ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

観客席で久秀は手帳を取りだした。

久秀「久秀もただ待っていたわけではないからね。できるだけ情報は集めらておいたのよ。その中でゲーム業界、闘技会屈指の激戦区。一度の仕合で動く金額も大きく、レベルの高い闘技者が集まる傾向にあるわ。」

以前、画期的システムを搭載した次世代ゲーム機の「開発権」をかけた仕合が行われた。

3社以上が権利を求めた場合に行われる。

変速闘技仕合バトルロイヤル戦。

各社、最強と自負する闘技者を送りこんだが……結果は、NENTENDOの圧勝。

間違いなく、今、ゲーム業界最強の闘技者は河野春男である。

河野「ヒヒヒ!いいぞ春男ー!さっさとやってしまえー!」

春男「フーーーッ……ヴオォォォっ!」

再び超巨体を稼働させ壁際にフッ飛ばした阿古谷清秋に猛進した。

阿古谷「……フンッ、笑止」

口元の血を拭って清秋は右手を曲げ拳を強く握って構えた。

春男「ヴるぉぁっ!」

文字通りの巨拳を叩きつける。

阿古谷「!!」

ほぼ真上から落ちてくるような打撃だったがゴッと重い音はするものの何故かずるりと斜め下に逸れ落ちた。

それを見た八頭貿易代表闘技者、右京山寅は眉をひそめる。

寅「打撃を斜めに受け流した。あれは「大盾」……そうか。奴の流儀は逮捕術か。」

左近「逮捕術、ですかい?」

【逮捕術】

司法警察職員及びそれに準ずる職務を行うものが習得する、相手を高速・制圧することに特化した技術である。

日本拳法・剣道・杖術などをベースに作られており、その性質上、素手のみならず様々な武器術も習得する総合武術。

寅自身も実物も見るのは初めてだったがさながら剣闘士のようだ。

現に今も春男という超巨体な怪物の拳を受け流し続けている。

だが……いくら受け流すといっても、ダメージがゼロになるわけではない。あのデカブツの打撃を受け続けている前腕、驚異的な耐久力だ。あの頑丈さ、もはや不自然といってもいい。

寅「……あの男、鋼で出来てるのか?」

何度打っても倒し切れずにいる春男が遂にキレた。

春男「ヌウウウウッ何で倒れないんだよオオオオオオ!!!!」

これまでよりよりいっそうがむしゃらに力を込めた鉄拳を放つ。

阿古谷「ふんっ!」

清秋は迫りくる拳を避けると初めて腕を振るった。

【リッパー】

春男「!?」

肉と筋肉の土管のように太い右腕と二の腕の部分が裂けて出血する。

鞘香『斬った!?』

ジェリー『アレは……!紅sunのスカーレットエッジに似てイマース!』

春男「い、痛いじゃないかあぁぁぁ!!」

一瞬ひるんだ春男だったがより憤慨して今度は左腕で打つも大盾で弾かれ同じように、また腕を切り裂かれて血が噴き出した。

選手控室のテレビで様子を見ていた紅が不服そうにいった。

紅「今の技、スカーレットエッジとは根本から違うな。拳の旋回を利用してナックルパートを引っかけてカットしてやがる。出血量ほど無いはずだ。まあ、嫌がらせ技ってやつだな性格悪そうだぜアイツ。」

【スカーレットエッジ】

・指の力で敵の肉を削ぎ抉る

【リッパー】

・骨部で皮膚をカットする。

悠「……」

紅「おい、悠どこいくんだ?」

悠「寝る。」

紅「寝るぅ?仕合は見なくていいのかよ?っていうかお前の仕合もうすぐだろ。」

悠「「どっちも本気じゃない」見るだけ時間の無駄だぞ。」

紅「本気じゃない……?」
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