ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

鞘香『Cブロックレフリーはアンナ・パウラ!!闘技仕合で唯一の女性レフリーです!』

アンナ「……」

「「「うおぉぉぉぉっ!!」」」

鞘香の紹介で強めのウェーブがかかった長い赤毛の女性レフリーが出てきて一礼すると観客たちはヒートアップして声をあげた。

鞘香『それでは早速、第九仕合開始です!!まず入場するのは、この闘技者だ!闘技仕合一の熱血野郎はこの俺だ!!闘って絶叫!勝って咆哮!!この男はとにかく叫ぶ!!本日もこの男の声が、ドームにこだまする!!身長184センチ体重88キロ!闘技仕合戦績17勝0敗!企業獲得資産2009億6900万円!夜明けの村の……』

サーパイン「シャアアアアアアッッ!!」

紹介と同時に飛び出してきたサーパインは雄叫びをあげた。会場中が叫び声だけに包まれてあらゆる音が吹き飛んだ。

鞘香『って声がデカいいいい!!歓声とマイクがかき消されたアアアアッ!!』

サーパイン「行くぜ行くぜ行くぜ行くぜ!!!絶命トーナメントオオオオオッ!!!」

【吠える闘魂】鎧塚サーパイン


闘技場が一望できるVIP用の上層室から文字通り吼えているサーパインを見て、対戦相手あじろ水産社長の網代光臨丸は率直な感想を述べた。

網代「……元気のいい若者ですな。」

それに対してサーパインの雇い主夜明けの村村長の鎧塚実光はさらっといった。

実光「いえいえ。あれはただ馬鹿なだけです。全く…加減というものを知りゃあせん。」

年は取っているものの引き締まった体躯で漁師焼けで黒々にテカった肌とは対照的な白いスーツにねじり鉢巻きの網代、紋付袴姿で小柄な体躯でどこかヨーダっぽい姿の実光。対照的な二人……。

網代「そ…そうですか……鎧塚さん……もしかして彼は……?」

なんともあけすけのない答えに一瞬動じるが、それ以上にある事が気になり網代は尋ねた。

実光「……ええ。サーパインは何も知りません。あの子に言えるはずがない。この仕合が、八百長だなんて……」

同時刻、東洋電力専用のVIPルームでも、仕合の内情についての話が持ち上がっていた。

守護者(ガーディアン)の鬼頭軍司と龍旼(ロンミン)面白そうに口を開く。

鬼頭「しっかし、会長も思い切ったことをしますね～鎧塚サーパインと賀露吉成……ウチの駒同士を一回戦でブツけるなんて。」

龍旼「Cブロックには、二階堂、それに「アイツ」もいる。八百長で体力温存させる作戦っスね?」

東洋電力会長の速水勝正はロンミンの質問に対して歯を見せて笑って答えた。

速水「ククク…一部、予定が変わりそうだがな。」

「「?」」

わざわざ「八百長をしやすいルールに作り変えて」くれたな。

片原滅堂……それほど私と遊びたいか。タヌキジジイ。……よかろう永きに渡る貴様との争いも、これで終わりだ。

闘技場では対戦相手の紹介が始まった。

鞘香『海の男たちの間で語り継がれる伝説。人喰いホホジロザメを海中で絞殺した男。暴風雨吹き荒れる中、難破船から乗組員を単身、救出した男。日本領海内に不法侵入した環境保護団体「シーチェパード」の船を撃沈。国際テロリストポール・マンソンを捉えた男。全ての伝説は、この男が創り上げた。日本海の荒波を超えて、伝説の大入道がやってきた!!身長206センチ、体重165キロ闘技仕合初参戦、あじろ水産、賀露吉成イイイイイッ!!』

【日本海の大入道】賀露吉成