ｰ茶屋ｰ小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ
処刑人の行動は迅速、そして的確だった。回り込もうとする摩耶の動きをに喰らいつき半回転して正面に陣取った。
阿古谷「!?」
小石「え?」
目の前に居るのはレフリーの山本小石。摩耶ではない。人類史上最高峰の反射神経を持つ怪物もこれには思考と動きが一時的に完全に停止した。
阿古谷「何…?」
瞬間、蛇、意識を断つ黒蛇、動きを止める白蛇がが絡みついた。背中に飛び着いた摩耶の双腕は首に、双脚は阿古谷の二の腕ごと胴体を絞めつけたのだ。
【黒・白蛇絡め】
アダム「上手いッ!!糞レフリーを利用しやがった!!」
目への攻撃から生まれる阿古谷の死角、そしてレフリーの気配と重なるように移動することで摩耶の存在を見失わせたのだ。
思わず叫んだアダム、そして西品治明も拳を握った。
西品治「よしッ!よしッッ!!」
最後のチャンスだ、摩耶!!決めてこい!!
体格も力も大きな差がある阿古谷と摩耶ではあるが背後から、そして完全に首と腹部を絞めつけたならば力で解くことは不可能。
摩耶「ウオォォォッ!」
持てる限りの力を込めて絞めをつけるが怪物は未だオチなかった。摩耶の叫びをかき消すように声を上げる。
阿古谷「笑止ッッ!!」
何をするかと思えば全力で後ろ向きに走りだしたのだ。そして、摩耶もろとも壁に突っこんだ。
ゴッ!!と重低音、一度ではない、何度も何度も何度も何度も自身の背を、引いては摩耶を叩きつけ続ける。
鞘香『壁に叩きつけるーーー!!!』
ジェリー『マヤ選手が死んじまいマーース!!』
大久保「いやまだやっ!!坊のリーパーは、全く緩んでへんッッッ!!!」
極技にも通ずる【格闘王】の大久保直也の見立て通り摩耶の絞めは緩んでおらず、むしろ更に深くきつく極まっていく。そして自ら激しく動き、酸素の供給も断たれた怪物の顔色に変化が訪れだした。歯を食いしばり血走った眼でさらに抵抗を続ける。
壁が砕け凹むほどの衝撃を受け続ける摩耶。
金剛君…先輩…アダム…鈴猫ちゃん…………悠君……僕、絶対に勝つから…………絶対に勝つから……もう少し待っててよ。
意識どころか心の臓府が停止してもおかしくないダメージを負いながらも1ミリ、1ミクロンたりとも絞めを緩めない……。敵の動きが停止するまで…………すると、突如来るはずの衝撃が止んだ。
絞め落としたのか?そうではない、阿古谷は壁に振り返ると前進して大きく二度壁を蹴りとばして飛びあがった。そして全体重を乗せて地面へと落下する。
爆音にも等しい落下音。一般の成人男性が1メートル落下したとき単純に計算しても1.5tの衝撃が発生する。そして……今の摩耶が受けた衝撃はそれをはるかに上回っていた。硬い地面に身体がめり込み、ついに拘束を解いて締まった。
阿古谷「ゼェゼェッ、ゼェッゼェ……!!」
鞘香『離れたーーーーっ!!!ついに摩耶選手ホールドが解けてしまった!!!』
処刑人は乱れ切った呼吸で何とか酸素を取りこみつつ拳を握り、床に倒れている摩耶へと振り降ろした。
阿古谷「ゼェゼェ……せ、正義の為に…………正義を執行するッッ!!」
拳が落ちていく……刹那、摩耶は両手で地面を叩いき身体を飛びあげ、阿古谷の顎を穿った。そのまま一回転して立ちあがり地面を踏みしめる。
摩耶「一脚…」
阿古谷「ぐっ……」
【黒状態】!まだそんな余力が!?
口元から血を吹きだしながらも歯を食いしばって処刑人は怪物はまだ立ちあがった。
摩耶「二脚……」
ドンッ、ドンッと力強く地面を踏みつけて摩耶は怪物に間合いを詰める。
阿古谷「笑止ッ!」
間合いは既に阿古谷の射程圏内、殺意を込めた拳が放たれた。真っ正面から心の臓腑狙った一撃。
絶体絶命の一撃を摩耶は拳を振るって弾き飛ばした。
「「「「『!!?』」」」」
阿古谷「!!??」
観客も司会実況もレフリーも、阿古谷すらも理解ができなかった。仕合当初から完全には対処できなかった処刑人のしかも渾身の一撃を真っ正面から弾いたのだ。
摩耶「ようやく…………達した……剄……。三脚。」
阿古谷「!!?」
このとき、阿古谷清秋は自身の起きている異変に漸く気がついた。両腕に走る痺れにも似た熱、倦怠感…。
毒?
ある意味では間違ってはいない。
毒ならば、いつそれを仕込まれたのか?
それは仕合当初。
摩耶が仕合当初から仕掛けた、がむしゃらとも思える打撃のラッシュ。全てはあの三角締めへの布石とも思われた拳の牽制、その全てに摩耶は剄を込めていた。ダメージにもならない打撃とほんのわずかな剄撃、その小さな一発一発が蓄積していき毒のように阿古谷の視神経を侵し、遂に自慢の反射神経に変調をきたしたのだ。
摩耶「四……脚ッッ!!」
一歩、一歩踏みこむたびにアドレナリン切れから戻ってきた痛みが全身を駆け巡る。
阿古谷「小癪小癪小癪!!!!!!」
拳を弾かれたが自分から近寄ってくる摩耶に阿古谷は大口を開いて喉笛へと喰らいつきにかかった。
しかし、しかし……摩耶は苦痛に顔を歪めながらも死が迫ろうともその歩みを止めない。
摩耶「五脚!!大ッッッ爆発剄!!」
【摩耶式:黒&白状態】
×
【桜花式:八極狸門大輪】
腕が千切れたっていい。
最後の踏みこみと同時に全ての剄力を乗せた肘を打ちこんだ。
ドッ…………ン!!
あらゆる音が消えた。仕合を見ている全ての人間が息を飲む。
闘技場の中心で首に喰らいつく怪物、停止する小さな闘技者。二人は動かない。1秒、2秒、3秒……たった数秒、だか永遠にも思える均衡からついてに一人の男が地面に崩れ落ちた。
関林「春男。言っただろ?アイツは天才だってよ。」
処刑人は地に落ち、小さな闘技者が天に拳を突き上げた。
小石「勝負ありぃっっっっ!!」
処刑人の行動は迅速、そして的確だった。回り込もうとする摩耶の動きをに喰らいつき半回転して正面に陣取った。
阿古谷「!?」
小石「え?」
目の前に居るのはレフリーの山本小石。摩耶ではない。人類史上最高峰の反射神経を持つ怪物もこれには思考と動きが一時的に完全に停止した。
阿古谷「何…?」
瞬間、蛇、意識を断つ黒蛇、動きを止める白蛇がが絡みついた。背中に飛び着いた摩耶の双腕は首に、双脚は阿古谷の二の腕ごと胴体を絞めつけたのだ。
【黒・白蛇絡め】
アダム「上手いッ!!糞レフリーを利用しやがった!!」
目への攻撃から生まれる阿古谷の死角、そしてレフリーの気配と重なるように移動することで摩耶の存在を見失わせたのだ。
思わず叫んだアダム、そして西品治明も拳を握った。
西品治「よしッ!よしッッ!!」
最後のチャンスだ、摩耶!!決めてこい!!
体格も力も大きな差がある阿古谷と摩耶ではあるが背後から、そして完全に首と腹部を絞めつけたならば力で解くことは不可能。
摩耶「ウオォォォッ!」
持てる限りの力を込めて絞めをつけるが怪物は未だオチなかった。摩耶の叫びをかき消すように声を上げる。
阿古谷「笑止ッッ!!」
何をするかと思えば全力で後ろ向きに走りだしたのだ。そして、摩耶もろとも壁に突っこんだ。
ゴッ!!と重低音、一度ではない、何度も何度も何度も何度も自身の背を、引いては摩耶を叩きつけ続ける。
鞘香『壁に叩きつけるーーー!!!』
ジェリー『マヤ選手が死んじまいマーース!!』
大久保「いやまだやっ!!坊のリーパーは、全く緩んでへんッッッ!!!」
極技にも通ずる【格闘王】の大久保直也の見立て通り摩耶の絞めは緩んでおらず、むしろ更に深くきつく極まっていく。そして自ら激しく動き、酸素の供給も断たれた怪物の顔色に変化が訪れだした。歯を食いしばり血走った眼でさらに抵抗を続ける。
壁が砕け凹むほどの衝撃を受け続ける摩耶。
金剛君…先輩…アダム…鈴猫ちゃん…………悠君……僕、絶対に勝つから…………絶対に勝つから……もう少し待っててよ。
意識どころか心の臓府が停止してもおかしくないダメージを負いながらも1ミリ、1ミクロンたりとも絞めを緩めない……。敵の動きが停止するまで…………すると、突如来るはずの衝撃が止んだ。
絞め落としたのか?そうではない、阿古谷は壁に振り返ると前進して大きく二度壁を蹴りとばして飛びあがった。そして全体重を乗せて地面へと落下する。
爆音にも等しい落下音。一般の成人男性が1メートル落下したとき単純に計算しても1.5tの衝撃が発生する。そして……今の摩耶が受けた衝撃はそれをはるかに上回っていた。硬い地面に身体がめり込み、ついに拘束を解いて締まった。
阿古谷「ゼェゼェッ、ゼェッゼェ……!!」
鞘香『離れたーーーーっ!!!ついに摩耶選手ホールドが解けてしまった!!!』
処刑人は乱れ切った呼吸で何とか酸素を取りこみつつ拳を握り、床に倒れている摩耶へと振り降ろした。
阿古谷「ゼェゼェ……せ、正義の為に…………正義を執行するッッ!!」
拳が落ちていく……刹那、摩耶は両手で地面を叩いき身体を飛びあげ、阿古谷の顎を穿った。そのまま一回転して立ちあがり地面を踏みしめる。
摩耶「一脚…」
阿古谷「ぐっ……」
【黒状態】!まだそんな余力が!?
口元から血を吹きだしながらも歯を食いしばって処刑人は怪物はまだ立ちあがった。
摩耶「二脚……」
ドンッ、ドンッと力強く地面を踏みつけて摩耶は怪物に間合いを詰める。
阿古谷「笑止ッ!」
間合いは既に阿古谷の射程圏内、殺意を込めた拳が放たれた。真っ正面から心の臓腑狙った一撃。
絶体絶命の一撃を摩耶は拳を振るって弾き飛ばした。
「「「「『!!?』」」」」
阿古谷「!!??」
観客も司会実況もレフリーも、阿古谷すらも理解ができなかった。仕合当初から完全には対処できなかった処刑人のしかも渾身の一撃を真っ正面から弾いたのだ。
摩耶「ようやく…………達した……剄……。三脚。」
阿古谷「!!?」
このとき、阿古谷清秋は自身の起きている異変に漸く気がついた。両腕に走る痺れにも似た熱、倦怠感…。
毒?
ある意味では間違ってはいない。
毒ならば、いつそれを仕込まれたのか?
それは仕合当初。
摩耶が仕合当初から仕掛けた、がむしゃらとも思える打撃のラッシュ。全てはあの三角締めへの布石とも思われた拳の牽制、その全てに摩耶は剄を込めていた。ダメージにもならない打撃とほんのわずかな剄撃、その小さな一発一発が蓄積していき毒のように阿古谷の視神経を侵し、遂に自慢の反射神経に変調をきたしたのだ。
摩耶「四……脚ッッ!!」
一歩、一歩踏みこむたびにアドレナリン切れから戻ってきた痛みが全身を駆け巡る。
阿古谷「小癪小癪小癪!!!!!!」
拳を弾かれたが自分から近寄ってくる摩耶に阿古谷は大口を開いて喉笛へと喰らいつきにかかった。
しかし、しかし……摩耶は苦痛に顔を歪めながらも死が迫ろうともその歩みを止めない。
摩耶「五脚!!大ッッッ爆発剄!!」
【摩耶式:黒&白状態】
×
【桜花式:八極狸門大輪】
腕が千切れたっていい。
最後の踏みこみと同時に全ての剄力を乗せた肘を打ちこんだ。
ドッ…………ン!!
あらゆる音が消えた。仕合を見ている全ての人間が息を飲む。
闘技場の中心で首に喰らいつく怪物、停止する小さな闘技者。二人は動かない。1秒、2秒、3秒……たった数秒、だか永遠にも思える均衡からついてに一人の男が地面に崩れ落ちた。
関林「春男。言っただろ?アイツは天才だってよ。」
処刑人は地に落ち、小さな闘技者が天に拳を突き上げた。
小石「勝負ありぃっっっっ!!」
