ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:滅堂ホールー

闘技絶命トーナメント初日、16の激戦が終わった。
そして、願流島に夜が訪れる。

一回戦打ち上げパーティー会場では相当広いブロアーでもあるにかかわらず大変な数の人間が集まって昼間の闘いについて、この先の予想などいたるところで話しが盛り上がっている。

松永工業秘書の串田凛はワイングラスを両手で持って感想を漏らした。

凛「わ~すごい人数ッス。昼間より人が増えてるッス。」

松永工業社長の久秀はピンク色のシャンパングラスの中で軽く揺らすと口に運んだ。

久秀「一回戦に間に合わなかった会員や、各国首脳が次々と駆け付けているんでしょ。まだ大会初日だし。」

……悠が見当たらないわね、あの娘をつけさせてるけどイマイチ頼りないし……騒ぎを起こさなきゃいいんだけど。


悠のお目付け役(パシリ)を命じられていた城厘だが、ついさっきまで一緒に料理を取ったりしていた悠の姿を見失ってしまっていた。

城「あれ、悠さん?悠さーん?」

その背後で黒いスーツに赤の蝶ネクタイ、頭部に包帯を巻いてサングラスをかけたガタイのいい男がノシノシッと歩いていく。

周りの人間は道を開けながら口々に呟いている。

「おお!大久保だ!」

「身体はもういいのか…?」

そんな周りの人間には目もくれず歩いていたが目的のモノをつけるとピタッと足が止まった。

大久保「……この会場、どんだけ広いねん。よーやっと見つけたでアギトはん。」

ペペロンチーノらしきパスタが盛られた皿にフォークを落としていた【滅堂の牙】アギトが振り返った。

アギト「……お前か」

大久保「食事中にすまんな。……ってか、アンタも飯食うやな。」

アギト「当たり前だ。私も人間だからな。私に何か用か、大久保直也。」

大久保はサングラスを外してアギトを見る。その脳裏には仕合で体験した怪物の進化がフラッシュバックした。冷たい汗が背中に走るも、目を閉じてフーーッと息を吐いて、再びアギトに目を向けていった。

大久保「今回は完敗や。正直、アンタに勝てるビジョンが浮かばへん。」

アギト「……「今回は」?」

【格闘王】の大久保直也はアギトの真ん前まで移動してしっかりと口にした。

大久保「次は俺が勝つってことや。待っとれよワレ。ナオヤ オオクボは更にパワーアップして帰ってくるで~」

まだ痣の残る顔ではあるがニッと歯を見せて笑う大久保。

アギト「……そうか。お前も「克服」したか。大久保直也、いつでも挑んで来い。「頂点」で待っているぞ。……ところで、ゼットンとは何者だ?」

大久保「まだ言うんかい!!」

二人のやり取りを見ていた氷川涼が話に加わっていく。

氷川「ゼットンてのはウルトラマンの怪獣だよ」

アギト「む?お前は誰だ?」

氷川「闘技者の氷川だっ!!」
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