ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー大江戸城内ー

酉居「水都さん、なぜ事前に連絡をいただけなかったのですか?」

光姫「ん、なんのことじゃ?」

酉居「とぼけないで下さい。演壇の花火の件です。襲撃についてはうかがっておりましたが、花火騒ぎについてはこちらは把握していなかった」

光姫「ああ、アレか」

酉居「ああ、アレか……とは、のんきな」

光姫「連絡も何も、アレについては、実はわしも知らなくてな」

酉居「なっ……!?」

光姫「どうせ、豪俊のはったりだと思うておったのじゃが」

酉居「……み、水都さん!」

光姫「あはは、遊びじゃ、遊び」

酉居「もし実際に仕掛けられていたのが爆薬であったなら、我々は今こうしてはおりませんぞ」

光姫「剣呑、剣呑……あははは」

酉居「………」









その夜、寺の境内に集う影が四つ、いや五つ。
黒ずくめの黒子のような者がいった。

秘密同心:い「これにて天狗党騒動についての報告は全てでござる。「ろ」の字よ、他に補足事項はあるか?」

秘密同心:ろ「いえ。拙者からは特に付け加えることはござらぬ」

秘密同心:に「それにしても、仕掛けられた火薬を花火にすり替えてしまうのは面白い趣向でござりましたな」

秘密同心:は「おい、「に」よ。お館様に対して気安いぞ!これだから新入りは……」

秘密同心:い「して、すり替えた火薬の処理はいかがいたしましょう?」

秘密同心:ろ「大江戸城の武器庫に、で御座いますね。承知しました」

秘密同心:は「では、「に」よ、そのように」

秘密同心:に「え、わたしが一人でですか?あれだけの量を!?」

秘密同心:は「文句を言わずにやれ、新人」

秘密同心:に「はい……分かりました」

秘密同心:い「お館様、この金子は?これで何かを食えと……?お気遣い、恐縮にござります」

秘密同心:ろ「我ら秘密同心はみなお館様のため、いつでも命捨てる覚悟にござります故」

秘密同心:は「それがしも副長と同じ心にてござります」

秘密同心:に「皆さん、お館様から頂いたお金で何を頂きましょうか?……って、痛いっ!?」

秘密同心:は「無礼者!は……はぁ、お館様がそうおっしゃるのなら……。「に」よ、お館様の広いお気持ちに感謝するのだぞ?」

秘密同心:に「ははぁ…」

秘密同心:い「それではお館様。我ら秘密同心」

秘密同心:ろ「死して」

秘密同心:は「屍」

秘密同心:に「拾うもの無し」

お館「…………」
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