ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】
ー絶命闘技会ドーム:選手控室(GPグループ)ー
ゴールドプレジャーグループ代表闘技者である百目鬼雲山は不満そうな顔で仁王立ちしている。
雲山「……」
GPグループ秘書の音市と美音が話しかける。
音市「うっちー大丈夫?」
雲山「問題ない。」
美音「雲ちゃんいい子だから怒らないで。」
雲山「怒ってません。」
というのも広い控室の中央で紅がGPグループの代表倉吉理乃に治療をしてもらっている。
理乃「はい。終わったわよ紅君。」
紅「いや~~申訳ないッス。理乃の姉さんに手当てしてもらえるなんて、怪我した甲斐があるってもんッスよ~。」
理乃「まぁ!紅君ったら♪それにしても……いきなり襲い掛かってくるなんていけない子ね。」
モニターの仕合相手に視線を向けた。そこに映るは魏雷庵。
紅「この野郎…!殴るだけ殴って逃げやがって…後で覚えてろよ!」
だが……もしもあの時アイツが逃げなかったら、果たして俺は勝てたのか?何だったんだ?「あの姿」は?
闘技場では腕を組みあったまま二人は動かない。
鞘香『一分経過!!先ほどまでの激しい攻防から一転両者、微動にせず!』
茂吉「……(さて……どうしたものか……)」
雷庵「……(クカカッ!面白れえなあオイ!)」
観戦している他の魏一族も鞘香の実況に概ね同意見だった。
怜一「お互い出方を窺っている。」
堀雄「うむ。あの体勢下手に動けまい。」
ホリス「それは違うぞ伯父貴。アイツはそんなタマじゃない。膠着を破るのは雷庵の方だ。」
その中で魏ホリスだけは違う意見だった。そしてその読み通りに雷庵が動いた。
鞘香『動く!』
左の手は組んだまま雷庵は右手で茂吉の服を掴み自分の方へ無理やり引っ張りこんだ。そしてヘッドソバットを仕掛ける。
どうする柔術野郎!!かわすか!?いなすか!?受け止めるか!!?
しかし、結果はどれでもなかった。茂吉の拳が雷庵の顎を打ち上げたのだ。これには他の闘技者たちも食らった雷庵も面食らった。
絵利央「ショートアッパー!!」
今の動きは古流武術のそれではない!
想定外の動きにさしの雷庵も茂吉から距離を取ったがきめ細かにフットワークで追従してくる。そして間合いを詰めるとショートジャブを放たれた。これは、ボクシングの動きである。
ガードはされたものの茂吉はその腕を掴むと捻り雷庵の上半身を屈めさせると回し蹴りを顔面に打ち当てた。
雷庵「チィッ!」
この動き!こんな流派見たことねぇぞ!
痛烈な一撃をもらったものの雷庵はすぐに身を翻して拘束を解いて距離をあけた。
絵利央「ふむ?ますますわからん。何じゃあの動きは?」
滅堂「フォッフォッフォッ!さしもの絵利央もお手上げかの♪主が知らんでも無理はない。茂吉ロビンソン彼奴の格闘styleは「バリツ」。」
十九世紀幕末。闘技仕合は「ある闘技者」の一強時代を迎えておった。男の流派は無遷流(むせんりゅう)。
他流派の技を積極的に吸収し、取り込む異質な古流武術じゃ。
無遷流皆伝、琴浦茂之助(ことうらしげのすけ)。
江戸十傑に名を連ねた稀代の武人にして【幻技】と呼ばれた伝説の闘技者じゃ。
絵利央「その茂之助の子孫こそが……」
滅堂「左様。茂吉・ロビンソンじゃ。」
やがて茂之助はさらなる強敵を求め、日本を飛び出した。目指したのは当時、格闘技が隆盛を誇っておった大英帝国。
茂之助はかの地で、ボクシング、レスリングを始めとする西洋武術の技術を習得。自身の柔術と組み合わせ、独自の武術を確立した。
そして、バリツは完成した。東洋武術の理合いと西洋武術の合理性を併せ持つ、唯一無二の格闘術。
その高い実用性から警察官や私立探偵など日常的に危険に身を置く者がこぞって門下生となった。
じゃが、時代が移るとともに徐々に伝承者は減っていき、恐らく今現在の使い手は茂吉ロビンソンただ一人よ!
絵利央「なるほど、拳闘(ボクシング)と日本柔術を混ぜ合わせたような動きじゃな。このような武術が存在したとは……世界は広いのう。」
滅堂「ホヒョッヒョッ♪まっことその通りじゃ♪」
ゴールドプレジャーグループ代表闘技者である百目鬼雲山は不満そうな顔で仁王立ちしている。
雲山「……」
GPグループ秘書の音市と美音が話しかける。
音市「うっちー大丈夫?」
雲山「問題ない。」
美音「雲ちゃんいい子だから怒らないで。」
雲山「怒ってません。」
というのも広い控室の中央で紅がGPグループの代表倉吉理乃に治療をしてもらっている。
理乃「はい。終わったわよ紅君。」
紅「いや~~申訳ないッス。理乃の姉さんに手当てしてもらえるなんて、怪我した甲斐があるってもんッスよ~。」
理乃「まぁ!紅君ったら♪それにしても……いきなり襲い掛かってくるなんていけない子ね。」
モニターの仕合相手に視線を向けた。そこに映るは魏雷庵。
紅「この野郎…!殴るだけ殴って逃げやがって…後で覚えてろよ!」
だが……もしもあの時アイツが逃げなかったら、果たして俺は勝てたのか?何だったんだ?「あの姿」は?
闘技場では腕を組みあったまま二人は動かない。
鞘香『一分経過!!先ほどまでの激しい攻防から一転両者、微動にせず!』
茂吉「……(さて……どうしたものか……)」
雷庵「……(クカカッ!面白れえなあオイ!)」
観戦している他の魏一族も鞘香の実況に概ね同意見だった。
怜一「お互い出方を窺っている。」
堀雄「うむ。あの体勢下手に動けまい。」
ホリス「それは違うぞ伯父貴。アイツはそんなタマじゃない。膠着を破るのは雷庵の方だ。」
その中で魏ホリスだけは違う意見だった。そしてその読み通りに雷庵が動いた。
鞘香『動く!』
左の手は組んだまま雷庵は右手で茂吉の服を掴み自分の方へ無理やり引っ張りこんだ。そしてヘッドソバットを仕掛ける。
どうする柔術野郎!!かわすか!?いなすか!?受け止めるか!!?
しかし、結果はどれでもなかった。茂吉の拳が雷庵の顎を打ち上げたのだ。これには他の闘技者たちも食らった雷庵も面食らった。
絵利央「ショートアッパー!!」
今の動きは古流武術のそれではない!
想定外の動きにさしの雷庵も茂吉から距離を取ったがきめ細かにフットワークで追従してくる。そして間合いを詰めるとショートジャブを放たれた。これは、ボクシングの動きである。
ガードはされたものの茂吉はその腕を掴むと捻り雷庵の上半身を屈めさせると回し蹴りを顔面に打ち当てた。
雷庵「チィッ!」
この動き!こんな流派見たことねぇぞ!
痛烈な一撃をもらったものの雷庵はすぐに身を翻して拘束を解いて距離をあけた。
絵利央「ふむ?ますますわからん。何じゃあの動きは?」
滅堂「フォッフォッフォッ!さしもの絵利央もお手上げかの♪主が知らんでも無理はない。茂吉ロビンソン彼奴の格闘styleは「バリツ」。」
十九世紀幕末。闘技仕合は「ある闘技者」の一強時代を迎えておった。男の流派は無遷流(むせんりゅう)。
他流派の技を積極的に吸収し、取り込む異質な古流武術じゃ。
無遷流皆伝、琴浦茂之助(ことうらしげのすけ)。
江戸十傑に名を連ねた稀代の武人にして【幻技】と呼ばれた伝説の闘技者じゃ。
絵利央「その茂之助の子孫こそが……」
滅堂「左様。茂吉・ロビンソンじゃ。」
やがて茂之助はさらなる強敵を求め、日本を飛び出した。目指したのは当時、格闘技が隆盛を誇っておった大英帝国。
茂之助はかの地で、ボクシング、レスリングを始めとする西洋武術の技術を習得。自身の柔術と組み合わせ、独自の武術を確立した。
そして、バリツは完成した。東洋武術の理合いと西洋武術の合理性を併せ持つ、唯一無二の格闘術。
その高い実用性から警察官や私立探偵など日常的に危険に身を置く者がこぞって門下生となった。
じゃが、時代が移るとともに徐々に伝承者は減っていき、恐らく今現在の使い手は茂吉ロビンソンただ一人よ!
絵利央「なるほど、拳闘(ボクシング)と日本柔術を混ぜ合わせたような動きじゃな。このような武術が存在したとは……世界は広いのう。」
滅堂「ホヒョッヒョッ♪まっことその通りじゃ♪」