ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ー某所ー
警察からの連絡を受けて館長である目黒広樹と門下生の宗光と鈴本が雨が降る中、傘もささず呆然と惨状を目の当たりにした。
崩れたブロック塀に逆さまにめり込みおかしな方向に首がねじれ息絶えている石田の姿。
宗光「い…石田?」
鈴本「嘘だろオイ…」
宗光「石田っ!!おい!石田ッ!!」
広樹「……こ…!?これは……!!」
館長も石田の死に様には当然驚いていた。しかし目についたのは伸びた服の胸元、そして千切れた袖、首の捻じれ方……間違いない、石田君は、投げ殺されたんだ。
だが、存在するのか?柔道日本代表選手を一方的に投げ殺せる人間など?
宗光「許゛ざん゛!!待ってろよ石田!!犯人は必ず俺が殺してやる!!」
しかし、二日後……宗光君が殺された。
今度は地面に叩きつけられたような死に様で石田と同じように首がねじれていた。
鈴本「おい…!おいっ!?何だよこれぇ……!!?」
広樹「そ……そんな……!」
まさか犯人は……
その日の深夜、目黒道場引き戸が静かに開いて音を立てずに入る者が居た。真っ暗な道場内を気配を消して歩いているとパッと電気がついた。
「!!」
突然のことに侵入者の動きが止まった。間髪入れずに館長が声をかけた。
広樹「どこに行っていた、正樹!」
目黒「…お父さん。まだ起きていたんですか…?」
広樹「質問に答えなさい。どこに行ってたかと聞いている。」
目黒「……どうしたんです?今日のお父さん変ですよ?」
広樹「……正樹。石田が死んだ後、お前はどこに居た?」
目黒「……?石田……?ああ、いましたねそんな人。すみませんお父さん。ずいぶん前のことなので忘れちゃいました。」
広樹「……ならば二日前はどうだ?宗光が死んだ日、お前はどこで何をしていた?」
目黒「ムネミツ……?それ誰ですっけ?」
広樹「とぼけるな貴様っ!!宗光の遺体を見た時に確信した!!あの投げ方は紛れもなくお前の仕業だ!!…………なぜだ正樹?なぜお前があの二人を殺す必要があったんだ?答えろ正樹ィッッ!!」
目黒「…………ちょうどいいや。お父さんに聞きたいことがあったんです…。」
正樹は背負っていたリュックサックを降ろすと七から何かを取りだした。
広樹「……!!」
目黒「お父さん……誰でしたっけ…これ?」
掴みあげたそれは人間の頭部……鈴本の頭だった。引きちぎられたであろう頸部からは鮮血がしたたり落ちている。
目黒広樹は激昂とともに叫び動いた。
広樹「気が違ったか貴様アァァ!!この場で潔く死ねィッッ!!正樹イイイイイイッッ!!」
恐るべき速度で間合いを詰め、パーカーの首元と肩口を掴み一気に投げ飛ば…………動かない!??
自分より一回りは小さい息子がビクともしない。それどころか手首を掴まれ押さえつけられている。
目黒「……お父さん。だって…仕方ないじゃないですか?13年間我慢したんです……もう無理ですよ。」
正樹のパーカーがずれ落ちた。その顔は異質、異常、血涙を流しながら笑っているのだ。
この瞬間私は悟った。正樹は、狂乱したのではない。正樹は……私の息子は……最初から人ではなかったのだ。
コイツは13年間、演じ続けていたんだ。目黒正樹という「人間」を……!!
目黒広樹は空を舞った。そして頭から畳の上へと落ちる……最後に見たのは息子だったものが不気味に笑う姿………………誰でもいい……殺してくれ。あの怪物を…………。
警察からの連絡を受けて館長である目黒広樹と門下生の宗光と鈴本が雨が降る中、傘もささず呆然と惨状を目の当たりにした。
崩れたブロック塀に逆さまにめり込みおかしな方向に首がねじれ息絶えている石田の姿。
宗光「い…石田?」
鈴本「嘘だろオイ…」
宗光「石田っ!!おい!石田ッ!!」
広樹「……こ…!?これは……!!」
館長も石田の死に様には当然驚いていた。しかし目についたのは伸びた服の胸元、そして千切れた袖、首の捻じれ方……間違いない、石田君は、投げ殺されたんだ。
だが、存在するのか?柔道日本代表選手を一方的に投げ殺せる人間など?
宗光「許゛ざん゛!!待ってろよ石田!!犯人は必ず俺が殺してやる!!」
しかし、二日後……宗光君が殺された。
今度は地面に叩きつけられたような死に様で石田と同じように首がねじれていた。
鈴本「おい…!おいっ!?何だよこれぇ……!!?」
広樹「そ……そんな……!」
まさか犯人は……
その日の深夜、目黒道場引き戸が静かに開いて音を立てずに入る者が居た。真っ暗な道場内を気配を消して歩いているとパッと電気がついた。
「!!」
突然のことに侵入者の動きが止まった。間髪入れずに館長が声をかけた。
広樹「どこに行っていた、正樹!」
目黒「…お父さん。まだ起きていたんですか…?」
広樹「質問に答えなさい。どこに行ってたかと聞いている。」
目黒「……どうしたんです?今日のお父さん変ですよ?」
広樹「……正樹。石田が死んだ後、お前はどこに居た?」
目黒「……?石田……?ああ、いましたねそんな人。すみませんお父さん。ずいぶん前のことなので忘れちゃいました。」
広樹「……ならば二日前はどうだ?宗光が死んだ日、お前はどこで何をしていた?」
目黒「ムネミツ……?それ誰ですっけ?」
広樹「とぼけるな貴様っ!!宗光の遺体を見た時に確信した!!あの投げ方は紛れもなくお前の仕業だ!!…………なぜだ正樹?なぜお前があの二人を殺す必要があったんだ?答えろ正樹ィッッ!!」
目黒「…………ちょうどいいや。お父さんに聞きたいことがあったんです…。」
正樹は背負っていたリュックサックを降ろすと七から何かを取りだした。
広樹「……!!」
目黒「お父さん……誰でしたっけ…これ?」
掴みあげたそれは人間の頭部……鈴本の頭だった。引きちぎられたであろう頸部からは鮮血がしたたり落ちている。
目黒広樹は激昂とともに叫び動いた。
広樹「気が違ったか貴様アァァ!!この場で潔く死ねィッッ!!正樹イイイイイイッッ!!」
恐るべき速度で間合いを詰め、パーカーの首元と肩口を掴み一気に投げ飛ば…………動かない!??
自分より一回りは小さい息子がビクともしない。それどころか手首を掴まれ押さえつけられている。
目黒「……お父さん。だって…仕方ないじゃないですか?13年間我慢したんです……もう無理ですよ。」
正樹のパーカーがずれ落ちた。その顔は異質、異常、血涙を流しながら笑っているのだ。
この瞬間私は悟った。正樹は、狂乱したのではない。正樹は……私の息子は……最初から人ではなかったのだ。
コイツは13年間、演じ続けていたんだ。目黒正樹という「人間」を……!!
目黒広樹は空を舞った。そして頭から畳の上へと落ちる……最後に見たのは息子だったものが不気味に笑う姿………………誰でもいい……殺してくれ。あの怪物を…………。