ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

「悠ーー!」
「優勝だーー!!」
「パンツ似合ってるぞー!!」
「やってやれーー!」

大久保「なんや、3戦しかしとらんわりにえらい人気やのう。」

久秀「戦績よりもブランドでしょうね。」

小鳥遊悠は闘技会の中でも伝説とされている弥一の孫、そして今回はその息子の小鳥遊兜馬も参加している。小鳥遊の一族が出てきているということはトーナメントでもなにかをやってくれる…そんな期待が詰まっているんでしょうね。

紅「悠のジイサンの名前はどこでも聞くなぁ。ホント…」

城「相当だったんでしょうね…。」

凛「悠さんはすごく強いっス!大久保さんも末吉もよく見とくっスよ。」

末吉「あ、はい……なんで私だけ呼び捨て?」

「いよいよですね松永社長。」

ふと、若い男の声で名前を呼ばれ久秀は振り返った。品のいいスーツと嫌味でない程度にスマートな銀縁の眼鏡、ペナソニックの社長、瓜田数寄造が笑顔で話しかけてきた。

久秀「あら、ペナソニックの瓜田社長。」

瓜田「おや、覚えていただけて光栄です。」

久秀「何か御用かしら?」

瓜田「ふふ…そう警戒しないでください。私は、ただ「提案」に来ただけなんですから。」

久秀「提案?」

瓜田「トーナメントのシステムは既にご存知でしょう?」

久秀「……」

基本的には通常の闘技仕合と同じルールです。観客達は仕合の勝敗を予想し、金銭をかけている。

瓜田「異なる点は、掛け金の一部が報酬として勝利社に支払われることです。」

久秀「えっ……知らなかったわねぇ?」

冷たい視線で凛を睨んだ。

凛「(やっべ…説明するの忘れてたっス)」

瓜田「おや?その様子ではご存知なかったようですね。」

フッ…白々しい真似を…愚者を演じても無駄です。僕にはすべてお見通しだ。

久秀「ちょっと今の話は本当かしら?」

凛「へへへ…実はそうなんス…いうの忘れてて痛っ!?ごめんなさいごめんなさい!足を踏まないでくださいよー!」

瓜田「松永社長…いかがでしょう?我々の間で、個人的な賭けをしませんか?」

ならば……とことん揺さぶってあげますよ松永工業さん。

久秀「賭け?」

城「確か個人間の賭けは禁止されてませんけど…」

瓜田「その通りです。ちょっとした遊び心ですよ。……ちょっとしたね。」

久秀「それで、何を賭けるのかしら?」

瓜田「現金も悪くないが我々は商売人。「会社に関係する物」を賭けましょう。私は、「我が社のテレビ10台」賭けることにします。さあ、松永社長。賭けに乗りますか?」

凛「!?(テレビを10台それって……)」

久秀「あら、それはいいわね。」

瓜田「!(即答だと?)」

久秀「嬉しいわねぇ。実は前々からペナソニックさんの「テレビ」が欲しかったのよ。」

瓜田「!?」

この女…!狙っていたというのか。

久秀「「10台」も頂けるなんて助かるわね。」

瓜田「…喜ぶのは仕合に勝ってからにしてください。それに、まだ賭けは成立してませんよ。貴女は何を何をかけてくれるんです?」

久秀「そうねぇ。……いいわ、久秀が負けた場合は「商品相当の金額」を支払うわ。無論キャッシュでね。」

瓜田「……フッ、本当に思い切りの良い人だ。いいでしょう、賭けは成立です。」

久秀「ええ、よろしくお願いしますわ。」

瓜田は久秀と握手を交わすと去っていった。
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