ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

桐生刹那VS二階堂蓮の波乱の仕合が終了後、観戦していた闘技者たちは一様に桐生刹那という男を危険視した。

八頭貿易代表闘技者の【闘神】右京山寅が忌々しいそうに吐き捨てる。

寅「あの野郎、気にいらねぇな。」

左近「完全に棄権し様としたところにトドメさしてやがりましたねぇ…。」

寅「……外道が。」

GPグループの控室でも代表の理乃にべったりだった【魎皇鬼】百目鬼雲山は途中から立ちあがって画面を凝視していた。その左右にいた【風&雷神】の雷太郎と風太郎が言葉を繋げるようないった。

雷太郎「あの男何か」

風太郎「気味が悪い」

雲山「……ダークホースが出てきたな。」

闘技会ドーム内にあるBar。レトロチックな作りで昼間ではあるが薄暗く微かにBGMが耳を霞める程度の空間ではあるが、ここでもしっかりとモニターが設置されていて仕合の様子が流されている。

ほとんどの人間は闘技場に出向いているがカウンターのスツールに腰を掛けて肩を並べている三人の男がいた。

ウィスキーの入ったグラスを傾けて一気に半分ほど空けて東郷モータース【秘書代理】の虎狗琥崇がモニターに映る刹那を見て隣の男にいった。

崇「二回戦の相手はこの男か。感想はどうだ薫?」

声かけられた【抜拳者】氷室薫はグラスの中の氷を指で軽く回していった。

氷室「……あまり手心は加えられませんね。それに…」

崇「何だ?」

氷室「いえ、これは私事なので。」

崇「そうか。」

ちなみに本郷モータース社長の本郷千春はグラスに反射した自分を見て満足そうにうなずいている……。



ドームの廊下からドッドッドッドッと肉を打つ激しい音がこだましている。心停止状態の二階堂蓮の胸を何度も何度も梅が心臓マッサージをし続けていく。

蓮「ガボッ!」

そして大きくせき込み血を吐きだすと蓮は意識を取り戻した。

梅「殿っ!」

蔡「信じられん…!殿が敗れるなど……」

蓮「ハァハァハァハァ……何だアレは!?」

俺は一体「何」と闘った!?

未だに捻じれ痕が残る左肩と胸を抑えながら蓮は一体何と……っと呟きながら震えている。

梅「殿……なんておいたわしい…」

梅は涙を流しながら蓮を抱き支えた。息を吹き返した蓮を見て蔡も息をついて立ちあがる。そして、炎と黄が声をかけてきた。

黄「殿、どうかご安心ください。」

炎「こっちの仕掛けは全て終わった。こっから「プランB」に移行するぜ。」

そう伝えると二階堂蓮を梅に任せて残りの天狼衆は闇へと消えた……。
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