ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

【格闘王】大久保直也の広い背中を見送りながら金剛がいった。

金剛「あの男は、実力一本で自身への批判を封じ込めた。奴が残した実績は格闘界でもトップレベルだ。」

久秀「果たして、「牙」相手にどう立ち回る、か……。」

鞘香『選手入場!!大阪から難波のロッキー(自称)見参!!!「表」の王者が「裏」の王者と激突するッッッ!!!打・投・極・絞、全ての技が許されるキングオブマーシャルアーツ。れが総合格闘技!!現在、総合格闘技界の中心を担うのは、【格闘王】と呼ばれる一人の日本人。その打撃、強烈無比!その投げ技は、一投必殺!その極め技、回避不可能!その絞め技、触即昏倒ッッッ!全局面に置いて死角なし!!総合格闘技戦績は26戦26勝!最終ラウンドまで生き残った相手は、誰一人存在しません!総合格闘技界の生きる伝説が今っ!闘技仕合初参戦!「表」と「裏」の王者は一人でいいッッ!!「表」の王者が裏格闘界を侵略するッ!!!身長195センチ!体重116キロ!闘技仕合初参戦!!ムジテレビ代表闘技者!!大久保直也アアアッッッ!!!』

大久保「ハロ~~エブリワン。アナタのナオヤ・オオクボが来ましたえ~」

【格闘王】大久保直也

氷室「ほう」

雲山「むっ」

阿古屋「……」

一回戦を勝ち抜いた闘技者たちが大久保を見て反応する。

この男……強い。

更に【禁忌の末裔】魏雷庵も凶悪な笑みを浮かべて大久保を見降ろしていた。

雷庵「クカカカッ!」

喰いごたえのありそうな奴がまた一人…嬉しいぜ……強え奴を一方的に蹴散らしてやるのは格別に楽しいからな~。……まあいい。本当に強え奴は、放っておいてもいずれ闘える。……それに二回戦は「面白いことになりそう」だしな。

雷庵は魏一族特有の黒眼で立見席の方を見た。視線の先に居るのは小鳥遊悠だ。

相手は因幡流如きに苦戦したサンピンだが、我慢してやるぜ。

悠「……わかってたぜ大久保。」

氷川涼、紅、金田末吉、お前……四人の中で、お前が一番強えってことは。

大久保の歓声が鳴りやまぬなか、鞘香が次の闘技者の紹介を開始した。

鞘香『すうー……皆さまッッ!!お待たせ致しましたッッ!!いよいよ「あの男」の入場です!!!誰が呼んだか「闘技仕合の帝王」!!!』

大久保「……(何や?急に静かになったぞ?)」

鞘香『デビュー戦以来、闘技仕合新記録の157連勝を更新中!!!新たな伝説と屍の山を築いた男ッッッ!!!……満を持しての入場ですッッッ!!!身長201センチ!体重128キロ!闘技仕合戦績157戦0敗!企業獲得総資産7兆7060億8300万円!大日本銀行代表闘技者!加納アギトォオォオオーーーッ!!!!』

髪をオールバックに固め、首から足首まで黒のピッチリトしたバトルスーツを着た男が登場した。

【滅堂の牙】加納アギト

初見の者は、瞬時に「その男」の圧倒的武力を悟り、既に知る者は、改めてその力量に戦慄した。

摩耶「(ありゃりゃ……おっかないなぁ)」
サーパイン「マジかぁ!」
凍夜「(アレは人じゃないな…。)」
雷庵「……!」
氷室「(「帝王」の名に恥じない男みたいでね。)」
初見「あーやだやだ…」
ユリウス「……」
桐生「……」
英「解剖したいなぁ。」
寅「あれが……牙」
金剛「……」
阿古屋「……」
雲山「兇悪……だな。」

悠「チッ」
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