ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
春に芽吹き
夏に猛り
秋に備え
冬に終える
四季の流れを一巡させることで一つの技となる。それが四季家総技【居合払い奈惰嶺(なだれ)】である。文字通り一撃目を受けたら最後衝撃が奈惰嶺のように襲い回避も防御も不可能な絶技。
そんな技を受けて顔面から地面へと落ちた魔人はそのまま大の字に倒れ動かない。しかし、小さく、本当に小さくだが「チッ」と舌打ちをこぼしたのが悠の耳にだけ聞こえてきた……。
だが、それ以上には何もアクションを起こさなかった。つまり…………魔人は意識を失ったのだ。
悠「……」
奈惰嶺の反動で両肩が外れこっちもこれ以上の反撃はできない状況だった。悠はそのまま膝を着いた。
そして、レフリーの小石が叫んだ。
小石「勝負ありッ!!勝者、小鳥遊悠ッ!!!!」
「「「「う、うおおおおおぉぉぉぉぉっぉぉ!!!」」」」
闘技場から歓声が響くなか、立見席で仕合を見ていた魏一族の長、魏絵利央が忌々しそう口に咥えたパイプから煙を吐きながらいった。
絵利央「……なんのようじゃ?」
その前に立つのは城厘だ。
城「……悠さんが勝ちました。悠さんのお友達から手を引いてください。」
絵利央「……ワシを怒らせん方がよいぞ。……確かに主らは勝負に勝った。勝ちはしたが……ワシがその気になれば、約束を反故にすることも容易い。主らの命運は、ワシの一存と知れ。」
城「そんな……!!」
咥えていたパイプを握りつぶして睨みつける絵利央に怯む城……だったが、そこに別の声が飛んだ。
「アナタはそんなことはできないわ。そんなことをすれば、魏一族はお終いよ。」
城「ま、松永さん!」
久秀「まったく、久秀抜きで面白いことをしてくれちゃってるわね。悠はね私の会社の駒なの、勝手に人の駒に触れようとするのはやめていただこうかしら……。ところで魏一族は依頼によって仕事をこなす暗殺集団何でしょう?信頼を得るために当然「契約」は遵守するわよね?我々企業人と同じようにね。」
絵利央「!」
久秀「もしも、長たる貴方が、約束を反故にして私怨による殺人を決行したらどうなるのかしら?」
絵利央「小娘……ワシを脅しとるつもりか?馬鹿か主は。この場で主らを始末して、知らぬ存ぜぬで通すこともできるぞ?」
久秀「ふんっ……それは不可能よ。証拠は、たった今押さえたからね。ああ、ちなみに転送先は大江戸学園の機密サーバーだから、簡単には消去できないわよ。」
きわどい服の袂から取りだしたのはスマホだ。画面には録音アプリが起動されている。
絵利央「ハァ……もうええ。そっちの小娘は十分からかえたしな。」
城「へ?」
絵利央「約束は約束じゃ。烏哭禅の暗殺命令は、とっくの昔に撤回したわい。それに別の邪魔も入っていたようだしな。」
魏一族による襲撃を受けた東京池袋のファミレスでは装甲シャッターで覆われた壁が砕かれ何十人もの魏の人間が突入していたが寸前のところで絵利央からの中止の令により解散が始まっていた。
若い警官「お~い中止だ中止。引き上げるぞ~」
包帯の男「なんだ、雷庵負けたのかよ。」
スーツの男「やっべ!次のアポ間に合うかな。」
タクシー運転手「取引先まで送ってやるよ。」
車いすの老人「殺しはまだかの~?」
白衣の男「おじいちゃん、殺しはもう終わったでしょ?」
魚屋の男「……ニイさん達よ、やるじゃねぇか。」
ファミレス内の隅に追いやられている禅の前に陣取っていたのは十神将の次期首領候補の猿渡灯、鳥居弩躬、そして水都光姫の使い銀次だった。
銀次「ハッハッハッ!なかなか手ごわい相手だったぜ。猿渡の字、鳥居の字、助かったぜ!流石の俺様でも一人だと厳しかったかもしれねぇ!」
弩躬「なに、こっちも仕事だ。」
灯「急きょの依頼でしたけど間に合ってよかったです。禅さん、大丈夫ですか?」
禅「えぇ……本当……に……助か…り……ました。これ……も…銀……次さん……が…ファ……ミレス……に……潜んで……いて……くれた……おかげ……です。」
銀次「はっはっはっ!礼ならお嬢と悠の字にいうんだな!!」
春に芽吹き
夏に猛り
秋に備え
冬に終える
四季の流れを一巡させることで一つの技となる。それが四季家総技【居合払い奈惰嶺(なだれ)】である。文字通り一撃目を受けたら最後衝撃が奈惰嶺のように襲い回避も防御も不可能な絶技。
そんな技を受けて顔面から地面へと落ちた魔人はそのまま大の字に倒れ動かない。しかし、小さく、本当に小さくだが「チッ」と舌打ちをこぼしたのが悠の耳にだけ聞こえてきた……。
だが、それ以上には何もアクションを起こさなかった。つまり…………魔人は意識を失ったのだ。
悠「……」
奈惰嶺の反動で両肩が外れこっちもこれ以上の反撃はできない状況だった。悠はそのまま膝を着いた。
そして、レフリーの小石が叫んだ。
小石「勝負ありッ!!勝者、小鳥遊悠ッ!!!!」
「「「「う、うおおおおおぉぉぉぉぉっぉぉ!!!」」」」
闘技場から歓声が響くなか、立見席で仕合を見ていた魏一族の長、魏絵利央が忌々しそう口に咥えたパイプから煙を吐きながらいった。
絵利央「……なんのようじゃ?」
その前に立つのは城厘だ。
城「……悠さんが勝ちました。悠さんのお友達から手を引いてください。」
絵利央「……ワシを怒らせん方がよいぞ。……確かに主らは勝負に勝った。勝ちはしたが……ワシがその気になれば、約束を反故にすることも容易い。主らの命運は、ワシの一存と知れ。」
城「そんな……!!」
咥えていたパイプを握りつぶして睨みつける絵利央に怯む城……だったが、そこに別の声が飛んだ。
「アナタはそんなことはできないわ。そんなことをすれば、魏一族はお終いよ。」
城「ま、松永さん!」
久秀「まったく、久秀抜きで面白いことをしてくれちゃってるわね。悠はね私の会社の駒なの、勝手に人の駒に触れようとするのはやめていただこうかしら……。ところで魏一族は依頼によって仕事をこなす暗殺集団何でしょう?信頼を得るために当然「契約」は遵守するわよね?我々企業人と同じようにね。」
絵利央「!」
久秀「もしも、長たる貴方が、約束を反故にして私怨による殺人を決行したらどうなるのかしら?」
絵利央「小娘……ワシを脅しとるつもりか?馬鹿か主は。この場で主らを始末して、知らぬ存ぜぬで通すこともできるぞ?」
久秀「ふんっ……それは不可能よ。証拠は、たった今押さえたからね。ああ、ちなみに転送先は大江戸学園の機密サーバーだから、簡単には消去できないわよ。」
きわどい服の袂から取りだしたのはスマホだ。画面には録音アプリが起動されている。
絵利央「ハァ……もうええ。そっちの小娘は十分からかえたしな。」
城「へ?」
絵利央「約束は約束じゃ。烏哭禅の暗殺命令は、とっくの昔に撤回したわい。それに別の邪魔も入っていたようだしな。」
魏一族による襲撃を受けた東京池袋のファミレスでは装甲シャッターで覆われた壁が砕かれ何十人もの魏の人間が突入していたが寸前のところで絵利央からの中止の令により解散が始まっていた。
若い警官「お~い中止だ中止。引き上げるぞ~」
包帯の男「なんだ、雷庵負けたのかよ。」
スーツの男「やっべ!次のアポ間に合うかな。」
タクシー運転手「取引先まで送ってやるよ。」
車いすの老人「殺しはまだかの~?」
白衣の男「おじいちゃん、殺しはもう終わったでしょ?」
魚屋の男「……ニイさん達よ、やるじゃねぇか。」
ファミレス内の隅に追いやられている禅の前に陣取っていたのは十神将の次期首領候補の猿渡灯、鳥居弩躬、そして水都光姫の使い銀次だった。
銀次「ハッハッハッ!なかなか手ごわい相手だったぜ。猿渡の字、鳥居の字、助かったぜ!流石の俺様でも一人だと厳しかったかもしれねぇ!」
弩躬「なに、こっちも仕事だ。」
灯「急きょの依頼でしたけど間に合ってよかったです。禅さん、大丈夫ですか?」
禅「えぇ……本当……に……助か…り……ました。これ……も…銀……次さん……が…ファ……ミレス……に……潜んで……いて……くれた……おかげ……です。」
銀次「はっはっはっ!礼ならお嬢と悠の字にいうんだな!!」