿がなかった。
人通りが少ない廊下で岩美重工の東郷とまりとガンダイ会長の鹿野玄が顔を突き合わせていた。
とまり「ど~も妙な流れになってきたぜ。」
鹿野「ああ。闘技会序列第二位の東洋電力が二回戦で消えた。この敗退は、速水にとっては痛恨だ。早くも百人会脱退を表明する企業も出始めている。東洋電力の求心力低下は必須だろう。」
とまり「あのヒゲ野郎がどうなろうが知ったことじゃねえ。私がいってんのは「勝った」方だよ。小鳥遊製薬は、優勝した場合、兜馬の野郎を会長に指名するって公言してるんだぜ!?」
鹿野「彼らは堂々と別会社として「小鳥遊」の名前で参加はしているも言うなれば同胞だからな。当然といえば当然だろう。」
とまり「何呑気なこと言ってやがる!!このままじゃあ兜馬の影響力はどんどん強くなってくぞ!!!速水のジジイが落ちぶれても「代わり」が出てきたんじゃ何の意味もねぇッ!!!」
鹿野「……わからんな。君は一体、何が言いたいんだ?」
それを聞いて東郷はニイィッと牙が鋭く尖る歯を見せて笑った。
とまり「鹿野。私の下につけ。テメェは闘技会の糞共の中ではマシな方の糞だ。テメェなら私を担がせてやらんこともないぜ。」
鹿野「フッ……光栄だね。確かに、我々が派閥を作れば闘技会の勢力図は大きく変わる。……だが、私が君の下?思い上がりが過ぎるのではないか?」
とまり「ケッ!そう来ると思ったぜ。……じゃあ決まりだな。次の仕合の勝社が派閥の頭だ。」