ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー巌流島:絶命闘技会ドームー

東京ドームよりも巨大で天井はガラス張りだが操作一つで暗幕のシャッターが降り、如何なる天候にも対応できる作りとなっている。

そしてそのドームにはこの島中に集まった人間が今か今かと熱を帯び観客席で騒いでいる。

するとパッとドームが暗転し中央がいくつものスポットライトで照らされた。そこには黒いドレスに身を包んだ金髪ロングで顔の左側だけ網髪にした褐色の女性がマイクに向かってしゃべりだした。

「皆さま、お待たせいたしました。これより!!闘技絶命トーナメントを開始いたします!!!」

叫び拳を突き上げるとドーム中に光が灯った同時に観客たちの雄叫びが響いた。

「待ちわびたぜえぇ!」
「早く始めろぉおー!」
「「「うおぉぉぉぉっーー!」」」

城「(この熱気……!この雰囲気!!表格闘技の大会とはまるで違う!)」

迫力に思わず席から立ち上がってしまった城の背中に誰かがぶつかった。

金髪でふくよかなスーツの男「OH!ソーリー!!」

テレビのニュースで何度も見たことある大統領とそっくりの男がSPを連れて移動していく。

城「え…」

凛「しゃ……社長、今の人ってまさか……」

久秀「現役アメリカ大統領ね。というか、ほら見てみなさいよ。」

軽く顎をしゃくる。その方向を見た凛と城は目を見開いた。各国の首脳が揃って前列席に座っているではないか。

凛「うわー…テレビで見たことある人ばっかり…」

城「まるでサミットですね。」

久秀「当然でしょう。この大会は日本経済の最高峰を決める場所。世界経済(かれら)にも大いに関係があるわ。」

その間にもルールが話されていく。

「トーナメントは五日間にわたって開催されます。本日は第一回戦、全16仕合を実施いたします。」

天井に吊るされている巨大に液晶パネルには【第1回戦(day1)】→【中日(day2)】→【第2回戦(day3)】→【中日(day4)】→【準々決~決勝(day5)】と表示されている。

凛「五日間ッスかー」

城「闘技者の負担を考慮しての事ですね。」

久秀「(果たして本当にそれだけの理由かしら……。)」

トーナメント会場を囲った一般席とは別にガラス張りで上から見下ろせるようなっているVIP用のフロア。

滅堂「ホッホッホッ、盛り上がっとる盛り上がっとる。今回のトーナメントは期待できそうじゃのう。」

闘技会会長の片原滅堂と魏一族長の魏絵利央が眺めていた。

絵利央「いやいや…大したものですなぁ。最近はこんな立派な箱庭を使っておるのですな。ワシが貴方の闘技者をしていたころとは雲泥の差じゃ。最近の若者は贅沢じゃのう。」

滅堂「ホッホッホッ!時代の流れってやつじゃよ。しかし皮肉なもんじゃのう。お主のおかげで築いたこの地位をお主に脅かされることになろうとは。」

絵利央「フォッ!まこと数奇な巡り合わせですな。……ご安心めされい手心は一切加えぬ。ワシがアンタに引導を渡してやろう。」

年寄りというには余りにも恐ろしい眼光を向ける絵利央だった……が。

迦楼羅「爺様、怖い顔して怒ってるの?正装してきたよ?」

ひょこっと恐らく通っている学校のものある上下黒の制服に太ももの半分ぐらいからテーピングを足をしっかりと巻き閉めた迦楼羅が入ってきて声をかけた。

絵利央「……」

迦楼羅「怒っちゃダメだよ。血圧が上がっちゃう。」

絵利央「ホ……ホッホッホ…安心おしカルラ。ワシは全然怒っとらなよ。制服も似あうのお。」

今さっきの迫力というか魏一族の長とは思えぬほど顔をくしゃくしゃにして笑い泣きしながら何とも優しい声でカルラに話しかけている。

迦楼羅「本当?」

絵利央「本当じゃとも!カルラは何と優しい子じゃ…!さすがはワシの曾孫!!さぁさぁ、ワシは会長と話しがあるのでの。カルラは仕合を見学しておいで♪」

滅堂「(うーむ…聞きしに勝る曾孫馬鹿じゃな。)」
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