ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

金剛と室淵が闘技場の中央で睨み合う。二対の像がが並び合っている様な威圧が発せられる。

金剛「……強いな、アンタ。」

室淵「君のお陰だよ、金剛君。「挑戦」なんと甘美な響きか……この室淵剛三が、挑戦者になる日が来ようとは、君という「宿敵」に巡り合えたこと、行幸!まさに行幸!」

Bブロック担当のレフリー、田城もさしが巨神たちの間に立って叫んだ。

レフリー田城「よし。位置について!!」

室淵「……審判君、勘違いをしてはいけない。」

レフリー田城「え?」

室淵「始まりを決めるのは君ではない。」

金剛もその意見に同意らしく室淵を静かに見つめている。

城「もう始まってる!」

悠「ああ。」

最前列の観客席で腕を組んで眺めている八頭貿易の代表闘技者である右京山寅が小さく口を開いた。

寅「サーパイン。お前、この勝負どう見る?」

サーパイン「～～ッッ!!燃えるぜッッ!!」

怒声にも近いほどの爆音でそう返事(?)を返して寅は片耳を押さえながら失敗したという顔をした。

レフリー田城「両者待て!ま、待てお前達ッッ!!お、おい!!待てと言うのに!!」

金剛「……」

室淵「……」

だ、ダメだ!これは…止められない!

そう思っているとレフリーのインカムに声が飛んだ。それは片原滅堂だ。

滅堂『田城や、やらせてやりなさい。それより早く逃げんとお主、巻き込まれるぞい♪』

田城「はッ……始めっ!!」

滅堂の令が飛んで、そのひと言だけ言い残して田城は走り去った。残された二人はしばらくにらみ合って漸く動きをみせた。

金剛はほんの少し上半身を前に傾け腕をだらりと垂らしたフリースタイルのような構え。

対して室淵は走りだす寸前の様に右前脚を踏みだし、左足を後ろに伸ばし両腕を縦に構えた。

闘技場ではなくフードエリアで摩耶たちは闘技場の様子を中継しているモニターに集中していた。

アダム・ダッドリーがケチャップをたっぷり付けたポテトを口に放り込みながら言う。

アダム「何だァ?あのFUCKINな構えは?」

鈴猫「フリー……スタイルとクラウンチ……っぽい構え?」

西品治「彼、金剛君はいつもあんな感じで?」

鈴猫「私も……詳しくないですけどああいう感じではなかったんじゃないかな
、摩耶君。……摩耶くん?」

摩耶は頬に氷の入った小さな氷嚢を押しあてながら真剣な顔でモニターを眺めていた。

摩耶「……(絶対勝てるよね、金剛君…)」

止まぬ歓声、動かぬ両雄だったが……その時はふいに訪れた。

室淵「さぁ挑戦だ!」

そう叫んで先に動いたのは室淵、しかし次の瞬間……金剛の鉄拳が真っ正面から顔面を打ち抜いた!!