ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

殴り飛ばされ地面を転がる小鳥遊悠。圧倒的な力量の差……。なにより絶望的なのは培ってきた「技術」が通用しない……!!

コイツはまだ本気すら出してねえ。……コイツを倒すには、「鬼状態」を使うしかねえ。

……だけど、「鬼状態」を使えばまたあの時みてえに…………いや、命なんか惜しくはねぇ。
一気…に……決めるッ!!

うつ伏せに倒れたまま心臓が大きく鳴った。

雷庵「おっ?」

城「!?」

こ……これは!?悠さんの雰囲気が……そッッそうだッッ!!!悠さんにはコレがあった!!

悠「ハアァァァッ…。」

エンジンのトルクが作動し続けるような心臓の爆音を鳴らし悠は立ち上がる。

雷庵「クカカッ!ようやく見せてくれたなァッ!!」

……ああ?一回戦の時とは様子が違う……?

悠「……」

人の領域をはみ出した者は、いつか報いを受ける。必要なのは……覚悟。代償を怖れるな。闘え!!

雷庵「クカカッ!ようやく本気になってきたか、さぁかかって……!!」

悠「オラァッ!」

何か言いかけていた雷庵に一気に距離を詰めて鳩尾に拳を叩きこんだ。

雷庵「ガフッ」

おおッ!?速ェなオイッ!!?一回戦の時より倍は速ェぞ!?

悠「うおぉぉぉっ!」

鬼状態に物を言わせて力任せに拳を敵の顔面に叩きつけ続け、体勢が崩れがら空きの胸板に双拳を打ちこんだ。

雷庵「ガッ……シャアッ!!」

心臓を狙った渾身の双撃に雷庵の顔が苦痛に歪むが一瞬で反撃に出た。下段から顔を抉るような鋭いアッパーで顎を打ち返してきたのだ。

「「『『!?』』」」

雷庵「こんなモンじゃねぇだろッ!!?もっと死ぬ気で来い!!」

いくら鬼状態とはいえカウンターで顎を穿たれ悠は頭を押さえふらついた。当然、魔人は留まることは知らず右ストレートを打ち放つ。

しかし、悠はその拳をつかみ取ったのだ。

悠「……どうした?お前、遅くなったか?」

つかみ取った拳を引っ張りこみながら回し蹴りをぶちかました。

雷庵「オ゛オ゛ッ!!?」

また速くなった!??

左ストレートで顔面を、膝蹴りで腹を、更に頭を掴みショートアッパーをとにかく拳を蹴りを雷庵にぶつけ続ける。

無茶苦茶な文字通りの暴力。

悠のその姿に涙を浮かべ喚起する者が居た。

桐生「あぁ……!!」

これを待っていたんだ!!君に再開するまで……長かったよ……本当に長かった。あの日、僕は見た。君の中に、「神」を。

力任せにラッシュを放ち続けるが雷庵はギィーッと口角をあげて打ち返してきたのだ。そこから両者足を止めてノーガードの殴り合いが始まった。悠が雷庵の顔面を打てば、雷庵が悠の顔面を打つ。ある意味では闘いの原点たる純粋な殴り合い。

その闘争に観客たちもヒートアップする。

「スッゲェど突きあい!!!」
「もっとやれーーーー!!!」

互いの拳が顔面を打ちあって大きく後ろに吹き飛び合うも両雄踏みとどまる。その顔は殴られあったにも関わらず笑っている。

わかった……わかったよ…お前なら、こっちにもついてこれるかな?

雷庵の全身に筋肉の筋が浮き上がりだし肌が赤褐色に染まっていく。

城「あっ!!」
絵利央「あの阿呆…!また勝手を。」
迦楼羅「……」

鞘香『で、出ました!!!』

【魏一族秘伝:外し】
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