ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

悠を見送った久秀たちは闘技場の観客席へへと向かっていた。

城「悠さん、自信満々でしたね。」

久秀「ま、あれ位の余裕は持っていてもらわないとね。」

凛「おや?」

話ながら進んでいると見知った顔が立ち並んで闘技場を見下ろしている。

久秀「あら、アンタたち揃って何してるの?」

氷川と紅と末吉と大久保の四人が振り向いた。

大久保「おう、松永さん。」

城「皆さんもここで見学ですか?」

大久保「せやで控室のモニターじやあ物足りんくなってな。紅がライバルの仕合は、直に観たいいうし。」

久秀「ライバルね……っていうか、アンタなにそのボロボロの格好、怪我もしてるみたいだし。」

紅「いやぁ、ちょっとな……。」

氷川「始まったぞ。」

鞘香『それではーー松永工業(+α)入場!闘技会に嵐を呼ぶ男、見参!トーナメント開催の立役者、堂々の登場です!伝説の闘技者小鳥遊弥一の血を引く!新人闘技者がトーナメントをかき回す!身長182センチ体重:90キロッ!闘技仕合戦績3勝0敗ッッ!企業獲得資産154億1400万円ッ!松永工業、小鳥遊悠ウウウウウッッッ!』

【阿修羅】小鳥遊悠

「「「ウオオオォォォォォッ!」」」

観客たちが盛り上がるなか、ひとりの男が席から立ち上がった。皇桜学園の闘技者桐生刹那である。

刹那「ああ…!あああ…!悠君…素晴らしい仕上がりじゃないか…!……今すぐ君が欲しいよ…」

智子「!!?」

顔を赤く染めた桐生のつぶやきを智子は聞き逃さなかった。

そして全財産を賭けたみほのは自分の全てを託した闘技者を見つめる。

あのひとが小鳥遊悠か…

みほの「初めてみた…」

今までの闘技者と比べて線が細いなぁ~…超タイプだけど、すごく強いって噂は聞くけど大丈夫かな…?

「お、あそこで松永社長が見てるぜ。」
「すげーやり手って噂だよな。」
「紅もいるぞ。」
「後で名刺交換しとこうっと。」

周りの声を聞いてみほのは視線を上げた。

紅「アイツ、いつもの格好じゃないんだな。」

久秀「久秀が止めたのよ。」

みほの「…………私より年下の女の子……」

あの子に社運を託すのか……不安……と頭を抱えた。

大久保「あれが悠か。なかなかエエ面構えしとるわ。」

紅「さっさと決めちまえよ悠ッ!」

氷川「はたしてそううまくいくかな?」

紅「氷川?」

氷川「相手のペナソニックも一筋縄ではいかねぇぜ。ペナソニックはここ6年もの間、闘技仕合で負け無しなんだ。」

城「ろ、6年も!!?」

ペナソニック最大の特徴は、特定の闘技者を偏重しないこと。闘技会最多の31名もの闘技者を抱え、対戦闘技者に最適な駒をぶつけてくる。

代表・瓜田数寄造の卓越した分析力のなせる業だ。

氷川「対戦相手の因幡は初参戦だが、あの瓜田社長が選んだ代表だ。楽に勝てる相手じゃないはずだぜ。」

選手登場口に繋がる通路でひたっひたっとガニ股でつま先で立つような奇妙な歩き方で進む男が居た。

ペナソニックの瓜田数寄造が声をかける。

瓜田「久しぶりに見たよ、君が二足歩行をするところ。因幡君、僕はこの勝負、どうしても勝ちたい。頼んだよ。」

因幡「……まっかせとけ~い♪」

異様なほど長い髪を上げて顔を見せてVサインで返事をした。
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