ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
だが、この時……阿古谷もまた予想外の事態を迎えていた。
第一仕合を検証し、「黒状態」のからくりは解析済みだった。
黒状態を攻略するには、「俺が攻撃をする瞬間」檜山が「合図」を送り、即座に意識を切り替える。
タイミングを合わせれば、黒状態の完全攻略が可能だったはず…………檜山、なぜ合図が遅れた!?
闘技場内の一望でき、人通りが限りなく少ない立見もできる吹きさらしの廊下で檜山瞬花は驚愕していた。西品治明が瞬花の手を掴み小さな機械の操作を阻害している。
西品治「貴女はこう考えているはずだ。「なぜこの男がここにいる?襲撃に備えて、腕利きの護衛を雇ったのに」ってね。他企業の襲撃に備えて、かなりの猛者を揃えたようですね。闘技者顔負けの経歴を持つ連中ばかりだ。だが、俺も「良い友人」を持っているんでね。」
本来なら護衛たちが通行者を阻んでいる場所では【黒呪の亡霊】因幡良の髪に捕えられ床に転がされていた。
因幡「神妙にしろい!」
ペナソニック社長の瓜田数寄造がそれをわざとらしい口調で諫めた。
数寄造「こらこらーケンカはやめたまえー。うわー、これは大変だ。急いで医務室に運んであげないと。」
西品治「いかなる猛者でも彼の奇襲に対処できる者はそうはいない。なんせ本業は暗殺だからね。……さて、次に貴女はこう考える。「どうして不正がバレた?」と。これは至って簡単な話だよ。君たちの無線は全て傍受させてもらった。」
瞬花「!?」
西品治「盗聴には細心の注意を払っていたようだが、こちらには「専門家」がいるんでね。もっとも、決定的な証拠になる言動はつかめなかったが。」
瞬花「……いつから気付いてたの?」
西品治「……初めは小さな違和感だった。阿古谷の「相手の攻撃を予想しているかのような闘い方」に違和感を覚えた。それで二回戦まで、徹底的にあなた方を探ってみることにした。確信はなかったけどね。……桧山社長、貴方の身辺も調べさせてもらった。貴女は極めて稀有な能力を持っていますね。」
瞬花「!?」
【正確無比な体内時計】
貴方ほどの水準に達している症例は世界でも数件だ。
西品治「「人類最高クラスの反射神経」と「絶対にズレない体内時計。」そして、先の「違和感」。これらの三つのパーツが揃ってしまえば、答えを出すことは容易でした。桧山社長、このことが公(おおやけ)になったところで、貴女が闘技会から罰せられることは無いでしょう。審判が見破れなかった違反は存在しないものとして扱われますからね。が、若桜生命の信用が地に落ちることは確実だ。今後の商いにも影響を及ぼすことでしょう。……檜山さん。阿古谷選手に棄権をするよう伝えるんだ。それが、不正を見逃す条件です。」
その頃、闘技場でも新たな動きを見せていた。
首を極められている阿古谷が膂力だけで摩耶を引きずり上げたのだ。
鞘香『阿古谷選手、極められたまま摩耶選手を持ち上げたーーっ!おっ!?血ッ!血ですッッ!摩耶選手の背中からかなりの量の出血が確認できます!!!』
ジェリー『Maybe、地面との摩擦で皮膚がCUTしたんデース!!摩耶選手はSKINがCUTしやすい肌質をしてヤガるデース!!』
鞘香『一気に熱を帯びてきた第一仕合!!熱い勝負を制するのは果たしてどちらか!!?』
だが、この時……阿古谷もまた予想外の事態を迎えていた。
第一仕合を検証し、「黒状態」のからくりは解析済みだった。
黒状態を攻略するには、「俺が攻撃をする瞬間」檜山が「合図」を送り、即座に意識を切り替える。
タイミングを合わせれば、黒状態の完全攻略が可能だったはず…………檜山、なぜ合図が遅れた!?
闘技場内の一望でき、人通りが限りなく少ない立見もできる吹きさらしの廊下で檜山瞬花は驚愕していた。西品治明が瞬花の手を掴み小さな機械の操作を阻害している。
西品治「貴女はこう考えているはずだ。「なぜこの男がここにいる?襲撃に備えて、腕利きの護衛を雇ったのに」ってね。他企業の襲撃に備えて、かなりの猛者を揃えたようですね。闘技者顔負けの経歴を持つ連中ばかりだ。だが、俺も「良い友人」を持っているんでね。」
本来なら護衛たちが通行者を阻んでいる場所では【黒呪の亡霊】因幡良の髪に捕えられ床に転がされていた。
因幡「神妙にしろい!」
ペナソニック社長の瓜田数寄造がそれをわざとらしい口調で諫めた。
数寄造「こらこらーケンカはやめたまえー。うわー、これは大変だ。急いで医務室に運んであげないと。」
西品治「いかなる猛者でも彼の奇襲に対処できる者はそうはいない。なんせ本業は暗殺だからね。……さて、次に貴女はこう考える。「どうして不正がバレた?」と。これは至って簡単な話だよ。君たちの無線は全て傍受させてもらった。」
瞬花「!?」
西品治「盗聴には細心の注意を払っていたようだが、こちらには「専門家」がいるんでね。もっとも、決定的な証拠になる言動はつかめなかったが。」
瞬花「……いつから気付いてたの?」
西品治「……初めは小さな違和感だった。阿古谷の「相手の攻撃を予想しているかのような闘い方」に違和感を覚えた。それで二回戦まで、徹底的にあなた方を探ってみることにした。確信はなかったけどね。……桧山社長、貴方の身辺も調べさせてもらった。貴女は極めて稀有な能力を持っていますね。」
瞬花「!?」
【正確無比な体内時計】
貴方ほどの水準に達している症例は世界でも数件だ。
西品治「「人類最高クラスの反射神経」と「絶対にズレない体内時計。」そして、先の「違和感」。これらの三つのパーツが揃ってしまえば、答えを出すことは容易でした。桧山社長、このことが公(おおやけ)になったところで、貴女が闘技会から罰せられることは無いでしょう。審判が見破れなかった違反は存在しないものとして扱われますからね。が、若桜生命の信用が地に落ちることは確実だ。今後の商いにも影響を及ぼすことでしょう。……檜山さん。阿古谷選手に棄権をするよう伝えるんだ。それが、不正を見逃す条件です。」
その頃、闘技場でも新たな動きを見せていた。
首を極められている阿古谷が膂力だけで摩耶を引きずり上げたのだ。
鞘香『阿古谷選手、極められたまま摩耶選手を持ち上げたーーっ!おっ!?血ッ!血ですッッ!摩耶選手の背中からかなりの量の出血が確認できます!!!』
ジェリー『Maybe、地面との摩擦で皮膚がCUTしたんデース!!摩耶選手はSKINがCUTしやすい肌質をしてヤガるデース!!』
鞘香『一気に熱を帯びてきた第一仕合!!熱い勝負を制するのは果たしてどちらか!!?』