ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:男子トイレー

食事にいく約束をしたので待っていた大久保たちだが、まったく戻ってこない紅を探しに来たのだが、そこには凄惨な光景が広がっていた……。

大久保「な……なんやこれ!?」

紅「離せやオラァ!」

末吉「紅さん!落ち着いて!」

氷川「おい!何があった!」

天井には穴があき、壁や床のタイル、小便器など見るも無残に砕け水道管も破裂したのか水が吹きだしている。

そして何より何が起こったのか血にまみれた紅が怒りに我を忘れている様子だ。金田と氷川がふたり係で取り押さえている。

紅「クソがアアアアアアァァァァッ!あの野郎ブッ殺してやらぁぁぁぁっ!!」



ドーム内を一望できるVIP用の観覧室で片原滅堂と魏絵利央が登場した雷庵を見ていた。

滅堂「ほっほっほ!悪童じゃのう~まるで誰ぞの生き写しのようじゃな♪」

絵利央「……いやはやお恥ずかしい。」

滅堂「しかし意外じゃのう?わしはてっきりホリス君が代表闘技者とばかり思っとったぞい。」

絵利央「ホホホ……単純なことですわい。彼奴はホリスより強い。」

一般用の観客席で久秀たちも魏雷庵に注意が注がれている。

凛「出てきたッスね魏一族。」

城「闘技号で会った人達とは別人ですね。何人いるんでしょうか?」

久秀「この仕合の勝者が悠と闘うことになるし見逃せないわね。」

彼女たちが座っている席より奥の席で二人の男の耳に会話が聞こえていた。

ひとりは眼鏡に品のいいスーツを着たペナソニック社長の瓜田数寄造、そしてその隣にいる髪が異様なほど長い小柄な男が代表闘技者の因幡良だ。なぜか椅子の背に上半身をかぶさるようにして下半身を後ろの席に投げだして席についている。

瓜田「ふふ。聞いたかい因幡君?松永商事さんは我々など眼中にないらしい。」

因幡「……」

瓜田「片原会長、そして兜馬社長が一目置かれるだけのことはある。大した自信だ……いや、過信というべきかな?」

因幡「……ニッ」

この仕合の後に悠が闘う相手は不敵に笑った。


選手控室前の廊下では黒いセーラー服で白目と黒目が入れ替わったような独特の瞳を持つ少女魏迦楼羅と金糸のような細く柔らかなロングヘアで薄いピンクのドレスを着た少女エレナ・ロビンソンが選手の見送りをしていた。

エレナは両手を組んで祈るように声をかけた。

エレナ「兄様…どうかご無事で。」

さっきまで牧師の恰好をしていた茂吉ロビンソンは今は道着に袴という柔術家のいで立ちに勝っていた。帯をギュっと締めて答える。

茂吉「ありがとうエレナ。じゃあ、いってくるよ。それと、すまないねカルラちゃん。」

迦楼羅「?」

茂吉「エレナとお友達になってくれてありがとう。だけど、これは勝負だ。君のご親戚、倒させてもらうよ。」

振り返ってそういった茂吉の顔は自信はもちろん感じるが決して嫌味や威嚇を混ぜたものではなく、どこか慈愛がある微笑みだ。

迦楼羅「うんっ。茂吉も頑張れ!」

彼女も微笑んで返事をした。

鞘香「続きまして対戦闘技者の入場です!英国からやってきた逆輸入ファイター!青き瞳で見据えるのは優勝の二文字のみ!!神の加護を経て聖戦士の出場だ!身長189センチ体重99キロ闘技仕合戦績48勝0敗企業獲得資産7088億3490万円…セントリー茂吉・ロビンソン!」

【滅殺する牧師】茂吉・ロビンソン
33/100ページ
スキ