ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

茂吉は思う。闘いとは、情報戦だ。

魏一族……君たちの技術、実に素晴らしい。だが、そのベースはあくまで日本武術。勝つのはより多くの引き出しを持つ側だ!!

まだショートアッパーの一撃が効いているうちにと茂吉が動いた。ステップで間合いを詰めて鋭いストレートを打つ、雷庵は上半身を振ってそれを避けてカウンターに撃ち返すも右ひざ裏へのローを撃たれ逆に体勢を崩された。

前につっかける雷庵の顔面目掛け茂吉は膝を打ち込んだ。

雷庵「チ゛ィッ……!!」

鼻や口から血が飛び散る。しかし、攻めの手は止まらない横っ面へのストレート、脇腹へのジャブ、さらにハイキックと連続痛打が雷庵にフルヒット。

滅堂「ひょー!強いの～～!!」

絵利央「ッ!!」

ら…雷庵!貴様……ワシの顔に泥をぬるかよ!

大振りの強撃ばかりでなくジャブの様な鋭い拳も混ぜ茂吉・ロビンソンの連続攻撃は今も止まらない。防戦一方に追い込まれる雷庵がついに無理やり攻撃を割りこんだ。

雷庵「シャア!」

瞬間、旋風の様に茂吉は半回転し、敵の腕を掴んだ。そして振り投げる。

【一本背負い】

角度、スピード、威力どれをとっても完璧な投げが炸裂。雷庵は受け身も取れず顔面から地面へと叩きつけられた。

茂吉「……許してください。貴方に手心を加える余裕はなかった。RESTinPEACE(冥福を)」

乱れた服を整え茂吉は十字を切った。

雷庵は顔面から地面に突き刺さり無様に逆立ったままじわじわと血の海を広げている。

それを見てVIPルームの絵利央は顔中に血管を浮き上がらせて叫んだ。

絵利央「や…やりおった!!ら……ら……雷庵ンンンンン～～!!あのタワケがアアアア!!」

同時に選手登場口の廊下でも魏一族がどよめいていた。

怜一「あの馬鹿…!やっぱり『やらかしやがった』!!」

堀雄「なんということを……」

ホリス「……堀雄伯父、怜一備えるぞ。ここから先は闘いではない。」

ドンッという轟音とともに雷庵が跳ねた。茂吉はすぐに振り返った。背負いは完璧だった!なのに何故、立ち上がれる!

GPG専用控室で紅が立ち上がってモニター向かって叫んだ。それと同時に雲山が理乃の側へと移動して谷間に顔を預ける。

紅「こ、これだ!この姿のアイツに俺はやられたんだ!」

雲山「まさか…観衆の前でアレを使うのか。」

魏一族が魏たる所以。

秘技【外し】

絵利央「大馬鹿者めッッ!!」

一族の秘伝をワシの許可なく人前で使いよるとは!!

茂吉「……」

茂吉・ロビンソンは自然と構えを取らされていた。

雷庵「……俺達は高校球児じゃねえんだ。好勝負?魅せる仕合?糞喰らえだぜ!!そんな自慰行為(マスカキ)に興味はねぇんだよ!俺が好きなのは「闘い」じゃねえ。「一方的な蹂躙」が好きなんだよ!!さあ、お前も蹂躙してやるぜ。」

目の前にいる男はさっきまでそこに居た男とはまるで違っていた。

全身の筋肉が各戦闘部位を中心に絞られ隆起し血管が浮き上がり肌の色などは赤黒く変色している。