ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

鞘香『なんと美麗!!なんと絢爛!!正規の美男子戦争が幕を開ける!!女性客の皆さんの興奮は、最高潮です!!』

「桐生さーん♪」
「蓮ーー!」
「刹那くーん!」
「蓮さまー!」

ジェリー『OH!ドイツもコイツも雌のFACEをしてやがりまーす!!』

智子「……あお…………ナイス……抽選ナイス…………」

顔面は真っ赤で白目をむいて鼻血を吹きだしながらそう呟き続ける松田に流石の紫苑も心配になってきた。

紫苑「さっきからどうした!?お前!?何がナイス?!!」

立見席では氷川が呆れたような顔で愚痴っている。

氷川「また優男が出てきやがった。これじゃアイドル対決だぜ。」

その背後で相変わらず悠と末吉が冷たい視線をぶつけている。

鞘香『会場の熱気もMAX!まもなく仕合開始です!』

ジェリー『ン?』

現役闘技者にして解説のタイソンはふと二階堂の背中に目をやった一見すると白と黒の勾玉のようなものがまじりあっている陰陽のマークに見えるが二匹の犬(?)が混じり合っている者に目がついた……。

東洋電力専用の一室、守護者(ガーディアン)の龍旼(ロンミン)が速水勝正に声をかけた。

龍旼「会長、天狼衆が動きました。」

速水「うむ。鬼頭、そちらの首尾はどうだ?」

もう一人の守護者の鬼頭軍司は手元のタブレットを操作する。そこには巌流島を上空から映した様子と、人間の集団の映像が映っていた。

鬼頭「へい。蕪木は島の南方へ移動中。護衛者共は北西の海岸線を中心に散らばっています。」

速水「ふふ……北西か。愚かな連中だ。こうも「想定内」だと少々、面白みに欠けるな。」

そして闘技場では仕合が開始されようとしていた。レフリーのアンナが腕を上げて声を張った。

アンナ「構えてッッ!!」

桐生は特に動かずに直立不動のままだが二階堂蓮は大きく足を開き、手は拳ではなくやや開き気味の螳螂拳に似た構えだ。

蓮「来い。格の違いを教えてやる。受けてみろ天狼の拳を。」

いざ、闘いの時となると双方の見た目ではなく戦闘の実力が僅かに浮き彫りになるる

氷川「へえ…ただの色男じゃなかったのか。どっちが抜けるかね?」

大久保「んなもんわかるかい。俺はスカウター標準装備ちゃうねん。」

末吉「う~む……この仕合、もつれるかもしれませんよ。あの二人、いずれもかなりの実力者です。どちらも簡単に倒されるとは思いませんよ。」

城「ッ……」

突如、城厘の小さな体が震えた。それを見て悠が尋ねる。

悠「どうした?」

城「あ、いえ…」

何だ?うまく言えないけど……刹那さん、あの人……何か妙な気がする……。

アンナ「始めっ!!!」

開始の合図、先に動いたのは以外にも棒立ちの刹那だった。揺れるような動きで横へと流れて行く。

蓮「フンッ!」

桐生刹那。貴様のことは調べさせてもらった。貴様の流儀は古流柔術の一つ、【孤影流(こえいりゅう)】。

所詮は島国の田舎拳法。

我が【天狼拳】の敵ではない。

餓狼の糧となってもらうぞ。桐生刹那!
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