ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー???ー
瑞野「しかし…天狗党とやらがなにかを企んどるというではないか」
酉居「その件に関しては我々もすでに察知しており、万全の警備を敷きました」
瑞野「万全?そうはいっても相手が何を仕掛けてくるかわからないのだろう」
酉居「執行部、火盗ならびに南北奉行所の総力、東奉行所からは左近も来ており、あらゆる事態に対処出来る体制で臨んでおります」
瑞野「天狗党の件が解決するまではいっそ全校集会を中止に、いや延期としてはどうだろうか?」
酉居「それは出来ません。年四回の全校集会は学園の最重要な行事のひとつ。それが天狗党の圧力に屈して中止などということになれば、学園の威信は地に落ちます」
瑞野「ううむ…」
酉居「なにより中止を発表するにはもう遅うございます。すでに多くの生徒が大江戸城前の広場へと集まっております」
瑞野「わ、分かった。全校集会は予定通りに行おう」
酉居「それがよろしいでしょう。ご安心ください。校長の安全は最優先事項として各部署へ通達しておきます故」
瑞野「そ、そうか?しかしな、私の身などどうなっても構わないのだぞ。私は大江戸学園校長として十万の生徒の安全を守るという責任があるのだ。そのためには慎重すぎて困ることはないと…」
酉居「校長の背負われている重責は理解しております」
瑞野「そ、そうなのだ」
酉居「それでは校長訓示の準備は整っておりますのでよろしくお願い致します」
瑞野「うむ、わかった」
立ち去る瑞野の背中に頭を下げながら酉居は唇を歪めていた。
酉居「……屑が。なにが生徒の安全だ。わが身可愛さしか頭に無いくせに」
ー大江戸城麓・大広場ー
悠「すごいな…」
大江戸城の麓となる大広場にはすでに数万の生徒が集まっていた。見渡す限りの人の海に圧倒される。
由真「何をきょろきょれしてんのよ。これだからお上りさんは」
呆れ顔の由真だが、学園島は新宿から離れた島なのに、新宿から出入りしているおれに向かっていうセリフにしてはおかしくないか?
悠「これって全部で何クラス分になるんだろうな。」
輝「甲級乙級合わせて2854クラス。臨時の講座が開講されることもあるからそれ以上になるときもあるよ」
悠「うへ。もうマンモス校ってレベルじゃないな」
広場の各地で一斉にホラ貝が鳴り、整列の号令が響く。上空から見ればまるでマスゲームのように見えるんじゃないだろうか。
そんなことを考えながらおれも列に加わるのだった。
広場の外れでは北町奉行所の所員を率いる遠山朱金が警備にあたっていた。朱金はちょうどケータイでの通話中であった。
朱金「わかったよ。従えばいいんだろ。じゃあな。」
不機嫌な声でケータイを切る朱金。その顔も苦虫を噛み潰したような忌々しげな表情をしている。
朱金「おい、真留。ちょっと耳かせ。」
真留「はい?」
瑞野「しかし…天狗党とやらがなにかを企んどるというではないか」
酉居「その件に関しては我々もすでに察知しており、万全の警備を敷きました」
瑞野「万全?そうはいっても相手が何を仕掛けてくるかわからないのだろう」
酉居「執行部、火盗ならびに南北奉行所の総力、東奉行所からは左近も来ており、あらゆる事態に対処出来る体制で臨んでおります」
瑞野「天狗党の件が解決するまではいっそ全校集会を中止に、いや延期としてはどうだろうか?」
酉居「それは出来ません。年四回の全校集会は学園の最重要な行事のひとつ。それが天狗党の圧力に屈して中止などということになれば、学園の威信は地に落ちます」
瑞野「ううむ…」
酉居「なにより中止を発表するにはもう遅うございます。すでに多くの生徒が大江戸城前の広場へと集まっております」
瑞野「わ、分かった。全校集会は予定通りに行おう」
酉居「それがよろしいでしょう。ご安心ください。校長の安全は最優先事項として各部署へ通達しておきます故」
瑞野「そ、そうか?しかしな、私の身などどうなっても構わないのだぞ。私は大江戸学園校長として十万の生徒の安全を守るという責任があるのだ。そのためには慎重すぎて困ることはないと…」
酉居「校長の背負われている重責は理解しております」
瑞野「そ、そうなのだ」
酉居「それでは校長訓示の準備は整っておりますのでよろしくお願い致します」
瑞野「うむ、わかった」
立ち去る瑞野の背中に頭を下げながら酉居は唇を歪めていた。
酉居「……屑が。なにが生徒の安全だ。わが身可愛さしか頭に無いくせに」
ー大江戸城麓・大広場ー
悠「すごいな…」
大江戸城の麓となる大広場にはすでに数万の生徒が集まっていた。見渡す限りの人の海に圧倒される。
由真「何をきょろきょれしてんのよ。これだからお上りさんは」
呆れ顔の由真だが、学園島は新宿から離れた島なのに、新宿から出入りしているおれに向かっていうセリフにしてはおかしくないか?
悠「これって全部で何クラス分になるんだろうな。」
輝「甲級乙級合わせて2854クラス。臨時の講座が開講されることもあるからそれ以上になるときもあるよ」
悠「うへ。もうマンモス校ってレベルじゃないな」
広場の各地で一斉にホラ貝が鳴り、整列の号令が響く。上空から見ればまるでマスゲームのように見えるんじゃないだろうか。
そんなことを考えながらおれも列に加わるのだった。
広場の外れでは北町奉行所の所員を率いる遠山朱金が警備にあたっていた。朱金はちょうどケータイでの通話中であった。
朱金「わかったよ。従えばいいんだろ。じゃあな。」
不機嫌な声でケータイを切る朱金。その顔も苦虫を噛み潰したような忌々しげな表情をしている。
朱金「おい、真留。ちょっと耳かせ。」
真留「はい?」