ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
今までの比ではないピンポイントストレートが金田に炸裂し、血を吐きだしながら床へと落ちる。
鞘香『直撃イイイイィィィッッ!!!ボディブローが突き刺さったアアアアーー!!!たまらず金田選手崩れ落ちるーーーー!!!』
「「「ウオオオオオオオッ!」」」
観客たちもヒートアップしていくなか、右京山寅は拳を崩して構えを解いて、倒れ落ちた金田に背を向けた。
……見事だ。
試合前、くだらねぇパフォーマンスで挑発してきた世界ランカー。
八百長を持ちかけてきた「南米の英雄」
ファイトマネーを吊り上げる為、俺の挑戦を拒み続けた世界チャンピオン。
口先ばかりのクズ共。そんな連中も少なくなかった。
金田末吉……お前は、連中とは違う。俺に恐れを抱くこと無く、真っ正面から対峙している。お前の勇気、賞賛に値す……
末吉「……ふざけんなよテメェ。」
背にかかる声に寅の動きが止まる。
寅「……何…?」
振り向くと襤褸切れのような金田が腹部を押さえながら立ちあがっている、その顔は苦痛と怒りが混じった表情だ。
末吉「……何がボクシング統一王者だ。それがアンタのやり方かよ?……なんで追撃しなかった。」
寅「……あ?」
あと一撃加えていれば、確実にアンタの勝ちだった。
末吉「……手を抜いたのか?俺が「弱者」だから?…………俺な、アンタのファンなんだよ……最年少最速統一王者……仕合が決まるずっと前から…アンタの試合は繰り返し観てきた。グローブなし。シューズなし。ルールなし。全ての制約から解き放たれたアンタの本気は、こんなもんじゃないだろうがッ!!?」
寅「……大した気力だ。……けどな、もう勝負は明白だろ。金田末吉。俺はてめぇを認めてる。…俺は、この大会を侮っていた。お前みたいな本物の闘士と出会えたことは嬉しい誤算だったぜ。……けどな、俺とテメェの間には大きな壁がある。俺は、テメェを殺すために……」
末吉「それがなめてるって言ってんだ!!!わかってんだよ!才能がないことなんて!!だけどなぁ!!俺にはこれしかねぇんだよ!!!命のひとつや、ふたつ、いつでもくれてやるよ!!」
寅「(コイツ…)」
末吉「……どいつもこいつも勝手に決めつけんじゃねえよ。【弱者】が【最強】目指して何が悪いんだよ!!??」
涙を流して叫ぶ金田末吉に騒がしかった観客たちも口をつぐんでいた。
城「金田さん…」
大屋「金田…」
氷川「(……ようやく本音を吐きやがった。遅せえんだよ。)」
寅「……そうだったのか」
この男は闘技者の中で唯一、【弱者】としてこのトーナメントに挑んでいる。【弱者】を脱却するために……。
静まり返る闘技場にとんでもない声量が響き上がった。【吼える闘魂】の鎧塚サーパインが観客席から立ち上がり叫んだのだ。
サーパイン「応えてやれエエエッッ!!!トラアアァァァッ!!!」
マイクも使わず闘技場中に広がる叫び声は当然、寅の耳にも入っている。しずかに立ち尽くしたままの寅が口を開いた。
寅「…………言われるまでもねぇ。…………悪かった。」
末吉「寅……さん…」
寅「俺は、お前を殺したくなかった。だから、試合の範疇でしか力を使わなかった。……俺は、誤っていた。全力でぶつかることこそ礼儀。如何に言い訳を並べようが、俺はお前に情けをかけた。闘いの場において、同情は侮辱でしかねぇ。闘いとは、対等の立場で行われるべきもの。どうやら俺は「驕り」に支配されてたらしい。よくわかった。テメェに敬意を表し……全力でぶっ潰す。」
そういうと両手の拳を硬く握りしめ再びファイトスタイルになった。
サーパイン「シャアアアアアアアァアアァッ!!」
ふたたび叫びをあげるサーパイン、そして立見席から眺めていた悠も寅の変化に呟いた。
悠「空気が変わった。」
【ボクサー】から【闘技者】になりやがったな……。
末吉「……ありがとう寅さん。」
これで、【予測】が使える。
金田末吉は歯をむき出しに笑って右腕を振り上げ、左腕は腰元に沿えて拳を握った。
【紅人流:陰陽交差構(オンミョウコウサノカマエ)】
今までの比ではないピンポイントストレートが金田に炸裂し、血を吐きだしながら床へと落ちる。
鞘香『直撃イイイイィィィッッ!!!ボディブローが突き刺さったアアアアーー!!!たまらず金田選手崩れ落ちるーーーー!!!』
「「「ウオオオオオオオッ!」」」
観客たちもヒートアップしていくなか、右京山寅は拳を崩して構えを解いて、倒れ落ちた金田に背を向けた。
……見事だ。
試合前、くだらねぇパフォーマンスで挑発してきた世界ランカー。
八百長を持ちかけてきた「南米の英雄」
ファイトマネーを吊り上げる為、俺の挑戦を拒み続けた世界チャンピオン。
口先ばかりのクズ共。そんな連中も少なくなかった。
金田末吉……お前は、連中とは違う。俺に恐れを抱くこと無く、真っ正面から対峙している。お前の勇気、賞賛に値す……
末吉「……ふざけんなよテメェ。」
背にかかる声に寅の動きが止まる。
寅「……何…?」
振り向くと襤褸切れのような金田が腹部を押さえながら立ちあがっている、その顔は苦痛と怒りが混じった表情だ。
末吉「……何がボクシング統一王者だ。それがアンタのやり方かよ?……なんで追撃しなかった。」
寅「……あ?」
あと一撃加えていれば、確実にアンタの勝ちだった。
末吉「……手を抜いたのか?俺が「弱者」だから?…………俺な、アンタのファンなんだよ……最年少最速統一王者……仕合が決まるずっと前から…アンタの試合は繰り返し観てきた。グローブなし。シューズなし。ルールなし。全ての制約から解き放たれたアンタの本気は、こんなもんじゃないだろうがッ!!?」
寅「……大した気力だ。……けどな、もう勝負は明白だろ。金田末吉。俺はてめぇを認めてる。…俺は、この大会を侮っていた。お前みたいな本物の闘士と出会えたことは嬉しい誤算だったぜ。……けどな、俺とテメェの間には大きな壁がある。俺は、テメェを殺すために……」
末吉「それがなめてるって言ってんだ!!!わかってんだよ!才能がないことなんて!!だけどなぁ!!俺にはこれしかねぇんだよ!!!命のひとつや、ふたつ、いつでもくれてやるよ!!」
寅「(コイツ…)」
末吉「……どいつもこいつも勝手に決めつけんじゃねえよ。【弱者】が【最強】目指して何が悪いんだよ!!??」
涙を流して叫ぶ金田末吉に騒がしかった観客たちも口をつぐんでいた。
城「金田さん…」
大屋「金田…」
氷川「(……ようやく本音を吐きやがった。遅せえんだよ。)」
寅「……そうだったのか」
この男は闘技者の中で唯一、【弱者】としてこのトーナメントに挑んでいる。【弱者】を脱却するために……。
静まり返る闘技場にとんでもない声量が響き上がった。【吼える闘魂】の鎧塚サーパインが観客席から立ち上がり叫んだのだ。
サーパイン「応えてやれエエエッッ!!!トラアアァァァッ!!!」
マイクも使わず闘技場中に広がる叫び声は当然、寅の耳にも入っている。しずかに立ち尽くしたままの寅が口を開いた。
寅「…………言われるまでもねぇ。…………悪かった。」
末吉「寅……さん…」
寅「俺は、お前を殺したくなかった。だから、試合の範疇でしか力を使わなかった。……俺は、誤っていた。全力でぶつかることこそ礼儀。如何に言い訳を並べようが、俺はお前に情けをかけた。闘いの場において、同情は侮辱でしかねぇ。闘いとは、対等の立場で行われるべきもの。どうやら俺は「驕り」に支配されてたらしい。よくわかった。テメェに敬意を表し……全力でぶっ潰す。」
そういうと両手の拳を硬く握りしめ再びファイトスタイルになった。
サーパイン「シャアアアアアアアァアアァッ!!」
ふたたび叫びをあげるサーパイン、そして立見席から眺めていた悠も寅の変化に呟いた。
悠「空気が変わった。」
【ボクサー】から【闘技者】になりやがったな……。
末吉「……ありがとう寅さん。」
これで、【予測】が使える。
金田末吉は歯をむき出しに笑って右腕を振り上げ、左腕は腰元に沿えて拳を握った。
【紅人流:陰陽交差構(オンミョウコウサノカマエ)】