ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:選手控室ー

両足つま先立ち。足の先……ではなく、本当に両足の足の「つま先」のみで直立する者が居る。

左足が僅かに浮いた。そのまま後ろに動いていくと垂直に聳えると停止した。右のつま先の一点のみで自身を支え、左の足はぶれること無くそそり立ったままの姿勢を維持してマーダーミュージックの代表闘技者:沢田慶三郎は袖のないピッチリとした薄ピンクバトルタイツを着て目元には紫色のアイシャドウ、唇にも同色のルージュが塗られている口を開いた。

慶三郎「いよいよ出番ね。高鳴るわ♪」

その背後ではハードブーツに網タイツ、白のラバースカートと黒のシャツ姿の色黒の女性。マーダーミュージック社長の戸川好子がいった。

戸川「わかってるな沢田?東電はあえてウチにぶつけてきやがった。ナメラレてんだよアタシらは。」

沢田はクルッと180度ターンを決めるとつま先を戸川の顔先に突き付けた。

慶三郎「お黙りなさい、好子。」

戸川「!」

慶三郎「口数の多い子は美しくないわよ。おバカさんには黙って結果を突きつけてやればいいのよ。」

好子は顔に向けられている足を手で払うと笑っていった。

戸川「へっ!お前が言うかよ。それならさっさとブッ倒してきな。」

同時刻、闘技場を一望できる闘技会会長のVIPルームで片原滅堂が目の前に居る男に笑いかけた。

滅堂「ほっほっほっ!君とサシで話すのはいつ以来かの?ところで、ボディーガードを変えたかの速水君?」

対面に座る男は東洋電力会長の速水勝正。その背後には上下のスーツからネクタイ、果ては靴まで白で揃えている男がふたり。ひとりはやや細身の黒髪、もう一人は顔に×の傷があるサングラスをかけたガタイのいい男が立ち並んでいる。

速水「ええ。会長の「護衛者」にあやかって組織にしたんですよ。彼らは「守護者(ガーディアン)」。私の身辺警護させています。私が選び抜いた精鋭たち。護衛者に引けをとらぬと自負していますがね。これは鬼頭(きとう)と
龍(ロン)。私の直属の護衛を任せています。」

左半分が焼け爛れた顔でニィッと歯を見せて初老の男は笑った。

傷の男が鬼頭で、黒髪が龍というらしく。二人とも滅堂の背後に並び立つ護衛者、王森と
鷹山をみてニヤニヤと挑発的に笑っている。

王森「…鷹山。」

鷹山ミノルがピクッと動きかけたが、王森が制した。

滅堂「ひょっひょっひょっ♪守護者(ガーディアン)ときよったか若い者はハイカラじゃのう~。時にお主、闘技場に降りんでもよいのかの?」

速水「…必要ないでしょう。そう長くはかかりませんので。」

ガラス一枚隔てた闘技場から歓声と鞘香の声が響いてくる。

鞘香『それではっ!闘技者入場っっ!!美しき暗黒鳥、怪しく舞う!魅了されたら最期、魔性の男の登場だ!身長181センチ、体重74キロ、闘技仕合戦績4勝0敗、企業獲得資産210億9000万円!!マーダーミュージック沢田慶三郎ウウゥゥウゥッッ!!』

慶三郎「あら?あの子、なかなかセンスあるじゃない。ナイス紹介よ♪」

【暗黒鳥】沢田慶三郎

鞘香『続いて対戦闘技者の入場です!!ドイツのマッスルモンスター極東の地で暴れまわる!!その筋力、人類史上最強!!いかなる攻撃もこの男には通じない!!身長205センチ体重210キロ、闘技仕合戦績51勝0敗企業獲得資産1兆6277億1100万円、東洋電力、ユリウス・ラインホルトオオッ!!』

【モンスター】ユリウス・ラインホルト
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