ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
髪、それは人体で最も強固な器官。
一本あたりの強度は、およそ150g。
そして髪の本数は平均10万本。
理論上、ひとりの頭髪で15tもの重さに耐えうるということになる。
これは決して、机上の空論ではない。
2009年、英国在住のマンジット・シンは、重量8.5tの二階建てバスを「髪の毛だけ」で215m引っ張ることに成功。
ギネス記録を更新している。
この偉業は、髪の強靭さを世に知らしめることになった。
一家相伝の因幡流では、幼少より髪の毛に特殊に調合された薬剤を擦りこみ強化していく。現代の如何なる育毛剤よりも効果を発揮する秘伝の妙薬である。
強化された髪は長年の鍛錬を経て自在に操れるよう洗礼されていく。
そして、因幡流は完成する。
「巻けば鋼線、打てば鞭」まさに唯一無二の武器である。
さらに……
引き千切れないならばと悠はつま先に力を込めた。
【小鳥遊流・夏喜ノ型:烈火】
前方へ飛び出す様な高速の歩法術。
鞘香『は、速い!一気に距離を詰めてきたアアーーーー!!』
因幡「間合いに入ればイケると思った?無理ムリ~!」
拳のが届く間合いに入りかけた瞬間、足に絡みついた髪の束を引っ張られ悠は何かに滑ったように仰向けに倒れ込んだ。
悠「くっそ!」
忌々しい髪の縄を切り裂こうと手刀でなぎ払うもビクともしない。
因幡「それも無理ィッッ!!」
悠の身体がまたも宙を舞った。地面に叩き落とされると今度は闘技場の周りを引きづり回され始める。
鞘香『そしてこれだアアアア絡みついた髪で悠選手を振り回すゥゥゥゥっ!』
ジェリー『AMAZINGな首のPOWERデス!!』
鞘香『それにしても、体重の重い悠選手はどうして髪を引っ張り返さないんでしょうか?』
ジェリー『NO!それは難シイと思イマス!』
因幡選手が序盤ニ見せた奇妙な歩法。アレの応用デ足ノ指デ地面をガッチリHOLDしているのデース!体重62キロの因幡選手ヲ楽々動かセル指力。生半可なPOWERでは引き剥ガスのは不可能(インポッシブル)デスッ!!
観客席で眺めていた十王通信代表闘技者の坂東洋平は帽子の上から頭を撫でた。
坂東「まさか髪とはね。これは考えつきもしなかったなぁ……。」
高田「……」
十王通信社長が隣で何とも言えない苦笑いをした。
ジャイアントスイングならぬヘアースイングで振り回され続けここ一番に力が乗ったタイミングで壁の方へと投げ飛ばされモロに叩きつけられた。
悠「ぐはっ!!」
因幡が頭を振ると髪がさらに悠へと延び右腕に絡みついた。
鞘香『ま、また絡まったアアアア!!右足に続い右手も拘束!悠選手大ピンチかアア!!』
瓜田「よし…勝ちパターンに入った。」
松永社長、僕たちの勝ちのようですね。……ん?あの女……笑っている?なんだあの余裕は?まだ何か奥の手があるのか?それとも敗北を前に正気を失ったか…?いや、仮にもトーナメント参加者だ。それはあるまい。
久秀「フフッ、フフフッ。か、髪の毛って、ふふふっ。」
城「いやいや、笑ってる場合じゃないですって!!」
紅「松永の嬢ちゃんのツボに入ったのか…」
実際、悠は追い込まれていた。手足を捉えられ鎖ほどの強度を持つ髪の鞭で殴打され続けているのだ。
鞘香『打つ!打つ!!打つ!!!打つ!!!!まさに変幻自在!まさに縦横無尽!!悠選手、髪の鞭に苦戦している!!』
悠「ッッ!」
冗談のようで冗談ではない。一打、一打と受けるたびに皮膚が裂け、衝撃が骨に響いていく。
因幡「そぉーーれい!」
更に髪の縄が増え悠に絡みついた。その矛先は頭部だ。
鞘香『あーーっ!く、首です!変幻自在の髪が首と顔面に巻きついた!悠選手視界を塞がれたか!?果たしてこの窮地を凌げるのか!!?』
目と首を縛っている髪縄の隙間から赤い液体が流れ始めた。
髪、それは人体で最も強固な器官。
一本あたりの強度は、およそ150g。
そして髪の本数は平均10万本。
理論上、ひとりの頭髪で15tもの重さに耐えうるということになる。
これは決して、机上の空論ではない。
2009年、英国在住のマンジット・シンは、重量8.5tの二階建てバスを「髪の毛だけ」で215m引っ張ることに成功。
ギネス記録を更新している。
この偉業は、髪の強靭さを世に知らしめることになった。
一家相伝の因幡流では、幼少より髪の毛に特殊に調合された薬剤を擦りこみ強化していく。現代の如何なる育毛剤よりも効果を発揮する秘伝の妙薬である。
強化された髪は長年の鍛錬を経て自在に操れるよう洗礼されていく。
そして、因幡流は完成する。
「巻けば鋼線、打てば鞭」まさに唯一無二の武器である。
さらに……
引き千切れないならばと悠はつま先に力を込めた。
【小鳥遊流・夏喜ノ型:烈火】
前方へ飛び出す様な高速の歩法術。
鞘香『は、速い!一気に距離を詰めてきたアアーーーー!!』
因幡「間合いに入ればイケると思った?無理ムリ~!」
拳のが届く間合いに入りかけた瞬間、足に絡みついた髪の束を引っ張られ悠は何かに滑ったように仰向けに倒れ込んだ。
悠「くっそ!」
忌々しい髪の縄を切り裂こうと手刀でなぎ払うもビクともしない。
因幡「それも無理ィッッ!!」
悠の身体がまたも宙を舞った。地面に叩き落とされると今度は闘技場の周りを引きづり回され始める。
鞘香『そしてこれだアアアア絡みついた髪で悠選手を振り回すゥゥゥゥっ!』
ジェリー『AMAZINGな首のPOWERデス!!』
鞘香『それにしても、体重の重い悠選手はどうして髪を引っ張り返さないんでしょうか?』
ジェリー『NO!それは難シイと思イマス!』
因幡選手が序盤ニ見せた奇妙な歩法。アレの応用デ足ノ指デ地面をガッチリHOLDしているのデース!体重62キロの因幡選手ヲ楽々動かセル指力。生半可なPOWERでは引き剥ガスのは不可能(インポッシブル)デスッ!!
観客席で眺めていた十王通信代表闘技者の坂東洋平は帽子の上から頭を撫でた。
坂東「まさか髪とはね。これは考えつきもしなかったなぁ……。」
高田「……」
十王通信社長が隣で何とも言えない苦笑いをした。
ジャイアントスイングならぬヘアースイングで振り回され続けここ一番に力が乗ったタイミングで壁の方へと投げ飛ばされモロに叩きつけられた。
悠「ぐはっ!!」
因幡が頭を振ると髪がさらに悠へと延び右腕に絡みついた。
鞘香『ま、また絡まったアアアア!!右足に続い右手も拘束!悠選手大ピンチかアア!!』
瓜田「よし…勝ちパターンに入った。」
松永社長、僕たちの勝ちのようですね。……ん?あの女……笑っている?なんだあの余裕は?まだ何か奥の手があるのか?それとも敗北を前に正気を失ったか…?いや、仮にもトーナメント参加者だ。それはあるまい。
久秀「フフッ、フフフッ。か、髪の毛って、ふふふっ。」
城「いやいや、笑ってる場合じゃないですって!!」
紅「松永の嬢ちゃんのツボに入ったのか…」
実際、悠は追い込まれていた。手足を捉えられ鎖ほどの強度を持つ髪の鞭で殴打され続けているのだ。
鞘香『打つ!打つ!!打つ!!!打つ!!!!まさに変幻自在!まさに縦横無尽!!悠選手、髪の鞭に苦戦している!!』
悠「ッッ!」
冗談のようで冗談ではない。一打、一打と受けるたびに皮膚が裂け、衝撃が骨に響いていく。
因幡「そぉーーれい!」
更に髪の縄が増え悠に絡みついた。その矛先は頭部だ。
鞘香『あーーっ!く、首です!変幻自在の髪が首と顔面に巻きついた!悠選手視界を塞がれたか!?果たしてこの窮地を凌げるのか!!?』
目と首を縛っている髪縄の隙間から赤い液体が流れ始めた。