ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー夢:無意識空間ー

二人の闘技者のイメージを倒した。息を整え拳を握った。問題なく闘えるるあくまでもイメージではあるが、十分に対応できる相手だと確信できた。

『へえ~強くなったじゃねぇか。』

悠『!!??』

突如、背後から声が飛んできた。爆ぜるように全身で振り返った。しかし、声の主はさらに背後へ回りこんでくる。

『ちゃんと特訓を続けてたんだな。感心感心♪だが、100点はやれねぇなぁ。相手がアレじゃあ特訓の意味がねぇよ。』

悠『なんで……!?』

『何をボケッとしてやがる。次の相手は俺だ。』

悠『……なんでテメェがいる。ジジイ!』

ジジイ、それはつまり小鳥遊悠の祖父である小鳥遊弥一。最強最悪、伝説にして頂点の怪物が目の前に現れた。しかも、その姿は老人ではなく若かりし頃……なぜか小鳥遊悠と瓜二つの顔をしている。細かい違いを言うならば悠よりも全体的にビルドアップされた体躯とやや切れ目がちな瞳の色は黒であり髪も短い。

弥一『よお♪ひっさしぶりだなあオイ。俺が教えた体外解脱、だいぶうまくなったんじゃねぇか。疲労感、ダメージ…現実と同じレベルに「設定はできている」。だが…これじゃあ特訓になりゃしねぇぜ?』

悠『……どういうことだ?』

コイツだけは「出さない」よう「意識をセーブした」ってのに…。

弥一『どうもこうもねえよ。お前がジャレてた二人さ。室淵剛三とアダム・ダッドリー。お前が知ってるのは、コイツらの先方のごくごく一部。コイツらの「本当の強さ」を引きだすには情報が少なすぎるんだよ。こうして喋ってる俺だって、小鳥遊弥一であって弥一じゃねえ。お前の記憶が作りだした「小鳥遊弥一の幻影」なんだぜ。ま、早い話がお前の心の声ってやつだ。だから本物の弥一みてえに問答無用で殴りかからねぇ。お優しい弥一様だぜ、ケケケケッ!』

人を小馬鹿にしてゲラゲラと笑うその姿は悠の知っているムカつくジジイそのものではある。

悠『……それで?』

弥一『んあ?』

悠『そんなくだらねえことを言いに出てきたのか?お前、何企んでやがる?』

弥一『…まあ、細かいことはいいじゃねぇか。「お前が最もよく知る男」が現れたんだ。これ以上の「相手」はいねぇだろ?』

最強最悪の男が上服を脱ぎ棄てて大きく腕を広げる。さながら熊が威嚇しているかのような迫力。

悠『……』

弥一『さあ、どうするんだい?おちびちゃん?』

悠『……ククッ、ハハハッ!上等じゃねぇか。現役にして新世代に達した「俺」と十神将の力でブチのめされてみるか?』

重心をやや前身に置いた構えで戦闘態勢に移行する。

弥一『……ブチのめす?できねえことを口に出すのはカッコ悪いぜ?』

悠『……できねえかどうか、すぐにわかるさ。』

互いの構えはまるで似ても似つかない別物ではあるが……そっくりな顔が好戦的な笑みを浮かべあう。刹那!両雄は前進した。

弾丸のような速度でぶつかっていく悠、そしてそれを同じような体勢で受け止めた弥一。二つの高速物体が衝突し破裂音が響いた。そして、片方、小鳥遊悠が大きく後ろに吹き飛んでいく。

ぶつかり合いで勝利した小鳥遊弥一が腕を下していった。

弥一『夏喜の方は「キューダイ点」だ。しっかしお前、金剛ノ型はダメダメだなぁ。肉そのものが足りねぇのもだが、筋肉の力みと緩みのメリハリがなっちゃいねぇ。』

悠『チッ!』

舌打ちをこぼして両手で地面を叩いて体を起こし立ち上がる。

弥一『【夏喜ノ型:火走り】(直線型の縮地)と【金剛ノ型:不壊】の複合技。【金剛・夏喜ノ型:鉄砕】とでもいうかな?そういやお前、予選の時、ジェリー・タイソン相手に使ってたっけ?よかったなぁ~相手が弱くて♪』
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