ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

アギトを地面に叩きつけ、大久保は即座に足を取りにかかった。かかとに肘の内側をフックさせてから両手をクラッチして両足で相手の膝を固定しつつ、フックした相手のかかとを体ごとひねる。

鞘香『ヒールホールドーっ!!?』

淀みなく完璧に捉えにかかったが、アギトは逆の足の踵で大久保の肩を蹴り押した。衝撃に、捉えた足が腕の中から抜ける。

大久保「逃がすかいっ!!」

地面を叩いて倒れかけた上半身を跳ね戻すも、今度はアギトが大久保の腕を引っ張り捕えて上半身に足を絡めてホールドして絞め落としにかかった。

しかし、大久保は膂力で腰を立ててアギトの頭を踏みつけようとした、だが絡みついたままアギトは身体を振って一回転した。

鞘香『大久保選手のストピングを躱し、腕十字に切り替えたッッッ!』

腕を取られたまま大久保は再び地面に伏せさせられたが、地面をこすりながら半回転しつつ身体を表に起こしたのだ。

大久保「ドラァッ!」

鞘香『いっ!!?いやッッ!!?大久保選手瞬時にエスケープッッ!!!逆サイドを取る!!!』

すると、大久保の頭にアギトの手が伸びた。引っ掴んで地面へと引きずり込む。ガガガッと頭を削りながらさらに一回転して袈裟固めに移行する。

ジェリー『首投げから袈裟固めッッ!!リメンバー、アギト選手が主導権を握りやがったデース!!!』

ザリッザリッと音を立てて地面を削りながら回転しアギトの腕から抜けるとそのまま投げ飛ばした。

鞘香『っと、また脱出ーーーーっ!!!』

二人の雄は身体を起こすと即座に掴み合う、大久保はアギトを地面に倒しマウントを取ろうとする、だがアギトハ大久保の身体を足で挟み、腕を極めにかかった。

「「「ウオォォォォォォッ!!」」」」

鞘香『止まらないッ!止まらないッッ!!止まらないッッッ!!!流れるような攻防が続くッッッ!!!大久保がバックを取る!!!すかさずアギトが極め返すッッ!!二匹の蛇が絡み合うが如くッッッ!!!』

【黒天白夜】摩耶の笑顔が崩れて真顔になって仕合の内容に冷汗がつたった。

摩耶「二人とも崩れない……。一回戦のレベルじゃないよ、これ……!」

会長専用のVIPルームでは大久保の動きに滅堂が感想を述べた。

滅堂「大したものじゃ。熱海の、良い闘技者を見つけたのう。」

熱海「恐れ入ります。……初戦から【牙】にぶつけたのは、過信からではありません。「大久保直也なら【牙】を倒せる」という「確信」からです。」

滅堂「ふむ?」

闘技場では遂に大久保がアギトからマウントを取ったところだった。アギトの上から打撃を落としていく。

大久保「ッッ!!!」

何やねんコイツ?この俺とタメ張る組み技の技術を見せたと思ったら、あっさりマウントを取らせよった。今かて抵抗らしい抵抗もせず、最低限のガードのみ。

こいつは一体、何がしたいんや!?

アギト「十分だ。」

大久保「!?」

アギトが腰を振り上げると大久保が跳ねあがった。腰だけでマウントを解かれたのだ。
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