ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

鞘香「続きまして!対戦相手の紹介です!最強の国家権力、厳顔島に立つ!警視庁最強部隊機動隊をすべる男の登場だ!身長191センチ、体重114キロ、闘技仕合戦績39勝0敗。企業獲得資産1911億1500万円。若桜生命、阿古谷清秋!」

選手登場用出入り口から頭にタオルを乗せレスリングウェアに柔道着を重ね着して黒帯で絞めている男が入場すると同時に頭のタオルを投げ捨てた。

【処刑人】阿古谷清秋

控室で闘技者を眺めていた雲山が口を開く。

雲山「あの男、強いですね。反対側のブロックとはいえ注意しておく必要があるな。」

理乃「まあ!雲山はしっかりしてるのね♪」

「「「……」」」

ソファーに腰かけた理乃のたわわな胸を枕にして真剣に話している雲山。ツッコミは(略)。

ドーム内のラウンジで軽食を取りながら仕合の中継を見ていた凍夜の手が止まった。

詠子「どうかしましたか?」

凍夜「いや、あの闘技者」

詠子「ええと……阿古谷清秋、ですか?」

凍夜「警察の人間って話だったよね。」

詠子「みたいですけど、どうかしましたか?」

凍夜「……いや」

丁度同じ時にラウンジに居た本郷モータース代表闘技者の氷室やペナソニック代表闘技者の因幡も画面に注目していた。

なぜ警官のあの男から、「殺人者」特有の気配がするのか……。

ドームでは選手らが対峙すると鞘香は実況解説席へと移動してレフリー山本がふたりの間に立つ。

鞘香『ここで時間一杯!破壊者VS処刑人、勝ち残るのは果たしてどちらだアアアアッッ!?』

レフリー山本「構えてぇぇっ!」

春男「フーッ、フーッ」

阿古谷「……」

レフリー山本「始めッッ!!」

開始宣言と同時に春男は巨腕を力任せに振り下ろした。清秋は両腕でガードの体勢をとって小さくつぶやいた。

阿古谷「檜山」

瞬花『OK。「分析」開始……。』

振りおろされる拳というには巨大すぎる剛腕を阿古谷は防御の構えのまま避ける。二度三度と連続攻撃を繰り出す春男だがそれもしっかりと避け続ける。

紅「おいおい……あのデブ、速くね?」

鈍重なパワーファイターかと思ったがその攻撃は苛烈にして鋭利。

悠「あの阿古谷って男もキレッキレに避けてやがるな。」

超巨体と巨体のぶつかり合いになるかと思いきゃどちらも機敏に動いているのだ。

阿古谷「……(なるほどただの豚ではないか。)」

反撃とばかりに鋭角なローキックを放つ。すると春男は飛び上がって避けたのだ。ただのジャンプではない、跳躍して空中で一回転して離れた場所に着地する。

これには観客たちも大声で叫ぶ。

「「「ええええぇぇ!?」」」

鞘香『バッッッバク宙だアアアッッ!?』

ジェリー『HOLYSHIT!』

鞘香『河野選手、300キロを優に超える巨躯を軽々と使いこなしているぅ!?』

着地と同時に両足で地面を踏みしめて腰を落とした次の瞬間超高速で阿古谷にタックルをぶちかました。

阿古谷「……ッ」

両腕でガードをするも300キロという塊が全力でぶつかってくる衝撃を一身に受け大きく吹き飛び壁に激突した。もはや交通事故レベルだ。

春男「フーーッフーーーッ!」

鞘香『ブチかましたーーー!阿古谷選手壁際まで吹っ飛ばされました!!』

春男「ゲームやりたいゲームやりたい、ゲームやりたいぃぃ!」

城「な……なんですかあの動き!?300キロを超える巨漢のものじゃないですよ……。」

久秀「河野春男。噂以上の怪物ね。」

城「知ってるんですか松永さん?」
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