ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

昼休憩が終わると闘技場は再び歓喜と熱気に包まれていた。司会進行役の鞘香が歓声に負けんとマイクに叫ぶ。

鞘香『一回戦第五仕合まず登場するのはこの男だーー!!!オリンピック祭典の英雄、堂々の降臨ッ!!現代のヘラクレスが死地へと挑む!!身長187センチ体重110キロ、闘技仕合戦績19勝1敗!企業獲得資産682億9600万円!!ユナイテッド・クロージング、室淵剛三オオオオオォォォォォ!!!』

室町は白のタンクトップに黒のスパッツでフロント・ダブル・バイセップス、正面から2組の上腕二頭筋を見せるポーズで隆々の筋肉を見せつけながら観客利の声を浴びた。

室淵「フフッ(やはり良い物だな。歓声という奴は。)」

【測定不能】室淵剛三

立ち見ができる上層廊下で金田末吉が驚きの声を上げた。

末吉「ええっ!!大久保さん、室淵選手とお知り合いなんですか?」

大久保「おう、せやで。室淵のオッサンが現役のころに、何度かスポーツ番組で共演してな。そっから時々飯に行くようになったんや。俺もそこそこビッグなんやぞ。」

折れた腕にギプスをつけて包帯を巻いて吊るした状態の氷川が尋ねた。

氷川「室淵は格闘技の経験があったのか?」

大久保「いや。あのオッサン、格闘技経験ゼロの正真正銘ド素人や。…俺の知る限りはな。」

その会話に割って入ったのは昼食を終えて合流した久秀だった。手元にタブレットのような物を持っていて操作しながら話す。

久秀「室淵の闘技仕合デビューは2年前。身体能力「だけ」で瞬く間に19勝をあげた強豪闘技者。」

紅「ひゅー19勝。」

「「「ワアアアアアアアッ!!」」」

鞘香『さすが室淵選手!会場の声援もひと際大きいぞ!さあそれでは対戦相手の……』

いざ紹介という場面で背後から一人女性が走ってきて声をかけた。

熊耳ガール「お嬢っ!ちょっとすみません!」

鞘香「ん?どうしたの歩ちゃん」

熊耳ガール「あの、次の闘技者のプロフィールの件で連絡がありまして実は……」

鞘香「えーー記載ミス!?直前にいわれても困っちゃうよー。」

熊耳ガール「ですよねー……」

もう仕方ないなぁ……まぁ、大した情報じゃないしいわなくても平気かな…

鞘香『お、お待たせしましたー!闘技仕合の巨神がヘラクレスと対峙する!!瞬く間に積み上げた勝利は306連勝!!史上最速最多最連勝数は伊達じゃない!!今大会優勝候補の一角が遂に動きだす!!闘技仕合戦績306勝0敗!!企業獲得資産3兆2773億9500万円!!小鳥遊製薬、金剛ッッ!!』

【金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)】金剛(鉄剛)

城「さささささささ!?」

悠「何言ってんだお前」

城「3兆ってちょっとした国家予算レベルじゃないですか!!」

「金剛ゥゥゥゥっ!」
「男見せたれやぁァァァ!!」
「頑張ってーー♪」
「金剛さぁーん!」

城「こ……!この声援、室淵選手よりさらにスゴイ!さ、さすが300勝利闘技者…格が違いますね。この勝負、室淵選手の分が悪そうです……。」

悠「……」
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