ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー願流島:河川ー
悠「ハァ……ハァ……ハァ……。」
何度かの呼吸、水中の往復をこなして、ついに岸部にまで上がってきた悠は今まで以上に洗い呼吸をしていた。
吉岡「(水中シャドー×20本。平均潜水時間およそ7分。)」
悠「ハァっ、ハッ、ハァ……ハッハッ……よし。」
吉岡「(驚異的な体力だ…!)」
ある程度息が整え終わると水の中から完全に這い出て立ちあがった。濡れた長髪を両手で握りそのままスライドさせるとボドボドと水がしたたり落ちる。
悠「次だ、吉岡。ハッハッ、ハァッ準備はできてるか?」
吉岡「…はい。ご所望のお品物も持参しております。鞭。そして槍。」
しっかりとした革製の鞭と鋭くは先が光る槍。どちらもイミテーションや競技用のものではなく武器としての得物だ。
悠「オーライ」
吉岡は上着を脱いでネクタイを解きながら悠に尋ねた。
吉岡「まずは一服なさいますか?」
乱れていた呼吸は既に戻り、トンットンッとリズムを刻むように軽くステップを踏みながら悠が言った。
悠「問題ねぇよ。……よし。始めようぜ吉岡。武器を取りな。」
吉岡「小鳥遊様……私、武器術は不得手故……手加減はできかねますことをご了承ください。」
束ねた鞭を自由にすると吉岡は巧みに振るいだす。その流麗な動きはけっして不得手と言えるものではない。
達人が振るう鞭の先端速度は、文字通り「音速」を超える。人の反射神経で見切ることは不可能。
ヒュッヒュッと風を裂き、視えない穂先が悠のすぐ側の地面を二度弾いた。瞬間、意思を持った蛇のように大きくうねり肩を抉り削ごうと襲いかかる。
手加減などという物は無い、確実に人体へ壊そうとした一撃だが聞こえてきたのは肉を打つ音音ではなく引き伸ばしたゴムが裂け千切れ多様な音、それと同時に鞭から幾分かの重みが消える。
吉岡は目を見開いて驚いた。穂先が切り落とされているのだ。
悠「ふー……」
【小鳥遊流:秋冬ノ型:流刃】
何が起こったのかはわからない、ただ空手の前羽のような構えを取っている悠の手の側面部が腫れている。つまり、手で何かをしたのだろうが……吉岡はすぐに次の行動に移った。鞭を捨てながら背後へと回りこみ、槍を手にすると容赦なく突き立てる。
迫りくる白刃、身体を横に振って避けるも、二突き、三突き……上半身狙いの突きのラッシュが襲いかかる。
当然だが、その本物の刃が突き立てば怪我では済まない。それでも連射の速度と隙は少なくなっていき遂に悠の頬を掠った。
僅かに体勢が崩れたところに渾身の突きが放たれる。
【小鳥遊流れ:春夏ノ型水草取り】
向かい来る槍から距離を取るのではなく自分から絡みつくような動きで槍を脇に挟みこみ捕えた。
悠「ハァ……ハァ……ハァ……。」
何度かの呼吸、水中の往復をこなして、ついに岸部にまで上がってきた悠は今まで以上に洗い呼吸をしていた。
吉岡「(水中シャドー×20本。平均潜水時間およそ7分。)」
悠「ハァっ、ハッ、ハァ……ハッハッ……よし。」
吉岡「(驚異的な体力だ…!)」
ある程度息が整え終わると水の中から完全に這い出て立ちあがった。濡れた長髪を両手で握りそのままスライドさせるとボドボドと水がしたたり落ちる。
悠「次だ、吉岡。ハッハッ、ハァッ準備はできてるか?」
吉岡「…はい。ご所望のお品物も持参しております。鞭。そして槍。」
しっかりとした革製の鞭と鋭くは先が光る槍。どちらもイミテーションや競技用のものではなく武器としての得物だ。
悠「オーライ」
吉岡は上着を脱いでネクタイを解きながら悠に尋ねた。
吉岡「まずは一服なさいますか?」
乱れていた呼吸は既に戻り、トンットンッとリズムを刻むように軽くステップを踏みながら悠が言った。
悠「問題ねぇよ。……よし。始めようぜ吉岡。武器を取りな。」
吉岡「小鳥遊様……私、武器術は不得手故……手加減はできかねますことをご了承ください。」
束ねた鞭を自由にすると吉岡は巧みに振るいだす。その流麗な動きはけっして不得手と言えるものではない。
達人が振るう鞭の先端速度は、文字通り「音速」を超える。人の反射神経で見切ることは不可能。
ヒュッヒュッと風を裂き、視えない穂先が悠のすぐ側の地面を二度弾いた。瞬間、意思を持った蛇のように大きくうねり肩を抉り削ごうと襲いかかる。
手加減などという物は無い、確実に人体へ壊そうとした一撃だが聞こえてきたのは肉を打つ音音ではなく引き伸ばしたゴムが裂け千切れ多様な音、それと同時に鞭から幾分かの重みが消える。
吉岡は目を見開いて驚いた。穂先が切り落とされているのだ。
悠「ふー……」
【小鳥遊流:秋冬ノ型:流刃】
何が起こったのかはわからない、ただ空手の前羽のような構えを取っている悠の手の側面部が腫れている。つまり、手で何かをしたのだろうが……吉岡はすぐに次の行動に移った。鞭を捨てながら背後へと回りこみ、槍を手にすると容赦なく突き立てる。
迫りくる白刃、身体を横に振って避けるも、二突き、三突き……上半身狙いの突きのラッシュが襲いかかる。
当然だが、その本物の刃が突き立てば怪我では済まない。それでも連射の速度と隙は少なくなっていき遂に悠の頬を掠った。
僅かに体勢が崩れたところに渾身の突きが放たれる。
【小鳥遊流れ:春夏ノ型水草取り】
向かい来る槍から距離を取るのではなく自分から絡みつくような動きで槍を脇に挟みこみ捕えた。