ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【4】

ー巌流島:ビーチー

色んな意味で華やかで賑やかなビーチから少し離れた木陰に覆われたエリアでGPG(ゴールドプレジャーグループ)代表闘技者の百目鬼雲山は南国系のゴッゴッとした木に背中を預けていった。

雲山「こんなところに呼び出して何の用ですか?」

目の前に居るのは魏一族の魏ホリス(トーナメント不参加)だ。黒目と白目が入れ替わったような眼で雲山を捉えている。

ホリス「…腑に落ちぬ。トーナメントに参加している暗殺者、因幡流、それに我が魏一族……金次第で如何なる仕事も引き受ける。だが、貴様は違う。『政争二関スル案件、是二関ワラズ。』貴様ら百目鬼一族の信条のはずだ。1200年の歴史を持つ鬼の一族。鉄の掟を破らせた「モノ」はなんだ?」

雲山「……勘違いしないでいただきたい。私は政争になど興味はありません。それにその掟も父の代の話であって私には関係のない事です。父の跡を継ぐつもりはないですし…………ただ、百目鬼と魏一族、この場で白黒つけてもいいんですよ?」

もたれていた木から背を外し正面にホリスを捉える雲山、空気がピッと張り詰めた。睨み合うふたりだったが、雲山の背中に声が飛んだ。

理乃「あら?雲山じゃない。こんなところで何してるの?」

雲山「!!」

声の方に振り返るとGPG倉吉理乃が居た。布面積が20%ぐらいしかないきわどいマイクロビキニ、左右に連れている秘書たちも理乃ほどではないにしろなかなかきわどいビキニを着こなしている。

理乃「そちらはお友達?話のお邪魔だったかしら?」

雲山「…………いや。用事は済んだ。問題ない。」

理乃「そう。良かった♪今から海へ行くんだけど、雲山も一緒にどう?」

雲山「ああ。付き合いましょうか。」

ホリス「……百目鬼…お前まさか…女のために信条を曲げた…」

雲山「では、失礼しますホリス。アナタともいずれ手合わせ願いたい。」

理乃「ふふ、ねえ、雲山?一緒に泳ぎましょうよ。」

雲山「ああ…悪くないですね。」

理乃と腕を組んで雲山たちははビーチの方へ向かった。少し間をあけて雷太郎と風太郎が茂みから出てくるとホリスの方を少し困ったような顔で一瞥してから後を追う。

ホリス「……とんでもない奴だ掟より女を選ぶとは……まったく、どいつもこいつも……これが青春という奴か……。」


悠を追いまわしていた魏迦楼羅だったが結局見失ってしまい仕方なく探しながらビーチを楽しんでいると同世代女子のエレナ・ロビンソンと仲良くなった。

エレナ「カルラちゃん!詠子ちゃん!あっち行ってみよ!」

詠子「はい。」

迦楼羅「うん!」

控えめに言って超絶美少女三人が手をつないで楽しんでいる。その背後には慈しむように眺める男二人と張り付いた笑顔の男が居た。

絵利央「ホホホ!すっかり仲良しじゃのう。」

茂吉「子供は打ち解けるのが早いですからね。」

絵利央「カルラと同じ世代の子が島に居ってよかったわい。」

茂吉「ええ。エレナも喜んでいます。」

絵利央「女子は女子同士で遊べばええんじゃ。糞虫の如き男が近づいて来たらワシがブチ殺してしんぜよう。」

茂吉「いえいえお気遣いなく。そんな輩は私がまとめて縊り殺しますから。」

絵利央「いやいやここはワシが」

茂吉「いやいやここは私が」

凍夜「(ビーチに出ずにホテルの方で休んでるべきだったかなぁ……。)」

雲山との話が終わって戻ってきたホリスが同族の怜一と堀雄に合流する。

堀雄「どこへいってた?」

ホリス「大したことじゃない。それよりあれは?」

怜一「ああ、爺様も友達ができたみたいだ。」

賑やかなビーチから数十キロ、木々が生い茂る森の中でテントを張り、焚き木をしているでっぷりとした薄汚れたランニングシャツに黒いズボンの男が鍋を掻きまわしている。

その背後から黒いブーメランパンツいっちょの褐色の美男子ベルシイ石油代表闘技者ハサド(トーナメント失格済)が薪を持ってやってきた。

潜水艦で拾われたハサドは不気味な中年の男と行動を共にしていた。

ハサド「おい。薪をもってきたぞ。」

「ん~…ご苦労様。今夜は蕪木特製ビーフカレーですよぉ♪……あ。牛肉食べられます?」

湖山マート闘技者【呪術師】蕪木浩二(かぶらぎこうじ)(トーナメント不参加)

ハサド「……そんなことより!お前、何を企んでいる?この島に潜入して何をするつもりだ?」

ちなみに牛肉は大好きである。

蕪木「ンフフ。そのうち教えてあげますよ。時が来たらね♪」
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