ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

開始宣言と同時に阿古谷は右腕を縦に構え拳を握る。

鞘香『おーーーーっと阿古谷選手のこの構えは!!!一回戦で河野選手の猛攻を防ぎ切った鉄壁の構えだ!!!』

阿古谷「……」

摩耶の最も警戒すべき点、それは、真芯を捉えられること。俺とほぼ同体格のアダム・ダットリーを一瞬で落す技量。侮れん。

貴様の土俵には付き合わん。

確実に、打撃で仕留める。

摩耶「……」

まるで敵の考えが伝わったかのように摩耶は小さく笑った。

鞘香『……あれ?』
アダム「WHAT?」
氷川「おいおい…マジかよ。」

次に摩耶の出た行動に観客も解説も闘技者たちも、そして対峙している阿古谷清秋すら驚きを見せた。

重心を落として低い位置で構えを取っていた摩耶はやや腰を落とし気味ではあるが身体を起こしてタッタッと小刻みにステップを打つ。

鞘香『こ…これは!?摩耶選手が構えをアップライトに切り替えた!!こ……これはまさか!?摩耶選手、打撃勝負に挑むつもりか!?こうなってくると、仕合は序盤から意外な展開です!!』

ジェリー『相手はOVER300㎏の肉弾魔人・河野春男の打撃ヲ完封した阿古谷選手デース!!waitが半分どころか1/3にも満たない摩耶選手が打撃でWinするのは、ブッチャケかなり厳しいデース!』

鞘香『しかしジェリーさん、摩耶選手は打撃の技術も一流ですが。』

ジェリー『NO、鞘香SUN。TECHNICが多少優レテいても、体格の差を覆すのはBERRY難しいデス。自分よりはるかにBIGな河野選手のATTACKを凌いだ阿古谷選手は、並大抵のテクニシャンじゃありまセーン。』

鞘香『んーなるほどー。さあ、摩耶選手華麗なステップで距離を縮める。堅牢強固阿古谷城を降雨略で切るの華!!?』

射程圏内に入ると即座に攻めに出た前に突きだしている右腕と右足にジャブフェイントからの左インローの連撃を当てるが阿古谷は微動だにしない。さらに連撃に出るのかと思いきやね、攻撃を注視して後ろに下がった。

鞘香『摩耶選手、追撃はせず距離を取る。慎重な立ち上がりです。』

阿古谷「……」

ならばと清秋が摺り足で前へ進もうとした、瞬間に摩耶が閃光のような速さで距離を詰め返してきた。地面を蹴りつけて大きく跳躍し車輪のように回転しながら頭部目掛け蹴りを放った。しかし、阿古谷は上半身を大きく下げて、その強襲に冷静に対処。摩耶は山なりに阿古谷の身体を抜けて地面に着地した。

鞘香『胴回し回転蹴りイイイイイイッ!!』

ジェリー『打点の高い胴回し!!』

鞘香『空振りに終わりましたが摩耶選手、素晴らしいバネを見せつけました!』

アダム「~~ッBULLSHITッ!!マジかよあのジャリBOY!マジで打撃だけで、FUCKINPOLICEを倒すつもりだぜ!」

しっかりと一定の距離を保ちつつ摩耶は再びアップスタンドに構えてじわじわと詰めだした。
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