ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:滅堂ホールー

色んな意味で目立っている三人のやり取りを見ていた【大物喰い】金田末吉がいった。

末吉「あの二人……今日激闘を繰り広げていたとは思えないほど打ち解けていますね。」

隣に立つ【闘神】右京山寅は上下スーツという格好をしているが絞めているネクタイが窮屈だったのか解いてワイシャツのボタンも上から二つ外してしまっている。

寅「ふんっ。別に俺らは因縁があって闘りあったわけじゃねぇ。仕合が終われば全てを水に流す。それが闘技者って存在だろう。」

左近「まぁ、金田さんと寅さんもそうじゃないですかい。」

末吉「アハハ!確かに人のことは言えませんね。……寅さん、二回戦の相手、手ごわいですね。」

金田の視線の先に居る男、二回戦で寅が闘う相手、それは【滅堂の牙】加納アギトだ。

アギト「何だこの生物は!?」

大久保「だからコイツが「ゼットン」やて」

直也がスマホでゼットンの画像をアギトに見せている。

寅「ああ。相手は裏世界最強の男。……相手に不足はねぇ……」

そう言いかけたところで背後から何者かの腕が伸びてきた。寅の肩と末吉の肩をがっちりとホールドすると大声で叫んできた。

サーパイン「トラアァァァァぁっ!金田末吉イィィィィッ!良い仕合だったぜェエエエエエッ!!!」

【吼える闘魂】サーパインである。

寅「……しまった。見つかったか…」

末吉「さ、サーパイン選手!?声がでかい!」

サーパイン「感動したぜエエエエエッ!!」

爆音原の後ろでは進行解説役として活躍を見せた片原滅堂の娘、片原鞘香がいた。闘技場では黒のスパンコール調のドレスだったが今は純白のドレスに着替えているがどっちのドレスも布面積より肌面積の方が多い。

鞘香「良かったねサー君。ラーさんにあえて。」

寅「……ラー?」

左近「寅(とら)の「ら」じゃないですかね。」

末吉「(スゴイあだ名のセンスだ)」

すると鞘香の後ろからスーツの上着が肩にかけられた。

鞘香「あー烈君!」

烈堂「姉ちゃん……ちょっと肌出し過ぎじゃねー?いや、姉ちゃんの自由だけどさ……ほら…冷えると身体に悪いからさ…」

末吉「あの方は?」

サーパイン「烈堂オォオオオッ!!」

恐らくサーパインは知り合いなのだろうが名前を叫んでいるだけでまるで説明になっていない。

末吉「えぇ…」

左近「確か、片原烈堂さんですね。片原会長のご子息でさぁ。鞘香嬢の弟さんでもありますね。」

鞘香『殲滅部隊も今日はお仕事終わりなの?』

烈堂「うん。そうなんだけど……親父が、大会の追加ルールを発表するらしいんだ。だから一応警護を」

追加ルールの言葉を聞いて寅たち闘技者組が反応した。あのサーパインすら口を閉じたのだ。
59/100ページ
スキ