ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ー絶命闘技会ドーム:廊下ー
事の起こりはほんの数分前、悠と城は観客席に向かおうとしていた。すると廊下の先に自販機とゴミ箱があるのを見つけて、手に持っていた缶コーヒーを飲み終えると手首のスナップだけで投げた。
ほぼ垂直に飛んでいきゴミ箱の口に吸いこまれていく。
城「わぁっ!入った!この距離でよくいけましたね!」
悠「すげえだろ?」
城「よーし、それじゃあ私も!こう見えても遠投は得意なんですよ。行きます!」
そいって大きく振りかぶる……が、突然破壊音と共に廊下全体を大きく揺れた。
その結果、城の手から缶がすっぽ抜けあらぬ方向に飛び壁に当たって、その先に居た誰かの頭にヒットした。
悠「ん?」
城「あっ…」
ま、まさか人がいたなんて…!死角だったから気付かなかった……。
蓮「……(松永工業、小鳥遊悠。そして……誰だあの小娘は。松永の関係者か?)」
奴の位置から死角に居たユリウスに正確に空き缶をぶつける技量。只者ではない。
ユリウス「……(おかしい。)」
あの娘から何も感じない。俺に牙を向けた奴が「まるで闘気を帯びていない?」
城「あ、謝らないと!」
城は小走りでユリウスに近づく。
蓮「(動いた!)」
仕方がない。みだりに会員を殺すと後が面倒だ。しばし眠ってもらうぞ。
二階堂は人差し指と中指の間に細く尖ったものを挟むと投げ飛ばした。
城「大変失礼しましたッッ!!」
ユリウスの前で腰を折って頭を下げると二階堂が飛ばした針は頭上を通りすぎて自販機に突き立った。
蓮「!!?」
なんだと!?髪より細い自製の暗器針。射出された状態では、闘技者でも視認することは不可能。その針の軌道を完全に見切られた!
この娘……いったい何者だ?
城「(あれ?今、何か飛んできたような……?)」
蓮「(やむをえん。)」
自ら動こうとしたその時、二階堂たちの耳に着けている超小型インカムに声が入った。
『二階堂、もういい。松永工業は放っておけ。それより、お前は準備に取り掛かるんだ。正樹。お前は仕合場へ向かうんだ。殺すなといっているわけではない。お前の相手は結城クリストファー凍夜、元傭兵だ。相手に不足はなかろう?存分にやりなさい。』
東洋電力会長、速水勝正の声に……。
目黒「…………わかったよおじさん。」
さっきまで暴走しかけていた目黒だったが返事をすると超小型インカムを外すと指で挟み潰してヒョコヒョコと闘技場へと歩き出した。
蓮「やれやれ…手間のかかる奴だ。聞いての通りだユリウス。ここは引くぞ。」
ユリウス「……」
少し遅れて歩いてきた悠が合流するとユリウスがひと睨みした。
悠「……あ、なんか用か?」
ユリウス「……次はないぞ。」
巨人はそう言い残して二階堂とともに退いていった。
城「よかった、許してもらえましたよ…。」
悠「(あいつら……かなり強いな。)」
「う゛ーー……う゛ーーっ……」
城「あれ、何でしょうの音……うっ、うわあぁぁぁぁ!だだだだ、大丈夫ですかぁー!?」
視線を向けると自販機の角で血まみれで右足がおかしな方向に曲がったボロボロの人間が唸っている。
慶三郎「うっ……う゛っ……」
城「足が折れてる!ゆ、悠さん医務室に運んであげましょう!」
悠「このへんてこな頭……確か紅のツレじゃないか。」
「あ、あの!」
悠「ん?アンタは確か……」
女の声が聞こえて振り向くとマーダーミュージックの社長の戸川好子が焦り顔で近づいてきた。
戸川「マーダーミュージックの戸川、そいつの雇い主だよ。いや……助かったよ。アンタらが来てくれなきゃ今頃どうなってたか……」
悠「助けた?おれらが?」
城「肩に掴まってください!」
慶三郎「くっ……うっ…」
悠「よくわかんないけど、おれらは何もしてないぞ。」
な…なんだよコイツ…助けたことを恩に着せるどころか……「当然のことをしたまで」と、言い切る男らしさ(戸川解釈)。
ヤッベ…惚れた!
戸川「あ!あのさ!今度礼させてくれよ!何でもするから、な!!」
悠「は、はぁ。」
ガッツリと手を握られて気付かぬうちに評価を上げる悠と城であった。
城「悠さん!一人じゃ無理です!手伝って~~!」
他の会員よりも豪華な一室で速水勝正はタブレットにに映った二階堂達の行動を見届けると、空のワイングラスを手にとった。白いスーツの女性がそつなく赤ワインを注ぐ。
少し離れた位置で直立している守護者(ガーディアン)の龍咬(ロンミン)と鬼頭軍司(きとうぐんじ)が視線を向けていった。
鬼頭「いいんスか会長?邪魔者を消しておくチャンスだったのでは?」
速水「フッ…構わん。松永など所詮、小鳥遊兜馬の傀儡。凡骨など放っておけばいい。そりよりも……あちらはそろそろ終わる頃合いか。」
ワインをひと口飲むと口元に笑みを浮かべた。
事の起こりはほんの数分前、悠と城は観客席に向かおうとしていた。すると廊下の先に自販機とゴミ箱があるのを見つけて、手に持っていた缶コーヒーを飲み終えると手首のスナップだけで投げた。
ほぼ垂直に飛んでいきゴミ箱の口に吸いこまれていく。
城「わぁっ!入った!この距離でよくいけましたね!」
悠「すげえだろ?」
城「よーし、それじゃあ私も!こう見えても遠投は得意なんですよ。行きます!」
そいって大きく振りかぶる……が、突然破壊音と共に廊下全体を大きく揺れた。
その結果、城の手から缶がすっぽ抜けあらぬ方向に飛び壁に当たって、その先に居た誰かの頭にヒットした。
悠「ん?」
城「あっ…」
ま、まさか人がいたなんて…!死角だったから気付かなかった……。
蓮「……(松永工業、小鳥遊悠。そして……誰だあの小娘は。松永の関係者か?)」
奴の位置から死角に居たユリウスに正確に空き缶をぶつける技量。只者ではない。
ユリウス「……(おかしい。)」
あの娘から何も感じない。俺に牙を向けた奴が「まるで闘気を帯びていない?」
城「あ、謝らないと!」
城は小走りでユリウスに近づく。
蓮「(動いた!)」
仕方がない。みだりに会員を殺すと後が面倒だ。しばし眠ってもらうぞ。
二階堂は人差し指と中指の間に細く尖ったものを挟むと投げ飛ばした。
城「大変失礼しましたッッ!!」
ユリウスの前で腰を折って頭を下げると二階堂が飛ばした針は頭上を通りすぎて自販機に突き立った。
蓮「!!?」
なんだと!?髪より細い自製の暗器針。射出された状態では、闘技者でも視認することは不可能。その針の軌道を完全に見切られた!
この娘……いったい何者だ?
城「(あれ?今、何か飛んできたような……?)」
蓮「(やむをえん。)」
自ら動こうとしたその時、二階堂たちの耳に着けている超小型インカムに声が入った。
『二階堂、もういい。松永工業は放っておけ。それより、お前は準備に取り掛かるんだ。正樹。お前は仕合場へ向かうんだ。殺すなといっているわけではない。お前の相手は結城クリストファー凍夜、元傭兵だ。相手に不足はなかろう?存分にやりなさい。』
東洋電力会長、速水勝正の声に……。
目黒「…………わかったよおじさん。」
さっきまで暴走しかけていた目黒だったが返事をすると超小型インカムを外すと指で挟み潰してヒョコヒョコと闘技場へと歩き出した。
蓮「やれやれ…手間のかかる奴だ。聞いての通りだユリウス。ここは引くぞ。」
ユリウス「……」
少し遅れて歩いてきた悠が合流するとユリウスがひと睨みした。
悠「……あ、なんか用か?」
ユリウス「……次はないぞ。」
巨人はそう言い残して二階堂とともに退いていった。
城「よかった、許してもらえましたよ…。」
悠「(あいつら……かなり強いな。)」
「う゛ーー……う゛ーーっ……」
城「あれ、何でしょうの音……うっ、うわあぁぁぁぁ!だだだだ、大丈夫ですかぁー!?」
視線を向けると自販機の角で血まみれで右足がおかしな方向に曲がったボロボロの人間が唸っている。
慶三郎「うっ……う゛っ……」
城「足が折れてる!ゆ、悠さん医務室に運んであげましょう!」
悠「このへんてこな頭……確か紅のツレじゃないか。」
「あ、あの!」
悠「ん?アンタは確か……」
女の声が聞こえて振り向くとマーダーミュージックの社長の戸川好子が焦り顔で近づいてきた。
戸川「マーダーミュージックの戸川、そいつの雇い主だよ。いや……助かったよ。アンタらが来てくれなきゃ今頃どうなってたか……」
悠「助けた?おれらが?」
城「肩に掴まってください!」
慶三郎「くっ……うっ…」
悠「よくわかんないけど、おれらは何もしてないぞ。」
な…なんだよコイツ…助けたことを恩に着せるどころか……「当然のことをしたまで」と、言い切る男らしさ(戸川解釈)。
ヤッベ…惚れた!
戸川「あ!あのさ!今度礼させてくれよ!何でもするから、な!!」
悠「は、はぁ。」
ガッツリと手を握られて気付かぬうちに評価を上げる悠と城であった。
城「悠さん!一人じゃ無理です!手伝って~~!」
他の会員よりも豪華な一室で速水勝正はタブレットにに映った二階堂達の行動を見届けると、空のワイングラスを手にとった。白いスーツの女性がそつなく赤ワインを注ぐ。
少し離れた位置で直立している守護者(ガーディアン)の龍咬(ロンミン)と鬼頭軍司(きとうぐんじ)が視線を向けていった。
鬼頭「いいんスか会長?邪魔者を消しておくチャンスだったのでは?」
速水「フッ…構わん。松永など所詮、小鳥遊兜馬の傀儡。凡骨など放っておけばいい。そりよりも……あちらはそろそろ終わる頃合いか。」
ワインをひと口飲むと口元に笑みを浮かべた。