ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

鉄拳炸裂!ドゴンッと轟音を立てて摩耶に着弾した。地面が砕けるほどの砕けるほどの威力で摩耶の身体が吹き飛んだ。

鞘香『!?は、跳ねたァアアア!!アダム選手、渾身の打撃が炸裂ッッッ!!地面に叩きつけられた摩耶選手の身体が大きく跳ねあがるーーーー!!』

摩耶「がはっ!」

口から血を吐き散らしながら何とか身体を起こす。殴られた左頬は濁った青紫色に腫れている。直撃したわけではない寸前で腕でガードしたのだが……ガードしきれなかったのだ。

この打撃はマズい、早く回復しないと……。

レフリー山本「～～～～(やれるか摩耶)?」

側にいるレフリーの姿と声が歪む。脳が揺れている証拠だ。早く体勢を……。

立ち上がろうとした摩耶だが頭に圧がかかる。アダムに頭を掴まれ強制的に立たされると同時に今度は右っ面に拳を打ちこまれた。

摩耶「～～!!」

ドッ!!っというとてつもない打撃音とともに再びその小さな体が大きく吹き飛んだ。

鞘香『またフッ飛ばされたーー!!』

ジェリー『NO!自ら飛ブことでダメージを分散シタのです!』

鞘香『そ、そうなんですか…って、いつの間にマイクを?』

二度目の打撃もぎりぎりガードは間に合ったがやはりきつい地面を転げながらなんとか立ち上がる。

摩耶「すっ……はぁっ!」

舐めるなよ、コノヤロウ。退いたら負けだ!せめて、せめて、攻め切るしかない!

強力な二発が着弾したが摩耶の気鋭は衰えを見せなかった。食らいつくように自分からアダムに進撃を続け攻撃を放ち続けた。より鋭角に、より正確に、より瞬美に巨体にくってかかる。

アダム「～～!AHRGH!!」

決して軽くはない打撃を脚撃を浴びながらも蹴りに合わせたカウンターで遂に摩耶の腹を鉄拳が捉えてしまった。

摩耶「ガッ……!!」

殴り飛ばされた摩耶はボロ人形のようにドッドッと地面を削りながら吹き飛んでいく。

城「あんなの……地力が違い過ぎる!」

原口「ホホホホホホッ!」

いいザマだね摩耶君♪アダムは本国でバリバリのヘヴィー級に殴り勝ってきた男。ヘヴィー級になれっ子なのは君だけじゃないんだよ。

くわえて、君とアダムの身体スペックは天と地の差だ。如何に君がテクニックで勝ろうが、アダムの一撃で状況はいとも簡単にひっくり返される。「剛よく柔を叩き潰す」ってことさ♪アダムにとっては君など紙切れと同じなんだよッ!!

今だ膝をついたままの摩耶に進軍しアダムはトドメとばかりに鉄拳を打ち放った。しかし、摩耶の目はまだ死んでいない。地面を蹴って自分から向かってくる拳に飛び込んだ。着弾スレスレで顔を逸らして拳を避けて懐に入りこむと反撃とばかりに貫き手を放った。

拳や掌とは違い鋭い突きがアダムの頬を切り裂いた。決定打にはならないがその巨体が一瞬停止する。

摩耶「シィッ!!」

摩耶は素早く腕を引いて全身を使って大きく一回転しながら裂けた頬に蹴りを見舞った。

スパアァァンっと鞭でも放ったかのような音とともにアダムの身体が大きく傾いた。

アダム「……ッ!」

しかし、地面を踏みしめ倒れない。完全に直撃しダメージは通っているものの決定打になっていないのだ。

鞘香『おっと摩耶選手、大きく距離をとりました。追撃はしないようです!』

摩耶「ハァハァ、ゼェッ……。」

くそう、悔しいけど……この人のタフさ、予想以上だよ。迂闊には飛び込めない。だけど……長期戦になったら体力の劣る僕の方が不利…………上等!見せてあげるよ。僕の真骨頂!