ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー某所:地味野高校第三十三期生同窓会会場ー
金田末吉が来ていないことを聞いてプロ野球の坂松、プロサッカー選手の田本、プロボクサーの古見の三人が残念そうに顔をしかめた。
坂松「そうかー……金田、来てないのか…」
田本「ったく…予定あけとけよな。」
古見「残念だねー。」
「何で金田がそんなに気になるんだ?お前らクラスも違ったよな?」
坂松「いやあ……今だから言うけどさ……実は…………俺達学生時代、それぞれの専門競技で金田にボロ負けしてるんだよね…これオフレコで頼むわ。」
「「「マジで!?」」」
坂松「ショックだったなぁ。まったくの素人にホームラン打たれて…。」
田本「俺はPK対決で完封されたよ…。マジでサッカーやめるか悩んだぜ…。」
古見「俺なんて殴り合いでKOされたからね…未だに人生唯一のノックアウトだよ」
「…あーそういえば……アイツが「四天王」って呼ばれてるのってそういう理由?ひとりだけ文科系なのに」
田本「学年最強の古見に勝っちまったからな。」
古見「噂が独り歩きしていつのいつの間にか、ね…それから何となく仲良くなってさ。」
坂松「当時、他行の連中の間では「地味校四天王最強の男」何ていわれてたらしいぜ。」
「ぜ、全然知らなかった…」
そんな話が出る中、やや年配の男性が料理を食べながら口を挟んだ。
「ん?でもアイツ、運動神経は悪かったぞ」
田本「ホモセン(保茂田先生)!」
ホモセン「体力テストも校内マラソンも、再開常連だったからよく覚えてるよ。」
田本「あー……そういえばアイツ足は遅かったなー…」
「そういえばあの子、女子に腕相撲負けてたっけ。」
古見「それマジ!?」
坂松「結局アイツ、運動神経が良いのか悪いのか……わからん奴だな~……そんな奴に負けた俺達って…」
田本「昔からつかみどころのない奴だったよな。」
ホモセン「おい。金田は元気でやっとるのか?」
「いやあ?卒業してからあってないんで…」
「大丈夫でしょ。金田君っていつも飄々としてたし。きっと今頃、どこかでのんびりやってるんじゃない?」
金田末吉を殴り飛ばした右京山寅はほんの少し警戒色を感じていた。
分かんねぇな……さっきの刹那、この男は明らかに、俺のジャブに「対応しようとしていた」。一流のボクサーですら見切れねぇ俺のジャブを、この凡骨が見切った…?有りえねぇな……。
注視していると末吉の鼻から血が吹きだした。
末吉「わわわっ!あら~…鼻血が……いや~すごいスピードですね~全く反応できなかったですよ~。」
寅「……タヌキめ。」
俺は化かされねぇぞ金田末吉。
「いけーーーっ!」
「金田ー!!やっちまえーー!」
「世界チャンピオンが何だー!?」
末吉「(右京山寅。相手に不足は……ない!)」
今度は勢いよく前へと駆けた。一気に間合いを潰そうと試みるが拳闘の間合いに入った瞬間、再びラッシュが襲いかかった。
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14……全身に打ちこまれる打撃、そして次に来る15撃目を掴もうとしたが、そのジャブが寸前で停止した。代わりに一歩踏み込み右ストレートが金田のボディに突き刺さる。
間一髪、ガードに成功したものの腕は真紫に腫れあがった。だが、臆することなく地面にしゃがみ込んで寅の足を払いにかかった。
【紅人流:下弦薙ぎ】
しかし、寅はその場から飛びあがり足払いを避けると落下の勢いを乗せたストレートを末吉の顔面に打ちこんだ。殴られながらも、その拳を捕えることに成功し、身体を捻って関節を極めにかかる。
【紅人流:梯子外し】
左腕を極められた寅だったが自ら地面に膝を着いて捩じられている腕を起点に上半身を反らして末吉の腹を穿った。
金田末吉が来ていないことを聞いてプロ野球の坂松、プロサッカー選手の田本、プロボクサーの古見の三人が残念そうに顔をしかめた。
坂松「そうかー……金田、来てないのか…」
田本「ったく…予定あけとけよな。」
古見「残念だねー。」
「何で金田がそんなに気になるんだ?お前らクラスも違ったよな?」
坂松「いやあ……今だから言うけどさ……実は…………俺達学生時代、それぞれの専門競技で金田にボロ負けしてるんだよね…これオフレコで頼むわ。」
「「「マジで!?」」」
坂松「ショックだったなぁ。まったくの素人にホームラン打たれて…。」
田本「俺はPK対決で完封されたよ…。マジでサッカーやめるか悩んだぜ…。」
古見「俺なんて殴り合いでKOされたからね…未だに人生唯一のノックアウトだよ」
「…あーそういえば……アイツが「四天王」って呼ばれてるのってそういう理由?ひとりだけ文科系なのに」
田本「学年最強の古見に勝っちまったからな。」
古見「噂が独り歩きしていつのいつの間にか、ね…それから何となく仲良くなってさ。」
坂松「当時、他行の連中の間では「地味校四天王最強の男」何ていわれてたらしいぜ。」
「ぜ、全然知らなかった…」
そんな話が出る中、やや年配の男性が料理を食べながら口を挟んだ。
「ん?でもアイツ、運動神経は悪かったぞ」
田本「ホモセン(保茂田先生)!」
ホモセン「体力テストも校内マラソンも、再開常連だったからよく覚えてるよ。」
田本「あー……そういえばアイツ足は遅かったなー…」
「そういえばあの子、女子に腕相撲負けてたっけ。」
古見「それマジ!?」
坂松「結局アイツ、運動神経が良いのか悪いのか……わからん奴だな~……そんな奴に負けた俺達って…」
田本「昔からつかみどころのない奴だったよな。」
ホモセン「おい。金田は元気でやっとるのか?」
「いやあ?卒業してからあってないんで…」
「大丈夫でしょ。金田君っていつも飄々としてたし。きっと今頃、どこかでのんびりやってるんじゃない?」
金田末吉を殴り飛ばした右京山寅はほんの少し警戒色を感じていた。
分かんねぇな……さっきの刹那、この男は明らかに、俺のジャブに「対応しようとしていた」。一流のボクサーですら見切れねぇ俺のジャブを、この凡骨が見切った…?有りえねぇな……。
注視していると末吉の鼻から血が吹きだした。
末吉「わわわっ!あら~…鼻血が……いや~すごいスピードですね~全く反応できなかったですよ~。」
寅「……タヌキめ。」
俺は化かされねぇぞ金田末吉。
「いけーーーっ!」
「金田ー!!やっちまえーー!」
「世界チャンピオンが何だー!?」
末吉「(右京山寅。相手に不足は……ない!)」
今度は勢いよく前へと駆けた。一気に間合いを潰そうと試みるが拳闘の間合いに入った瞬間、再びラッシュが襲いかかった。
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14……全身に打ちこまれる打撃、そして次に来る15撃目を掴もうとしたが、そのジャブが寸前で停止した。代わりに一歩踏み込み右ストレートが金田のボディに突き刺さる。
間一髪、ガードに成功したものの腕は真紫に腫れあがった。だが、臆することなく地面にしゃがみ込んで寅の足を払いにかかった。
【紅人流:下弦薙ぎ】
しかし、寅はその場から飛びあがり足払いを避けると落下の勢いを乗せたストレートを末吉の顔面に打ちこんだ。殴られながらも、その拳を捕えることに成功し、身体を捻って関節を極めにかかる。
【紅人流:梯子外し】
左腕を極められた寅だったが自ら地面に膝を着いて捩じられている腕を起点に上半身を反らして末吉の腹を穿った。