ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

ガキの頃から、ずっと疑問だった。

何で、相撲は不完全なんだろう?

何であれだけ身体を鍛えて、一部の技しか使っちゃいけないんだろう?

だけど……ある時、気付いたんだ。

「ああ、蹴ればいいんだ」って。

レフリー田城「オイ!オイ!関林!やれるか!?」

倒れて動かなくなった関林にレフリーが近づいて声をかけるが反応がない。だが、そんなことを無視して鬼王山はズシズシと地面を踏み鳴らして近づいて、関林の横っ腹にを蹴り飛ばした。

転がっていくプロレスラーは途中で意識を取り戻して四つん這いで停止した。

関林「ガハッ」

……糞がッ!一瞬トンじまったじゃねえか……!

鬼王山「まだ寝るなよ。味わえ。これが本当の相撲だ。」

関林は髪の毛をワシ掴まれて無理やり引っ張り上げられ、あろうことかそのまま顔面を殴られだした。

鞘香『殴る殴る殴る!!!力士がプロレスラーをタコ殴りにするーー!!鬼王山は鬼気迫る表情!虫を潰すかのように冷酷に攻め立てる!!一方の関林…顔がみるみる朱に染まる!!』

アダム「FUCKッッ!!これのどこがSUMOだよ!!?ただのMMA(総合格闘技)じゃねぇか!」

西品治警備保障社長の西品治明は首を振った。

西品治「いや、これは相撲だよ。」

アダム「旦那?」

西品治「先ほどの超至近距離からのハイキック。そしてあの打撃。一朝一夕で身につく代物じゃない。」

アダム「……」

西品治「相撲は本来、パンクラチオンと並ぶ、原初の総合格闘技。関取の鬼王山が使う以上、文句がつけようがない。まぎれもなくアレは相撲さ。いや…「古代相撲」と呼ぶべきか。」

話しているうちに闘技場では鬼王山が関林の頭を引っ張り落として膝を顔面にぶつけた。

金剛「……距離の取り方が絶妙だな。」

摩耶「ううーん、あのファイトスタイル、プロレスとの相性は最悪だね。」

さんざん殴られ、顔面に膝を打ちこまれ関林はふらふら、よたよたと千鳥足のようになている。

鬼王山「ったく……大したオッサンだぜ。いつまでノーガードを続けるつもりだよ?死にてえのか?ああ?」

関林「……」

鬼王山「ま、どうでもいいけどよ。死にたきゃ殺してやるよッッ!!」

ふらつく関林の横っ腹に相撲取りの蹴りが炸裂する。その衝撃は鍛え抜かれた腹筋を貫き内臓が潰れるほどの威力。

関林「ぐっ!!」

……どうしたオラァッ!?こんな攻撃じゃ俺は倒せねぇぞッッ!?

蹴られ、打たれているものの関林は笑顔を崩さない。

選手登場用廊下の奥から仕合の様子を見ていた【破壊者】河野春男は唖然としていた。

春男「わ……笑ってる…?な……何で笑えるんだよ…?自分が圧倒的に不利なんだぞ……?あの人……頭おかしいのかよ…?」

ミドル、ハイキック、顔面へのストレートと大技を繰り出していたが今度は膝を狙ったローが炸裂する。外、内と連続で喰らわされ関林の膝が遂に悲鳴を上げた。
89/100ページ
スキ