ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
観客席で魏の一族が登場した凍夜に目を向ける。魏ホリスが伯父に尋ねた。
ホリス「たしか伯父貴は、凍夜と闘ったことあるんだったな。」
堀雄「随分昔の話だがな。アフリカ某国の暗殺任務の際、身辺警護にやとわれていた奴と、一度だけ刃を交えた。依頼の齟齬のもつれから奴が護衛を辞退したため、結果的に暗殺に成功したが……正直、二度と闘いたくない相手だ。」
部屋に備え付けられた大型のモニターに映し出される凍夜を東洋電力の会長、速水勝正が鋭い眼つきで眺める。
速水「伝説の傭兵結城・クリストファー・凍夜。岩美重工の随分張り込んだな。小娘が無駄なことを。」
鬼頭「会長。野村に監視をつけますか。」
龍咬「万が一裏切った場合に備えておきますか?」
速水「なに、問題ない。アレは既に、私の傀儡だ。」
選手登場口に繋がる廊下をヒョコヒョコと歩く海一証券代表闘技場、目黒正樹。
目黒「……楽しみだなぁ。折ろうかな?絞めようかな?千切ろうかな?父さんより上手く殺せるかな?ああ……?俺、誰を殺すんだっけ?」
かつて鬼の目黒と呼ばれる猛者がいた。
目黒道場の館長、目黒広樹は目の前で声を張り上げながら互いの道着を掴み合っている二人に向かって叫んだ。
広樹「それまで!!」
「「……」」
その声に掴み合っていた二人は動きを止めて館長の方へ向き直る。
広樹「うむ。石田君を相手によく持ちこたえた。その調子で精進しなさい正樹。」
目黒正樹(当時13歳)は汗を拭って床に置いてあった眼鏡をかけながら返事をした。
目黒「はいっ!お父さん!」
対戦相手だった石田も崩れた道着を正しながら話す。
石田「いやいや先生!正直危なかったですよ」
目黒「やだなあおだてないでくださいよ。」
正樹の側に他の道場員も集まって話しだす。
「いやあ、中学生でここまで強い子は見たこと無いよ。」
「将来の金メダリスト確定だね!」
目黒「ちょっ!種光さんも鈴本さんもやめてくださいって!」
石田「来月の世界大会、もし俺達が負けたら仇は正樹君にとってもらうか♪」
正樹「何言ってるんですかもう~!」
今回も我が道場から日本代表を輩出できた。中でも石田君は、十分に優勝を狙える逸材。
そして、我が息子。正樹。
正樹が柔道を始めたのは7歳の時。あれから6年…13歳にして、大人とも互角以上に闘えるまで成長した。
今では道場で相手が務まるのは、私と日本代表の三人だけ。中でも、一番年の近い石田君は、特に正樹を可愛がってくれた。
石田「正樹君。さっくの払い腰のタイミングだけど、担ぐのをもう1テンポ遅らせて……」
正樹「なるほど!」
正樹も石田君も実の兄のようにしたっているようだ。
一週間後……石田君が、他殺体で発見された。
観客席で魏の一族が登場した凍夜に目を向ける。魏ホリスが伯父に尋ねた。
ホリス「たしか伯父貴は、凍夜と闘ったことあるんだったな。」
堀雄「随分昔の話だがな。アフリカ某国の暗殺任務の際、身辺警護にやとわれていた奴と、一度だけ刃を交えた。依頼の齟齬のもつれから奴が護衛を辞退したため、結果的に暗殺に成功したが……正直、二度と闘いたくない相手だ。」
部屋に備え付けられた大型のモニターに映し出される凍夜を東洋電力の会長、速水勝正が鋭い眼つきで眺める。
速水「伝説の傭兵結城・クリストファー・凍夜。岩美重工の随分張り込んだな。小娘が無駄なことを。」
鬼頭「会長。野村に監視をつけますか。」
龍咬「万が一裏切った場合に備えておきますか?」
速水「なに、問題ない。アレは既に、私の傀儡だ。」
選手登場口に繋がる廊下をヒョコヒョコと歩く海一証券代表闘技場、目黒正樹。
目黒「……楽しみだなぁ。折ろうかな?絞めようかな?千切ろうかな?父さんより上手く殺せるかな?ああ……?俺、誰を殺すんだっけ?」
かつて鬼の目黒と呼ばれる猛者がいた。
目黒道場の館長、目黒広樹は目の前で声を張り上げながら互いの道着を掴み合っている二人に向かって叫んだ。
広樹「それまで!!」
「「……」」
その声に掴み合っていた二人は動きを止めて館長の方へ向き直る。
広樹「うむ。石田君を相手によく持ちこたえた。その調子で精進しなさい正樹。」
目黒正樹(当時13歳)は汗を拭って床に置いてあった眼鏡をかけながら返事をした。
目黒「はいっ!お父さん!」
対戦相手だった石田も崩れた道着を正しながら話す。
石田「いやいや先生!正直危なかったですよ」
目黒「やだなあおだてないでくださいよ。」
正樹の側に他の道場員も集まって話しだす。
「いやあ、中学生でここまで強い子は見たこと無いよ。」
「将来の金メダリスト確定だね!」
目黒「ちょっ!種光さんも鈴本さんもやめてくださいって!」
石田「来月の世界大会、もし俺達が負けたら仇は正樹君にとってもらうか♪」
正樹「何言ってるんですかもう~!」
今回も我が道場から日本代表を輩出できた。中でも石田君は、十分に優勝を狙える逸材。
そして、我が息子。正樹。
正樹が柔道を始めたのは7歳の時。あれから6年…13歳にして、大人とも互角以上に闘えるまで成長した。
今では道場で相手が務まるのは、私と日本代表の三人だけ。中でも、一番年の近い石田君は、特に正樹を可愛がってくれた。
石田「正樹君。さっくの払い腰のタイミングだけど、担ぐのをもう1テンポ遅らせて……」
正樹「なるほど!」
正樹も石田君も実の兄のようにしたっているようだ。
一週間後……石田君が、他殺体で発見された。