ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:選手登場口付近ー

「説明しろー!」
「ふざけんなー!」
「闘えーー!」

背中からブーイングが聞こえてくるもユリウス・ラインホルトは意にも返さずに出てきた登場口を戻ってきた。

巨体を揺らし進んでいると白夜新聞の二階堂蓮と海一証券の目黒正樹、そしてマーダーミュージックの戸川好子が目に入った。

蓮「ご苦労。まずは一人一回戦突破だ。」

ユリウス「余計なことを。あの程度の雑魚、10秒かからず仕留められたというのに。」

蓮「フッ。そう言うな主の命だ。ご婦人、手荒な真似をして申し訳ない。だが、貴女の勇気ある決断のおかげで万事うまく言った。心より礼を言う。」

青い顔した好子は二階堂たちを睨みつけた。

ほんの数分前のこと……

戸川『電気を止めるだと!?』

蓮『左様。要求を受け入れねば、東洋電力は今後一切、マーダーミュージックに対して、電力の供給を行わない。他の電力会社も同様、電力の販売をしないよう圧力をかける。我が主にとって造作もないことだ。』

戸川『チッ!くっだらねえ圧力かけやがった!!電気を売らねぇ?上等じゃねぇか!!発電機ぐらいすぐに用意できるんだよ!自社発電に切り替え音なんてわけねぇぜっっ!!』

蓮『ほう……?威勢のいいご婦人だ。だが、忘れていないか?貴女が敵対して居ようとしているのは……闘技会最大派閥「百人会」が長。』

戸川『!!』

蓮『百人会には、あらゆる業種の会員がいる広告、流通、芸能、アミューズメント……そして音楽産業。彼らが一斉にマーダーミュージックとの取引を停止すれば、何が起こるかは想像に難しくないだろう?Mミュージックは今後、映像・音楽コンテンツダウンロード販売の大規模展開を計画しているそうだね?』

戸川『(こ、コイツ!社外秘の情報を知ってやがる!?)』

蓮『無論、それも潰す。貴女の決断ひとつで1600名の社員と家族が路頭に迷う。……ご理解いただけたかな?貴女は既に喉元をすでに押さえられている。』

……すまん、沢田。

蓮「次は第七仕合。目黒、お前の出番だ。」

目黒「……フゥウウウ……壊してくるか~~~~」

だらしなく口を開いて舌を垂らしながら前かがみの姿勢でひょこひょこと歩き出した瞬間、金色と薄ピンクの塊が飛びこんできて目黒の顔を蹴り飛ばした。目黒は大きく後ろに吹き飛んでいき、蹴りを放った者は戸川好子の前に立った。

それは……沢田慶三郎。

慶三郎「……やっぱりそういうことかよ。ざっけんじゃねぇぞテメーらァッッッ!!寄ってたかって女を脅すなんて金玉ついてんのか!??オ゛オ゛ッッッ!!?」

蓮「なんの真似だ?沢田慶三郎。戸川社長はご自分の意思で棄権を選択された。我らに当たるのは筋違いも甚だしいぞ。」

慶三郎「うるせえよチャイナ野郎!!ちょっと男前だからって許されると思うなよ!!俺はなァッッッテメーらみてえな腐った男がてて大ッッ嫌れえなんだよッッ!!」

蓮「ほう。ならばどする?」

慶三郎「ぶっ潰す!二人まとめて相手してやるよ!!」

蓮「……二人?三人の間違いだろう?」

沢田と好子の背後で何かが動く気配がした。振り返ると蹴り飛ばした目黒が起き上がって曲がった鼻を自分で治している。

目黒「ハァアアア~」

嘘でしょ?!脳が潰れる勢いで蹴りこんだのに…!ピンピンしてるじゃない!!?
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