ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

一夜が明けて、ついに闘技絶命トーナメント第二回戦が開幕となった。

前日以上にドーム内には観客がひしめき、まだかまだかと待ちわびている。興奮とざわめきの中、ドームのないが暗転し、闘技場にスポットライトが照らされた。

その中央にはボンテージにミニスカート、そしてブーツ姿の片原滅堂の娘、片原鞘香とパイナップル柄のシャツに黒の半ズボン姿の【ロケットマン】のジェリー・タイソンが観客たちに向けて手を振りながらもう片方の手に持つマイクに向かって叫んだ。

鞘香『闘技絶命トーナメント第二回戦。開幕ぅーーーーーーー!!!実況は私片原鞘香!』

ジェリー『解説はジェリー・タイソンでお届ケしてやりマーース!』

「「「うおぉぉぉぉぉっ!!」」」」

立見席から鞘香とジェリーを見ている【氷帝】氷川涼がぼやくようにいった。

氷川「あの野郎、正式に解説になったのか……」

末吉「初日の解説が好評だったみたいですねえ。実際分かりやすかったですし。」

氷川「ったく。俺も解説に立候補すればよかったぜ。モテそうだし。」

末吉「まだモテ足りないんですか…」

二人が話しているとうちわを片手にパタパタと仰ぎながら【格闘王】の大久保直也がシャツにジャージというラフな格好で近づいてきた。

大久保「おー暑!やっぱりアカンわ紅のヤツ、どこにもおらへんわ。城ちゃんと串田ちゃんはギリギリまで探すゆうてたわ。」

氷川「あの馬鹿。まさか敗けたショックで自さ…」

末吉「縁起でもないこと言わないでくださいよ!」

大久保「ったく、あの阿呆はどこほっつき歩いとるんや。しまいにゃ怒るでしかし……この次は、悠の仕合やっちゅうのに薄情な奴やで。」

鞘香『それでは第一仕合闘技者入場!!』

選手登場口前の廊下では西品治警備保障社長の西品治明とアダム・ダッドリー、そして桜花鈴猫が摩耶を見送っていた。

アダム「HEY、BOY!FUCKINポリ公なんかに負けんじゃねえぞ!!A.C.A.B(AllCopaAreBastards)たぜ。」

西品治「……いってこい摩耶。」

鈴猫「気をつけてね。」

摩耶「三人ともありがとう!絶対に勝ってくるよ!」

笑顔を見せて摩耶は登場口を潜った。

鞘香『先に現れたのはこの人!【黒天白夜】摩耶だアアアアアッッ!!前仕合の反省か、今回は上半身裸で入場!!』

摩耶「イエーイ~!」

上半身裸でカンフーパンツ姿の摩耶は観客たちに両手を振ってアピールする。

ジェリー『OH!NICE&cuteなスマイルデース!ダメージの蓄積はNOTHINGのようデース!』

実況の発言に鈴猫が西品治に聞いた。

鈴猫「……西品治さん、摩耶君は本当に身体は大丈夫なんですか?」

西品治「まさか。全身打撲に加え、前腕にはヒビが入ってる。痛み止めを使って誤魔化してる状態だ。」

アダム「WTF!?そんな状態で仕合に行かせたのか。」

西品治「……出場を決めたのは摩耶自身だ。「トーナメントに怪我は付き物だよ」と言って笑ってたよ。」

アダム「…FUCKINっ!あのバカ野郎!!知ってたら俺が代わりに出てやったのに…」

鈴猫「……。」

摩耶君が選んだ道。最後まで応援してるからね。
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