ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
司会の片原鞘香が解説の【ロケットマン】ジェリー・タイソンに質問した。
鞘香『解説のジェリーさん、両選手の対比はいかがでしょう?』
ジェリー『カネダ選手の判断はGOODデース。トラ選手の「最速の攻撃」を警戒してヤがりマース。ボクサーの最速の攻撃。それはストレートではなく、アッパーでもなく、フックでもありまセーン。答えはジャブ!なかでもトラのジャブは、全ボクサー最速といわれてマース!!!通称「フラッシュ」一呼吸の間に、最大13発ものジャブを放つ、トンデモネー野郎デース。』
鞘香『13発!?』
ジェリー『Ye~~s!しかもそれは、ボクシングの試合……10オンスのグローブをハメた状態での話デース!グローブの重力から解き放たれた左手……果たしてどれほどのSPEEDなのか………JESUSCHRISTにもわかりまセーンッッッ!!!』
右京山寅はヒットマンスタイルで構えて小刻みに揺れるも、その場から動かない。対して金田末吉は……。
末吉「……(おいおい。下がるなよ……「身体」)」
極わずかではあるが後ろ足が下がっていく。怯えている。本能が逃げようとしている。
……情けない。氷川さんが勝負をあきらめたか?紅さんが試合を放棄したか?
違うだろう!?あの二人は、最後まで闘っただろう!?ここで行かずに、いつ行くんだよ!?
下がりかけた金田の足が一歩、前へと踏み出した。
鞘香『動いた!!金田選手、徐々に間合いを詰める!!』
寅「……」
それでも寅は動かない、ステップは刻んでいるものの金田末吉を見据えているだけだ。そうしている間に完全に距離を縮めてきた。
鞘香『はっ、入ったーーー!!!金田選手、拳闘の間合い!すなわち、ボクサーの間合いに踏み込んだーーーーッッ!!』
金田「やあ、どうもどうも。貴方が来ないから私の方からお邪魔しましたよ。」
寅「…………はぁ」
小さなため息をついた次の瞬間、目にもとまらぬラッシュが末吉を襲った。上半身を中心に打撃を浴びて大きく後ろに吹き飛ばされるも何とか倒れるのだけは踏みとどまった。
鞘香『で、出たアアアア!!伝家の宝刀ジャブ!!』
ジェリー『やはりボクシングの時よりFASTデス!!!』
寅「……」
圧倒的な実力を見せつけた寅だったが、僅かな違和感を感じ取っていた。
この男……あのラッシュの刹那、一瞬だけだが俺の動きに反応していた…?
顔に青痣を作って口の端から血をこぼす金田が笑いながら寅を見つめる。
末吉「いや~さすがに速いですね~手首、外し損ねちゃいましたよ。」
同時刻、とあるホテルのパーティ会場で地味野高校第三十三期生同窓会が開かれていた。その中である三名に注目が集まった。
「野球部の坂松!」
「今じゃ横浜のエースピッチャーだもんなあ!」
「サッカー部の田本!」
「わざわざイタリアから来たのかよ!」
「ボクシング部の古見!」
「次はいよいよ世界戦か!?」
「我が校が誇る「四天王」が三人も揃ったな!!」
「お前ら今じゃあ揃ってプロだもんなー。」
「二次会驕れよー。」
やいのやいのと注目を浴びて声をかけられる三人だが田本がグラスのビールをひと口飲んでから幹事に声をかけた。
田本「幹事、金田の奴は来てないのか?」
「あぁ金田君?案内は送ったんだけど…」
「金田ってB組の?」
「そうそう!金田末吉。」
「あー思いだした。細目で敬語のアイツね!ようやく顔が出てきたわ!」
「そいつそいつ!俺、将棋部で一緒だったから結構仲良かったんだよ。」
司会の片原鞘香が解説の【ロケットマン】ジェリー・タイソンに質問した。
鞘香『解説のジェリーさん、両選手の対比はいかがでしょう?』
ジェリー『カネダ選手の判断はGOODデース。トラ選手の「最速の攻撃」を警戒してヤがりマース。ボクサーの最速の攻撃。それはストレートではなく、アッパーでもなく、フックでもありまセーン。答えはジャブ!なかでもトラのジャブは、全ボクサー最速といわれてマース!!!通称「フラッシュ」一呼吸の間に、最大13発ものジャブを放つ、トンデモネー野郎デース。』
鞘香『13発!?』
ジェリー『Ye~~s!しかもそれは、ボクシングの試合……10オンスのグローブをハメた状態での話デース!グローブの重力から解き放たれた左手……果たしてどれほどのSPEEDなのか………JESUSCHRISTにもわかりまセーンッッッ!!!』
右京山寅はヒットマンスタイルで構えて小刻みに揺れるも、その場から動かない。対して金田末吉は……。
末吉「……(おいおい。下がるなよ……「身体」)」
極わずかではあるが後ろ足が下がっていく。怯えている。本能が逃げようとしている。
……情けない。氷川さんが勝負をあきらめたか?紅さんが試合を放棄したか?
違うだろう!?あの二人は、最後まで闘っただろう!?ここで行かずに、いつ行くんだよ!?
下がりかけた金田の足が一歩、前へと踏み出した。
鞘香『動いた!!金田選手、徐々に間合いを詰める!!』
寅「……」
それでも寅は動かない、ステップは刻んでいるものの金田末吉を見据えているだけだ。そうしている間に完全に距離を縮めてきた。
鞘香『はっ、入ったーーー!!!金田選手、拳闘の間合い!すなわち、ボクサーの間合いに踏み込んだーーーーッッ!!』
金田「やあ、どうもどうも。貴方が来ないから私の方からお邪魔しましたよ。」
寅「…………はぁ」
小さなため息をついた次の瞬間、目にもとまらぬラッシュが末吉を襲った。上半身を中心に打撃を浴びて大きく後ろに吹き飛ばされるも何とか倒れるのだけは踏みとどまった。
鞘香『で、出たアアアア!!伝家の宝刀ジャブ!!』
ジェリー『やはりボクシングの時よりFASTデス!!!』
寅「……」
圧倒的な実力を見せつけた寅だったが、僅かな違和感を感じ取っていた。
この男……あのラッシュの刹那、一瞬だけだが俺の動きに反応していた…?
顔に青痣を作って口の端から血をこぼす金田が笑いながら寅を見つめる。
末吉「いや~さすがに速いですね~手首、外し損ねちゃいましたよ。」
同時刻、とあるホテルのパーティ会場で地味野高校第三十三期生同窓会が開かれていた。その中である三名に注目が集まった。
「野球部の坂松!」
「今じゃ横浜のエースピッチャーだもんなあ!」
「サッカー部の田本!」
「わざわざイタリアから来たのかよ!」
「ボクシング部の古見!」
「次はいよいよ世界戦か!?」
「我が校が誇る「四天王」が三人も揃ったな!!」
「お前ら今じゃあ揃ってプロだもんなー。」
「二次会驕れよー。」
やいのやいのと注目を浴びて声をかけられる三人だが田本がグラスのビールをひと口飲んでから幹事に声をかけた。
田本「幹事、金田の奴は来てないのか?」
「あぁ金田君?案内は送ったんだけど…」
「金田ってB組の?」
「そうそう!金田末吉。」
「あー思いだした。細目で敬語のアイツね!ようやく顔が出てきたわ!」
「そいつそいつ!俺、将棋部で一緒だったから結構仲良かったんだよ。」