ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【5】

ー絶命闘技会ドーム:廊下ー

第9仕合が終わり10仕合が始まるまでのわずかな休憩時間に城厘は飲み物を買いに廊下にある自販機まで来ていた。

丁度その時男女の二人組が通りかかって声をかけた。

城「あれ?あなたは確か皇桜学園の……松田さん?」

智子「あっ…松永社長さんの所の城さんでしたよね?お疲れ様です!」

城「えーと…?そちらの方は…?」

皇桜学園グループ秘書の松田智子は隣に居る長髪の男性を紹介した。

智子「あ、ご紹介します!当校の代表闘技者の…」

刹那「桐生刹那です。以後、お見知りおきを。」

闘技者というには線の細い美男子の桐生刹那はにこやかに自己紹介をし、城も軽く挨拶と自己紹介を返した。

智子「どの仕合もすごい迫力ですね」

城「ホントですねー」

そう話しながら二人は自販機で飲み物を買い始めた。

刹那「…(この子が悠君の所の秘書かぁ……うん。悪い感じはしない。きっとこの子は、善人なんだろうな。)」

桐生がそう思っていると廊下の角からヌゥッとトゥーンな感じの格好をしたネズミの着ぐるみが出てきた。

「「!?」」

得体の知れない着ぐるみがノソノソと歩いて近づいてくる。それに対していち早く反応したのは松田智子だった。

智子「……も…モッキーだあああっ!何でこんなところに居るのーー!??」

キャーっと黄色い悲鳴を上げてモッキーに抱きついた。そういう対応にもなれているらしくモッキーは身振り手振りで反応する。

刹那「モッキー?」

智子「私、モッキーが大好きなんです!栃木ディスティニーランドの生涯入場パスも持ってるんです!!」

城「そうなんですね(生涯入場って…)」

刹那「そうなんだ(生涯入場って…)」

城「懐かしいなぁ。私も小さいころに何度かTDLに行きましたよ。」

刹那「うーん…僕はあまり、なじみがないですね。それにしても…あのぬいぐるみが闘うんですかねぇ?」

城「まさか~ただのマスコットでしょ~」

智子「モッキー写メ撮ろー」

肩を組んでスマホで写真を撮りだしている二人の背後から独特の声が飛んできた。

『モッキー!ここにいたのかい?』

智子「この声は…」

『そろそろ時間だよ!』

今度はセーラーっぽい格好のアヒルのような着ぐるみがペタンペタンと近づいてくる。

智子「ホナルドだああああ!」

『やあ!僕ホナルド!』

智子「ホナルドー!」

松田は今度はホナルドに飛び着くように抱きついた。

城「あれ?このキャラは何だったかな?」

智子「この子はホナルド!モッキーの親友なんですよ~♪」

城「へぇ~そんな設定でしたっけ?」

刹那「智子ちゃん、ホントに詳しいんだね。」

智子「……当然ですよ。。私が「目覚めた」きっかけがホナルド×モッキーの擬人化でしたもん…」

城「え?目覚めるって?ギジンカ?」

刹那「とにかく大好きってことじゃない?」
8/100ページ
スキ