ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

前仕合の決着の速さに次仕合の取次や準備などが多少かかったが用意が済むとマイクを片手に鞘香が中央に立って叫んだ。

鞘香『あの超人がやって来た!!男の武器は「指」!!!規格外の捩じりから繰り出される指撃は、肉を切り裂き、骨を断ち切る!「自称」闘技会史上初!会員兼闘技者として堂々の参戦だーーーー!!!身長191センチ!体重80キロ!闘技仕合戦績5勝0敗!企業獲得資産86億650万円!!SH(すごく冷えてる)冷凍、紅こと、赤木皇オオオオオオっ!!』

紅「うぉぉぉっ!!」

赤より濃い、紅色ボクサーパンツ姿の紅は腕を突き上げて登場した。

【超人】紅(赤木皇)

紅の登場をよそに闘技場の外円で「第11仕合」のプレートを掲げているアニマルガールたちの中にいる蛇柄の衣装の女性を指さして大久保が言った。

大久保「俺は断然ヘビ柄の子やな!スタイル抜群やわ~♪悠はどの子がええのん?」

悠「そうだなぁ…」

氷川「あの子とあの子なら、今日の夜に合コンできるぜ?」

大久保「お前はだまっとれ!」

松永工業組である代表の久秀、秘書の串田凛、秘書見習い(パシリ)の城厘も合流してそのやり取りを見ていた。

凛「よかったッス~♪悠さんもすっかり4バカと打ち解けたッスね。」

【大物食い】金田末吉がいった。

末吉「大分ゲスな会話ですけどね。…………えっ?4バカって…?」

久秀「あんた勘違いしてるけど悠もたいがいゲス側だから問題ないわ。」

城「(誰も紅さんを応援していない…。)」

末吉「紅さんといえばあの人、妙なカリスマ性がありますよね?我々が一緒に行動してるのも紅さんがいたからみたいなところはありますし。」

城「確かに。あれだけ我の強い人たちを繋げるのはある種の才能ですね。」

「やあ、皆お揃いだね。」

すると背後から男の声が聞こえたので振り返るとそこにいたのは小鳥遊グループ社長、小鳥遊兜馬であった。

「「小鳥遊社長!」」

兜馬「こんな所で観戦していたのか。VIP席も用意できたのに。」

凛「わあ~小鳥遊社長お疲れさまッス」

兜馬「ああ、串田君もご苦労様。そちらの方はお兄さんかね?」

末吉「あ、いえ、金田と申します初めまして。」

顔の作りがよく似ている二人に少し驚いている兜馬に久秀が話しかけた。

久秀「社長はおひとりなのかしら?あの男(初見)と一緒だったのでは?」

兜馬「ああ、今しがたまでね。泉の奴、少し集中したいと言って、姿をくらましてしまったんだ。まあ、ここは絶海の孤島。逃走の心配しないだろう。」

久秀「やっぱり疑ってるんですね…」

そうしている間に対戦相手の紹介が始まった。

鞘香『さあ!【超人】と相対するのはこの男!!!裏社会から刺客がやってきた。しかしながらその容姿、眉目秀麗!!バンドポケットという特異な拳法から繰り出される抜拳で、トーナメントもねじ伏せられるか!?身長185センチ!体重70キロ!闘技仕合初参戦!!東郷モータース、氷室薫ウウウウウッッッ!!!』

【抜拳者(ハンドポケット)】氷室薫

GPグループ控室のモニター画面に映った氷室を見て雲山が口を開いた。

雲山「……厄介な相手だ。順当にいけば準々決勝の相手は奴だろう。」

理乃「……改めてわかったわ。」

抽選の時、皆が彼との対戦を避けていた訳が……あの殿方、このブロックで最も警戒が必要な相手かもしれないわね。
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