ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

城「か、からかった?」

絵利央「主が訪ねてきた時には、既に撤回の通達を済ましとったんじゃがの。何やら面白いことをやり出したんで少し遊んでやったのよ。」

城「こ、この人……」

絵利央「ほれ。約束は守ったじゃろ。さっさと失せい。」

シッシッと手を振る絵利央。

久秀「じゃあ、行くわよ。アンタにはアンタで言いたいことが山ほどあるし。」

城「えぇっ!?じゃ……じゃあ……私はこれで……」

頭を深く下げて城は久秀の後についていく。その背中を見送りながら絵利央はため息をついた。

絵利央「小鳥遊悠…」

面はともかく、才覚も器もまるで違うというのに……一瞬、忌々しいあの男(弥一)と重なって見えたぞ。

闘技場から雷庵と悠が担架に乗せられて運び出されていくのを【滅堂の牙】アギトが顔に筋を浮かび上がらせて見下ろしていた。

アギト「……そうか。」

これが「小鳥遊弥一」の血を継ぐものか。

また、歓声止まぬ観客席にて全身が細かく震え怒りの表情を浮かべる者が居た。

刹那「そうじゃないだろう!?」

真の君は、全てを破壊する神。暴虐で、残酷で、無慈悲に僕を殺してくれる救いの神。

それなのになぜ君は……なぜ、技にすがる!?なぜだあぁぁぁっ!!

雷庵側の選手入場口に向かって担架に乗せられた運ばれてくる。

それを迎えているのは【牛鬼】の魏堀雄と【金剛鬼】の魏怜一だ。

怜一「……やられたな。魏一族が闘技仕合で負けたのは、爺様の時以来か?」

堀雄「うむ。通算で四度目の敗北になる。」

怜一「……雷庵が負けたか。アイツは大嫌いだが、実力だけはピカイチと認めてたんだがな。」

堀雄「若さ故の傲慢だ…余り責めてやるな。俺にも似たような頃があった。雷庵は、まだまだ強くなるさ。」

その頃、魏一族に控室に軟禁されて大人しく仕合の様子をモニターで見ていた【天魔】魏迦楼羅が勢い良く立ちあがる。それを見ていた【鬼哭童子】魏ホリスが尋ねた。

ホリス「……何をしているんだカルラ?」

カルラは黒いセーラー服を脱ぎ散らかして全裸になった。

迦楼羅「悠が雷庵に勝った!!これで悠は私の夫だ!今すぐ子を作ろう悠!!!」

ホリス「……服を着なさいはしたない。誰に似たんだか…」

しかし、あの雷庵を倒したとなると、小鳥遊悠の婿入りも現実味を帯びてきたな。彼の意思にもよるが…爺様は心中穏やかじゃないだろうな……。

迦楼羅「悠ーーーー!!」

本当に全裸で部屋を飛び出していってしまった迦楼羅。ホリスは呆れるもとりあえず脱ぎ散らかした服を回収して追うことにした。
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