ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー大江戸城麓・大広場ー

悠「ぅぅ…」

これは頭を押さえつけられて強制的に土下座させられてるようだ。プレッシャーが弱まってようやく顔を上げたときには本当にみんな土下座をしていた。
正直、十万人の土下座は初めて見た。

スケ『グォウ…』

由佳里「し、静まれ、静まれーー!」

光姫「さっきから静まっておる。」

由佳里「えーい、控え、控えおろー!」

光姫「控えてもおる」

由佳里「あ、あわわわ…お、落ち着けー!」

光姫「お主が落ち着かんか」

由佳里「こ、こんなに大勢の前で口上するなんて……は、初めてなんですよぉ」

光姫「由佳里。いいから、いつも通りやりなさい」

新「がんばれ、ゆかりん!」

由佳里「は、はいぃ!」

由佳里「カクちゃん、印籠を!」

カク『バォォーーン!』

カクがひと吠えすると署名の入った家紋がホログラムで映し出された。

由佳里「この紋所が目に入らぬかぁ!」

悠「紋所って?」

銀次「あれは徳河家の家紋。そして署名は学園の創始者である徳河造雲のものだ。学園理事からの委任状になっていてこの学園内では非常に強い強制力を持っている。そしてその委任状を代々受け継いできたのが…」

由佳里「こちらにおわすお方をどなたと心得る!怖れ多くも現執行部大老にして、副将軍水都家の子女、光姫様にあらせられるぞ!副将軍の御前である!一同、頭が高い!」

そして、広場に集まった十万人の生徒が控えた。

新「ミッキー、ゆかりん、かっこいい!!」

あ、少なくともひとりは控えてもいないやつがいた。

悠「副将軍……だって?えらい人だとは聞いてたけど、これはちょっとえらすぎじゃないか?」

由佳里「光姫様…」

光姫「うむ。ご苦労じゃったな。天狗御前いや、徳河豪俊。お主、創雲翁から連なる徳河家の者でありながらこの旅の謀反けして赦される者ではないぞ」

豪俊「俺はこの学園のために世直しを…」

光姫「黙れ。世直しと称して放火・狼藉。それらの暴力行為を脅しに商人たちから上納金を集めることの何が世直しか?将軍の不在を狙い、天狗党などという徒党を組んで、学園の治安を著しく損ねた罪は重い。追って執行部より厳罰の沙汰が届くであろう。おそらくお主が、この学園の地を踏むことは今後永久にないじゃろう。覚悟しておくのじゃな」

豪俊「う、ぐぅ…」

光姫「謀反に荷担せし者。そちらもまた同罪じゃ。神妙に縛につき罪を償うがよい」

豪俊「おのれ、水都光姫。この魔女め」

光姫「ふふ。お前のような力任せのゴリラとは頭の出来がちがうんじゃ。ゴリラ立てた作戦が見抜けぬようなわしに思うてか?」

豪俊「そうかな?本当の目的は別にある。」
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