ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー巌流島:ホテル内ー

午後10時45分……大きなフロアに各社の代表たちが一同に集まっていた。当然そこには久秀もいるが何故か城もいる。

「誰ですかアレは?」

「ほら、例の新入りですよ。」

城「(か、肩身が狭い……。)」

時間は十数分前に遡る、突然黒服のひと達がやってきて『御前がトーナメント出場者代表の皆さまをおよびです。』『松永様、お手数ですが正装に着替えてご同行願います。』といわれたのだが何故かその際に秘書として凛ではなく城を引き連れてきたのだ。

久秀「……」

連れてきた本人はツンと周りの迫力に負けていないが城はたまったものではない。端の方に居ようかとこそっと移動しようとしたがドンッと何かにぶつかった。

顔に傷のある巨体な男「……」

城「し、失礼しました!」

顔に傷のある巨体な男「フンッ」

老齢ではあるだろうがその体格は今だ現役といわんばかりで、ギロリと鋭い視線で城を見たがすぐに別の方へと向き直った。

城「はぁ…」

「ちょっとアンタ!」

城「ひぃ!」

久秀「落ち着きなさいよ。何か御用かしら?義武社長。」

余りにビクビクしている城を引っ掴んで話しかけてきた人物に久秀が返事をした。

義武不動産社長の義武啓朗金髪の坊主に金縁眼鏡、紫のリップに同色でラメ入りの(悪趣味)スーツを着た細い男である。

義武「御用じゃないわよ!そこのお嬢ちゃん!ちょろちょろして場の空気を乱すのをやめなさい!ただでさえみんなピリピリしてるのに!」

カマっぽい仕草で城を指さして声を潜めて説教を始めた。

城「え、そ、そんなつもりじゃ……というか何で皆さんそんな神経質になってるんですか?」

義武「はぁ?なにこの子……これからなにをするか知らなっ……」

そこで遮るように怒声が響いた。

顔に傷のある巨体な男「おい!!いつまで待たせる気だ!さっさと始めんかっ!!」

城「さっきのおっかい人…」

義武「フン!相変わらず野蛮な男!」

久秀「あれは禍谷園の禍谷重蔵。昔は闘技者として参加していたらしいわ。」

城「も、元闘技者ですかぁ……どうりで迫力があるはずです。ところで、これから何が始まるんです?」

義武「アンタ、説明してないの?」

久秀「なにも聞かれてないもの」

城「ついて来いといわれたのでついてきました…」

義武「まったく…お嬢ちゃんがどういう立場でいるのか知らないけどそんなことでよく本戦まで生き残れたわね。ボーっとしてたらあっという間にゲームオーバーな世界なのよ?あんた、危機感が足りないんじゃないの?」

ねちねちと何故か説教を受ける城。

城「は、はぁ」

久秀「これから行われるのはトーナメントの組み合わせ発表よ。」

城「……組み合わせ!!?そ、それって、超重要じゃないですか!」

義武「ふん!ようやくわかったようね!何しろ組み合わせ如何で命運が決まるといっても過言じゃ……」

玉ねぎ頭の男「おやおや、見てくださいよ橋田さん義武社長が新人のお守をしてますよ。」

橋田「ホッホッ、新参者同士、仲の良いことですな」

わざと聞こえるようそんなことを話している二人に対して小さく義武が毒づいた。

義武「フン、時代遅れの「三傑」が偉そうに……」

城「あのーサンケツって何ですか?」

義武「……アンタ、ホントに何も聞かされてないのね。気の毒になってきたわ。いいこと?闘技会にはいくつかのグループがあるの。ついでだからざっくり説明してあげるわ」

まずは【三傑】闘技会でもっとも古い派閥よ。あそこにいる面白玉ねぎ頭がNENTENDO社長河野秋男。隣の眼鏡ジジイがセントリー会長の橋田敬。あいつらが三傑のうちの2企業よ。

もう一つの会社は明治中頃に倒産したらしいわ。そのくせ未だに三傑なんて名乗ってる過去の栄光しか誇れない老害どもよ。

次は【四龍】現在のメンバーは、八頭貿易社長、飯田正。白夜新聞社長、赤野鉄砂希。小鳥遊製薬代表取締役、小鳥遊柏。そして今までは音沙汰なしだった小鳥遊グループ社長、小鳥遊兜馬以上の四名よ。

城「さすがは天下の小鳥遊グループ……あれ、でも小鳥遊製薬はグループに入ってないんですか?」

久秀「別社ということになってるわね表向きは、でしょうけど。」

義武「まあ、現存する古い派閥はこの二つね。だけど、今現在、最も勢いがあるのは……」

そのとき、バンッと扉が開いて二人の人影が見えた。
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