ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

滅堂「ひょひよひょ!きよったきよった。」

絵利央「あの若者がお気に入りのようですな。」

滅堂「ホッホッホッ!絵利央よ、主はずいぶんと雷庵を買っておるようじゃが、この勝負どうなるかわからんぞ?何しろ両者とも「血」を受け継いだ闘技者じゃからのう。」

絵利央「……「血」ですと?」

滅堂「左様。茂吉・ロビンソン。あやつもまた、「系譜」を継ぐ者。」

絵利央「系譜じゃと……?」

茂吉・ロビンソン……茂吉……茂……!!?なっ、なんとまさか彼奴は!!

滅堂「ホッホッホッ!気付いたようじゃの。どうじゃ?勝負の行方がわからんくなってきたじゃろ?」

此ノ勝負、尋常ノ立合イニ非ズ

「血」を掛けた闘い……開戦!!


ドームの中央で対面する両雄。

茂吉・ロビンソンは歓声を他所に一人の少女の事を思っていた。

エレナ、見ているかい?

お前は私の全てだ。お前の為なら私はどこまでも強くなれる。お前が望むならば、たとえ神だろうが斃してみせる。

安心してみていなさい。この勝利をお前に捧げる。首に下げた小さな金のロザリオを指でひと撫でした。

そしてついに闘いとの時は来る。レフリー山本がふたりの男の間に立って叫んだ。

レフリー山本「……よし!両者、開始位置について!」

実況解説席に移動した鞘香も仕事を開始する。

鞘香『ここで時間一杯!暗殺エリートVS逆輸入ファイターいよいよ開戦です!』

するとガタッと自分の隣から音がした横目で見ると黒いセーラー服と薄ピンクドレスの少女がやってきている。

迦楼羅「うん、ここなら仕合がよく見える。エレナ、ここに座ろう。」

エレナ「ええっ?大丈夫なのかな~?」

また飛び入りゲストが来てしまった。

迦楼羅「平気だよ。ここで観よ?」

エレナ「う~ん……いいのかなぁ」

鞘香「いいんだよー♪座っちゃおうよー♪」

意外と楽しいからという理由で鞘香はOkサインを出した。

片原鞘香22歳。器量の大きさは父親譲り。

レフリー山本「構えてエェッ」

特に構えを取らない茂吉と中指を立ててあくまでも挑発する雷庵。

茂吉「フッ…」

雷庵「へっ!すかしやがって!」

レフリー山本「始めっ!」

開始の合図と同時に二人の闘士は猛スピードで間合いを詰めあ同時にハイキックを仕掛けた。蹴りと蹴りがぶつかり弾きあうと、雷庵は小刻みに拳を連射する。マシンガンのような乱射だが茂吉は正確に一発一発を掌で捌き、隙をついて再びハイキックを打つ。だが雷庵も腕でそれをガードした。

雷庵「……へっ!やるじゃねぇかっ!」

蹴りには蹴りを、ということなのか雷庵は孤を描く強力な蹴りを放つが上半身歩下げて強烈な孤月蹴り避けた。

鞘香『おおお!序盤から激しい撃ちあいだ!!現在までのところ、手数はやや雷庵選手がリード。このまま一気にペースを掴むか!?』

迦楼羅「……(本気じゃない)」

エレナ「兄様、頑張って!」

選手登場口の廊下から雷庵を探していた他の魏一族も観戦していた。

怜一「雷庵のやつ、遊んでやがる。」

堀雄「全く、しょうがない奴だ。」

ホリス「……(いや、本気を見せていないのは、あの男も同じだ。)」

雷庵の切り裂くような大振り攻撃に対し、茂吉は上半身を反らしつつ雷庵の踏みだした足を蹴り払う。崩れたところに一撃を入れようと仕掛けたが、雷庵は身体を捩じりながら倒れ込んで攻撃をかわし、片手で地面を叩き逆立ちしながら蹴り放った。茂吉は顔面に振り降りてくる足を両腕でガードし、押し返した。

雷庵はそのまま大きく反りかえって一回転しつつ離れた位置で着地する。

鞘香『~~……りょっ……両雄譲らずーーーッッ!!この勝負、一時たりとも目が離せません!!』

「「「ウオオオオオオオッ!!」」」
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