ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】
ー絶命闘技会ドーム:廊下ー
首の骨をへし折られたにもかかわらず生き返った英はじめに吉沢心美が動揺しながら話しかけた。
心美「せせせせせ先生……?え…?だって死んで…………え??」
英「フフフ…吉沢君、私は医者だよ。」
迦楼羅「英!」
唯一、英の復活に悲鳴を上げずにいたカルラが飛び着こうとしたがそれを手で制しながら英は続ける。
英「万が一死んだ時の為に、肉体改造をしておいたんだよ。心肺を無理やり動かす装置とかもろもろね。」
心美「……ああ…そうなんですね……もうツッコミ疲れました。」
英「いや…でも実際危なかったよ。頸椎をもう一捻りされていたら、蘇生は難しかった。早めの決着コールに救われたよ。」
身体を起こすと飛び出たままの骨刀を引っ込めていく。
太宰「英。坂東はどうだった?」
英「…危険な男ですね。そして強い。」
あの男、格闘技の経験こそなさそうだが、以上に闘い慣れしている。正直、私の手には余る相手ですよ。
太宰「そうか……それで?」
英「フフフ…ご心配なく。」
坂東洋平、あの男は……まもなく死にますよ。
闘技場を挟んで反対側の廊下で坂東は両膝を着いた。雇い主の高田清助が思わず叫んだ。
高田「坂東君?……どうした坂東!?」
坂東「……やられた。」
あの男……最後まで驚かせてくれる…………。あの時の発言……
『もはや勝敗などどうでもいいのだが…この昂りはクセになりそうだよ。』
『もはや所肺などどうでもいい』
あの発言…戦闘狂の本性を露わにしただけと思っていたが…そうではない。あの発言の真意は…「私を殺害する仕込みが完了した」という意味だった。
この症状……神経を侵すウイルス……あるいは毒物か。
空気感染の線は薄い。仮にそうなら闘技場内にいたレフリーも症状が出ているはず。
経口感染もないだろう。食事は全て高田君の用意したものだった。それに、食事に混ぜるなら致死性の毒の方が効率的だ。
そうなると…………答えは一つ。「血」だ。
骨刀に付着していた英君の血による血液感染。そして眼球からの粘膜感染か……使用された毒の種類さえわかれば対処もできるが……ここは絶海の孤島。十分な医療設備があると思えない。
……これがあの男の狙いだったのか。
…………なるほど常に効果的な攻撃だよ……この勝負…君の勝ちた。
医務室では自身と坂東の血で汚れた服を脱いで袋に押し込めな、新しい者に着替えながら英が話す。
英「そう、ウイルス。私は、幾つかのウイルスの抗体を持っている。常人なら死に至る代物のね。仕合前にウイルスを注入しておいたんだ。本当はもっと強力なウイルスを使いたかったんだけどね。観客まで死んでしまうから上から止められたんだよ。ケチだよねー…。」
心美「バイオテロじゃないですか…」
英「ところで、私の血に触れたのは吉沢君だけだね?感染力の低いウイルスだから傷口や粘膜に入らない限り問題ないだろう……多分。
心美「「多分」ッッッ!!?」
英「万が一感染していたら、全身の激痛にのたうち、回って、およそ12時間後に死ぬけど……フフフ……。」
心美「シャレになってないですよ、それッッッ!!!何が面白いの!!?」
英「心配いらないよ…全身の消毒と着替え、念の為、ワクチンも打っておこう。」
心美の瞳にたまった涙を指で拭って英は笑いかけた。
心美「先生…」
英「ついでに新薬の実験も少し…」
心美「嫌です。」
英「いいじゃないか。一回ぐらいやらせてよ。」
心美「誤解を招くからやめてください!!」
帝都大学総長の太宰由紀夫はふぅとため息をついた。
さらば、旧友(とも)よ。
来世といふものがあるならば、桜の下でまた会おう。
首の骨をへし折られたにもかかわらず生き返った英はじめに吉沢心美が動揺しながら話しかけた。
心美「せせせせせ先生……?え…?だって死んで…………え??」
英「フフフ…吉沢君、私は医者だよ。」
迦楼羅「英!」
唯一、英の復活に悲鳴を上げずにいたカルラが飛び着こうとしたがそれを手で制しながら英は続ける。
英「万が一死んだ時の為に、肉体改造をしておいたんだよ。心肺を無理やり動かす装置とかもろもろね。」
心美「……ああ…そうなんですね……もうツッコミ疲れました。」
英「いや…でも実際危なかったよ。頸椎をもう一捻りされていたら、蘇生は難しかった。早めの決着コールに救われたよ。」
身体を起こすと飛び出たままの骨刀を引っ込めていく。
太宰「英。坂東はどうだった?」
英「…危険な男ですね。そして強い。」
あの男、格闘技の経験こそなさそうだが、以上に闘い慣れしている。正直、私の手には余る相手ですよ。
太宰「そうか……それで?」
英「フフフ…ご心配なく。」
坂東洋平、あの男は……まもなく死にますよ。
闘技場を挟んで反対側の廊下で坂東は両膝を着いた。雇い主の高田清助が思わず叫んだ。
高田「坂東君?……どうした坂東!?」
坂東「……やられた。」
あの男……最後まで驚かせてくれる…………。あの時の発言……
『もはや勝敗などどうでもいいのだが…この昂りはクセになりそうだよ。』
『もはや所肺などどうでもいい』
あの発言…戦闘狂の本性を露わにしただけと思っていたが…そうではない。あの発言の真意は…「私を殺害する仕込みが完了した」という意味だった。
この症状……神経を侵すウイルス……あるいは毒物か。
空気感染の線は薄い。仮にそうなら闘技場内にいたレフリーも症状が出ているはず。
経口感染もないだろう。食事は全て高田君の用意したものだった。それに、食事に混ぜるなら致死性の毒の方が効率的だ。
そうなると…………答えは一つ。「血」だ。
骨刀に付着していた英君の血による血液感染。そして眼球からの粘膜感染か……使用された毒の種類さえわかれば対処もできるが……ここは絶海の孤島。十分な医療設備があると思えない。
……これがあの男の狙いだったのか。
…………なるほど常に効果的な攻撃だよ……この勝負…君の勝ちた。
医務室では自身と坂東の血で汚れた服を脱いで袋に押し込めな、新しい者に着替えながら英が話す。
英「そう、ウイルス。私は、幾つかのウイルスの抗体を持っている。常人なら死に至る代物のね。仕合前にウイルスを注入しておいたんだ。本当はもっと強力なウイルスを使いたかったんだけどね。観客まで死んでしまうから上から止められたんだよ。ケチだよねー…。」
心美「バイオテロじゃないですか…」
英「ところで、私の血に触れたのは吉沢君だけだね?感染力の低いウイルスだから傷口や粘膜に入らない限り問題ないだろう……多分。
心美「「多分」ッッッ!!?」
英「万が一感染していたら、全身の激痛にのたうち、回って、およそ12時間後に死ぬけど……フフフ……。」
心美「シャレになってないですよ、それッッッ!!!何が面白いの!!?」
英「心配いらないよ…全身の消毒と着替え、念の為、ワクチンも打っておこう。」
心美の瞳にたまった涙を指で拭って英は笑いかけた。
心美「先生…」
英「ついでに新薬の実験も少し…」
心美「嫌です。」
英「いいじゃないか。一回ぐらいやらせてよ。」
心美「誤解を招くからやめてください!!」
帝都大学総長の太宰由紀夫はふぅとため息をついた。
さらば、旧友(とも)よ。
来世といふものがあるならば、桜の下でまた会おう。