ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ーベルリンオリンピア・シュタディオンー
闘技絶命トーナメント開催一週間前――
ドイツのベルリンにある陸上競技場。ヘルタBSCのホームグラウンドとして使用されている。
その歴史は1936年、ベルリンオリンピックのメインスタジアムとして開場。ベルリンオリンピックでは陸上競技やサッカー競技、ハンドボール競技が開催された。
そのドームからドルドルッ、ドルドルルッという豪快なエンジン音が響いていた。しかし観客などはひとりもいない。
現在オリンピア・シュタディオンに存在する人間は三名。
ひとりはF1ドライバーの荒地ジャン。車に乗って震えるジャンは息を荒げて呟いた。
ジャン「フーフーフーッ…。じょ…冗談じゃねぇよ……コイツ……完ッッッ璧にイカレてやがる!!」
F1カーには鎖が伸びていた。その鎖が繋がっているのは東洋電力のユリウス・ラインホルト……つまりひとりの人間の身体に絡みついているのだ。
荒地の耳についたインカムに声が飛んできた。
『何をしている?早く始めろ。』
ジャン「……勘弁してくれよ旦那。こんなの聞いてねぇぞ。」
今、マシンを動かしたら最後……ドイツ野郎のバラバラ死体が出来上がりだぜ……。
『心配するな。ドイツ警察への根回しは済ませてある。安心して殺せ。』
ジャン「そっ、そういう問題じゃねえだろうがっ!!!」
『ふむ…?ではやめるか?とうに盛りの過ぎたロートルドライバー。』
ジャン「ッ!」
『二度と表彰台に立つことは無いであろう君が掴んだ最後のチャンス。それを自らふいにするか?その選択は間違っていると思うがね。君にとっても家族にとっても。』
ジャン「なっっ何だと!!?」
『フフ…私は用心深い性格でね。君を雇うにあたり保険をかけさせてもらった。私が君の立場なら家族が「事故」に巻き込まれる前に決断を下すがね…』
ジャン「フーーッ、フーーッ……Daccord(わかった。)やってやるぜクソッタレエエエエッッ!!」
あらゆる意味で覚悟を決めた荒地は叫び声をあげると同時にアクセルを踏み込んだ。2秒で300キロに達する怪物マシン、気がついた時にはあの世行きだ。
車が飛び出した数秒後、何故か車が進まなくなった。ドライバーの荒地は急停止に頭を前後に打ち付けてしまう。ヘルメットを着けていなければ首か頭に怪我を負っていたことだろう……。
だが、そんなことよりも荒地ジャンは困惑していた。怪物マシンのアクセルは今でも踏みっぱなし、だが進まない。ギュルルルと音を立ててタイヤは回転を続けているも……進まないのだ。
それどころか……引きずられている!史上最高のモンスターマシンが!ひとりの人間に!!
ユリウス「……」
鎖が絡まったユリウス・ラインホルトの肉体は締め付けられてはいる物の切断はされて居らず、ズンズンッと地面を踏みしめて前へと進んでいる。
ジャン「動けッッ!動けッッッ!!動けエェェェェ!!!」
『潮時だ。終わらせろユリウス。』
その指令を受けたユリウスは上半身を振りかぶった。するとF1マシンとユリウスを繋いでいた鎖が千切れた。突然動くようになってしまったマシンは壁に突っこみ大爆発という惨事を迎えた…。
『フフフ…特注のチェーンを難なく千切るか…ご苦労だったユリウス。最終調整終了だ。日本へ向かうぞ。』
ユリウス「トーナメントか…くだらんな。」
『その通り老いぼれの下らん余興さ。だがな……革命には余興が付き物なのだよ。』
ドームの観客席でそう伝えた男は左半分が焼け爛れた傷を持つ東洋電力の会長、速水勝正だ。
闘技絶命トーナメント開催一週間前――
ドイツのベルリンにある陸上競技場。ヘルタBSCのホームグラウンドとして使用されている。
その歴史は1936年、ベルリンオリンピックのメインスタジアムとして開場。ベルリンオリンピックでは陸上競技やサッカー競技、ハンドボール競技が開催された。
そのドームからドルドルッ、ドルドルルッという豪快なエンジン音が響いていた。しかし観客などはひとりもいない。
現在オリンピア・シュタディオンに存在する人間は三名。
ひとりはF1ドライバーの荒地ジャン。車に乗って震えるジャンは息を荒げて呟いた。
ジャン「フーフーフーッ…。じょ…冗談じゃねぇよ……コイツ……完ッッッ璧にイカレてやがる!!」
F1カーには鎖が伸びていた。その鎖が繋がっているのは東洋電力のユリウス・ラインホルト……つまりひとりの人間の身体に絡みついているのだ。
荒地の耳についたインカムに声が飛んできた。
『何をしている?早く始めろ。』
ジャン「……勘弁してくれよ旦那。こんなの聞いてねぇぞ。」
今、マシンを動かしたら最後……ドイツ野郎のバラバラ死体が出来上がりだぜ……。
『心配するな。ドイツ警察への根回しは済ませてある。安心して殺せ。』
ジャン「そっ、そういう問題じゃねえだろうがっ!!!」
『ふむ…?ではやめるか?とうに盛りの過ぎたロートルドライバー。』
ジャン「ッ!」
『二度と表彰台に立つことは無いであろう君が掴んだ最後のチャンス。それを自らふいにするか?その選択は間違っていると思うがね。君にとっても家族にとっても。』
ジャン「なっっ何だと!!?」
『フフ…私は用心深い性格でね。君を雇うにあたり保険をかけさせてもらった。私が君の立場なら家族が「事故」に巻き込まれる前に決断を下すがね…』
ジャン「フーーッ、フーーッ……Daccord(わかった。)やってやるぜクソッタレエエエエッッ!!」
あらゆる意味で覚悟を決めた荒地は叫び声をあげると同時にアクセルを踏み込んだ。2秒で300キロに達する怪物マシン、気がついた時にはあの世行きだ。
車が飛び出した数秒後、何故か車が進まなくなった。ドライバーの荒地は急停止に頭を前後に打ち付けてしまう。ヘルメットを着けていなければ首か頭に怪我を負っていたことだろう……。
だが、そんなことよりも荒地ジャンは困惑していた。怪物マシンのアクセルは今でも踏みっぱなし、だが進まない。ギュルルルと音を立ててタイヤは回転を続けているも……進まないのだ。
それどころか……引きずられている!史上最高のモンスターマシンが!ひとりの人間に!!
ユリウス「……」
鎖が絡まったユリウス・ラインホルトの肉体は締め付けられてはいる物の切断はされて居らず、ズンズンッと地面を踏みしめて前へと進んでいる。
ジャン「動けッッ!動けッッッ!!動けエェェェェ!!!」
『潮時だ。終わらせろユリウス。』
その指令を受けたユリウスは上半身を振りかぶった。するとF1マシンとユリウスを繋いでいた鎖が千切れた。突然動くようになってしまったマシンは壁に突っこみ大爆発という惨事を迎えた…。
『フフフ…特注のチェーンを難なく千切るか…ご苦労だったユリウス。最終調整終了だ。日本へ向かうぞ。』
ユリウス「トーナメントか…くだらんな。」
『その通り老いぼれの下らん余興さ。だがな……革命には余興が付き物なのだよ。』
ドームの観客席でそう伝えた男は左半分が焼け爛れた傷を持つ東洋電力の会長、速水勝正だ。