ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:滅堂ホールー
パーティホールの上部に取り付けられている蝶巨大なモニターがパッと光るとご機嫌な様子の会長、片原滅堂が映った。
滅堂『はろ~皆の衆。楽しんどるかの?』
城「で……出た!片原会長。」
会場の人間全員がモニターの方へ視線を向ける。
滅堂『大会初日お疲れさん。突然じゃが、ここで追加ルールを発表するぞい。なお、この放送は島内全域で放送しておるぞい。打ち上げパーチーに参加して居ない連中と情報格差ができては「あんふぇあ」じゃからの。』
島内全域というのは本当のことで各部屋のテレビ、屋外でも建物に映し出され、海に至っては地面からモニターが出てきて映っているのだ。
兜馬「……」
「追加ルール?」
西品治「……」
摩耶「……」
「一体何を始める気だ?」
城「一体どんなルールを付け加えるんでしょう?」
パーティ会場の空気が一気に張り詰めた。
滅堂『ほ~い。それじゃあ発表するぞい。二回戦以降、一度だけ闘技者の変更を認めるぞい。人選は、本人の合意さえあれば一切自由じゃ。』
城「……(ええ??)」
滅堂『闘技者変更は仕合直前まで許可するからよーく考えるとええぞい。発表は以上じゃ。じゃあのー。』
ほんとうにその発表だけするとプッと映像が消えた。辺りはまだシーンっと静まったままだ。
城「あ、あれ……?追加ルールってこれだけ?」
要は各社でリザーバーを用意していいってことだよね?追加ルールっていうから何かと思ったけど特に驚きは無いような。
けど、リザーバーかぁ……悠さんは嫌がりそうだなぁ……。
【浮雲】の初見泉が小鳥遊グループ社長、小鳥遊兜馬にぼやくようにいった。
初見「あのジジイ……とんでもねえルールをぶち込んできやがった。」
兜馬「……」
『本人の合意さえあれば人選は一切自由』
それはつまり……他の企業の闘技者を、引き抜いてもいいということ。
初見「敗退した闘技者はもちろんのこと、同意さえあれば勝ち抜いている闘技者の「移籍」も可能ってこと。東電は動くと思うかい?」
兜馬「いや。東洋電力はユリウスという最高戦力を保持している。ユリウスが無傷で二回戦に進んだ以上、闘技者を交代させるメリットはゼロに等しい。東電について警戒すべきなのは、二階堂蓮率いる天狼衆。それに守護者を使った、「他企業への圧力」の方だ。このルールを最も歓迎しているのは、おそらく「奴」だ。」
初見「……そいつは一体誰だ?」
兜馬「十王通信社長、高田清助。」
十王通信は、政界と強いパイプを持つ闘技会有数の企業。特定の派閥に所属こそしていないが、その権力は絶大だ。
高田の野心は、東電の速水をも上回っているかもしれない。
初見「ほう。だが、十王通信は坂東洋平がいるぜ?」
兜馬「……闘技者、坂東洋平は、英から移されたウイルスで死を待つ身。代替えの闘技者が喉から手が出るほど欲しいはずだ。」
初見「!?……おやっさん。アンタ……」
兜馬「うむ。お前には伝えていなかったが……トーナメント組み合わせ終了後、小鳥遊グループと帝都大学は同盟を結んでいたのだ。帝都大学が坂東を打ち損ねた場合、二回戦で当たるうちが奴を始末する。……まあ我々が手を下すまでもなさそうだがな。」
初見「……(ケッ。俺に殺しをさせるつもりだったのかよ。食えねえオッサンだぜ。……しかし、このルール荒れるかもしれねえな。)」
雇用主に忠誠を誓っている闘技者なんざ極々一部。現状より好条件を突きつければ、寝返っちまう可能性が高い。
さあて……俺もどうするかねえ?
パーティ会場の外でハーブタバコを吸っている小鳥遊製薬代表取締役の小鳥遊柏にある男が声をかけていた。
「小鳥遊さん」
柏「ん?ああ、アンタか。何かようかい?高田社長。」
高田「……ええ。実はあなたに折り入ってお願いが……。」
パーティホールの上部に取り付けられている蝶巨大なモニターがパッと光るとご機嫌な様子の会長、片原滅堂が映った。
滅堂『はろ~皆の衆。楽しんどるかの?』
城「で……出た!片原会長。」
会場の人間全員がモニターの方へ視線を向ける。
滅堂『大会初日お疲れさん。突然じゃが、ここで追加ルールを発表するぞい。なお、この放送は島内全域で放送しておるぞい。打ち上げパーチーに参加して居ない連中と情報格差ができては「あんふぇあ」じゃからの。』
島内全域というのは本当のことで各部屋のテレビ、屋外でも建物に映し出され、海に至っては地面からモニターが出てきて映っているのだ。
兜馬「……」
「追加ルール?」
西品治「……」
摩耶「……」
「一体何を始める気だ?」
城「一体どんなルールを付け加えるんでしょう?」
パーティ会場の空気が一気に張り詰めた。
滅堂『ほ~い。それじゃあ発表するぞい。二回戦以降、一度だけ闘技者の変更を認めるぞい。人選は、本人の合意さえあれば一切自由じゃ。』
城「……(ええ??)」
滅堂『闘技者変更は仕合直前まで許可するからよーく考えるとええぞい。発表は以上じゃ。じゃあのー。』
ほんとうにその発表だけするとプッと映像が消えた。辺りはまだシーンっと静まったままだ。
城「あ、あれ……?追加ルールってこれだけ?」
要は各社でリザーバーを用意していいってことだよね?追加ルールっていうから何かと思ったけど特に驚きは無いような。
けど、リザーバーかぁ……悠さんは嫌がりそうだなぁ……。
【浮雲】の初見泉が小鳥遊グループ社長、小鳥遊兜馬にぼやくようにいった。
初見「あのジジイ……とんでもねえルールをぶち込んできやがった。」
兜馬「……」
『本人の合意さえあれば人選は一切自由』
それはつまり……他の企業の闘技者を、引き抜いてもいいということ。
初見「敗退した闘技者はもちろんのこと、同意さえあれば勝ち抜いている闘技者の「移籍」も可能ってこと。東電は動くと思うかい?」
兜馬「いや。東洋電力はユリウスという最高戦力を保持している。ユリウスが無傷で二回戦に進んだ以上、闘技者を交代させるメリットはゼロに等しい。東電について警戒すべきなのは、二階堂蓮率いる天狼衆。それに守護者を使った、「他企業への圧力」の方だ。このルールを最も歓迎しているのは、おそらく「奴」だ。」
初見「……そいつは一体誰だ?」
兜馬「十王通信社長、高田清助。」
十王通信は、政界と強いパイプを持つ闘技会有数の企業。特定の派閥に所属こそしていないが、その権力は絶大だ。
高田の野心は、東電の速水をも上回っているかもしれない。
初見「ほう。だが、十王通信は坂東洋平がいるぜ?」
兜馬「……闘技者、坂東洋平は、英から移されたウイルスで死を待つ身。代替えの闘技者が喉から手が出るほど欲しいはずだ。」
初見「!?……おやっさん。アンタ……」
兜馬「うむ。お前には伝えていなかったが……トーナメント組み合わせ終了後、小鳥遊グループと帝都大学は同盟を結んでいたのだ。帝都大学が坂東を打ち損ねた場合、二回戦で当たるうちが奴を始末する。……まあ我々が手を下すまでもなさそうだがな。」
初見「……(ケッ。俺に殺しをさせるつもりだったのかよ。食えねえオッサンだぜ。……しかし、このルール荒れるかもしれねえな。)」
雇用主に忠誠を誓っている闘技者なんざ極々一部。現状より好条件を突きつければ、寝返っちまう可能性が高い。
さあて……俺もどうするかねえ?
パーティ会場の外でハーブタバコを吸っている小鳥遊製薬代表取締役の小鳥遊柏にある男が声をかけていた。
「小鳥遊さん」
柏「ん?ああ、アンタか。何かようかい?高田社長。」
高田「……ええ。実はあなたに折り入ってお願いが……。」